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2019/08/18 (Sun.)

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

今年も夏コミが終わったので店舗委託が始まった某重要書類を確保しました。

安倍吉俊 / 飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

いつの間にか新宿のコミック ZIN が閉店して秋葉原店のみになっていたんですね...お店まで行くのが面倒だったので、今回は通販で購入しました。

L マウントアライアンスの結成に伴い前作は『飛びこめ!!新しい沼』というタイトルでしたが、今回から改めて『飛びこめ!!沼』の「新しい沼編」として位置づけが整理されたようです。

このタイミングで発行された新刊ということで注目は当然先日発表された fp だと思っていたところ、

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

本書のペン入れまで終わっていたところで fp が発表されたとのことで、なんと内容的には fp 発表前時点のものでした(笑。ベイヤーセンサを搭載した fp を「沼先輩」がどう評するか楽しみにしていたからちょっと残念。
ともあれ、fp 発表前に分かっていたのはフルサイズ Foveon 機の開発遅れに伴い発売が 2020 年以降に延期されたという情報だけだったため、今回の内容はシグマ自体よりも L マウントアライアンス...というか「L マウント」そのものにフォーカスしたものとなっています。

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

そして突如ライカに覚醒する後輩くん(笑

沼先輩にそそのかされた後輩くんがライカボディの購入を考え始めるわけですが、

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

え、まじで!?

ちょっと驚いたので私も調べてみたところ、現実にはライカ T Type701 の中古が 7 万円台からというのが L マウントボディの現在の最安値の模様。
フルサイズではなく APS-C だし 1,600 万画素だしそもそも 5 年前の製品だし...でもライカがこの価格帯で使えるのかあ、と私もつい心が動いてしまいました。しかしミーハー心からライカに手を出した結果がどうなるか...その顛末はこの同人誌を買ってのお楽しみ。まあなんたってライカだし、L マウントアライアンス結成前のボディだし、そりゃあいろいろありますよね。

ライカ以外にも例によってシグマやカメラ界隈の小ネタは今回も満載で、

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

噂話が聞こえてくる軒下(隠語

飛びこめ!!沼 新しい沼編 02

そしてシグマクラスタの 3D プリンタ王子こと @foxfoto さんがこのシグマ公認重要書類に登場!これには驚きました。まあ今や有名人ですからね。

冬コミまでには fp もとっくに発売されているでしょうから、次巻は fp の実機購入をふまえた内容になるものと思われます。そして今回購入したライカ T はどのような扱いになっているのか(笑)。それも含め、続刊も楽しみにしています。私は fp を買うかどうかまだ決めかねていますが、早く実機を触ってみたいところ。

投稿者 B : 21:00 | Book | Comic | コメント (0) | トラックバック

2019/03/16 (Sat.)

GAPPURI ZEISS

あのフォトヨドバシから新しいムックが発売されました。それも全編ツァイス本!ツァイス信者としてはこれは買わざるを得ない。というわけで発売日と同時に購入しました。

フォトヨドバシ オリジナルムック『がっぷりツァイス』できました。 | フォトヨドバシ

GAPPURI ZEISS

ヨドバシ・ドット・コムなら紙版と電子書籍版のセットが一冊の値段で手に入ってしまいます。写真の良さからいって紙版で持っておきたい一冊ですが、電子書籍でいつでもツァイスレンズに憧れられる手軽さも捨てがたい(ぉ。

フォトヨドバシのムックとしては過去に発売されたキヤノン EF マウントレンズ本ソニー E マウントレンズ本も持っているわけですが、これらが Web のフォトヨドバシに掲載されたレビューの総集編かつ現行レンズの販促的な位置づけとして玄光社から発売されたものであったのに対して、この『がっぷりツァイス』はヨドバシの自社出版、かつ全編撮り下ろしという気合いの入りまくったものになっています。だいたい表紙からしてキャッチコピー一切なし、ハッセルブラッドに装着された Biogon 38mm F4.5 のブツ撮り一発という潔さ。何かこう訴えかけてくるものがあります。

GAPPURI ZEISS

冒頭はツァイスレンズの、いや写真用レンズの王と言える Planar の特集から。Y/C マウントを中心に王道の Planar による写真がドドンとプリントされています。50mm と 85mm 二本の F1.4 レンズはもちろんのこと、玄人好みの 50mm F1.7 や実物を目にすることさえ稀な 55mm/85mm F1.2 に至るまで。

Y/C マウントは中古なら今でも比較的入手性の良いツァイスレンズですが、50mm/85mm F1.4 であればその流れを汲むレンズを「Classic シリーズ」として今でもコシナから新品で購入することができます。コシナ製ツァイスレンズも今や大半が Otus/Milvus シリーズに世代交代してしまって、オリジナルを踏襲した Classic シリーズはもう定番 50mm/85mm の二本だけになってしまったのはちょっと淋しい。まあミラーレスカメラで使うのであれば ZM シリーズという選択肢もありますが。

GAPPURI ZEISS

続いては中判スクエアフォーマット特集としてハッセルブラッドとローライフレックス用ツァイス。

Instagram のおかげですっかりお馴染みとなったスクエアフォーマットですが、紙媒体かつこのサイズで鑑賞すると全く違った印象を受けます。デジタルフィルタで加工された画像とは異なる、深みのある世界。私もハッセルや二眼レフのような「下向きに覗き込んで撮るスタイル」にちょっと憧れるところもあり、ついこれらのカメラの中古相場をチェックしてしまいました。

GAPPURI ZEISS

写真を中心としたレンズ紹介ばかりかと思ったら、冊子の中ほどに「カール・ツァイス」という会社(財団)の歴史についての特集も組まれていました。

ツァイスという組織は写真用レンズに限らず光学技術を軸とした複合企業体ですが、ここでは主に写真軸でみたときのツァイスの歴史がまとめられています。当然東西ドイツ分割に伴う「ツァイス・オプトン(西側)」と「ツァイス・イエナ(東側)」への会社分割の歴史にも触れられており、ツァイスに興味がある写真人ならば必読。あの分厚い『ツァイス 激動 100 年』を読まなくてもツァイスについてだいたい理解できます(笑。

GAPPURI ZEISS

そんなツァイスの歴史からの、東側ツァイス・イエナのレンズ特集。主要な研究者・技術者を西側に奪われて以降も、東独ツァイスはそれまでの技術や設備を駆使し、また社会主義体制下における人件費の安さと M42 スクリューマウントの汎用性の高さも相まって「ツァイス・イエナ」のレンズは世界で幅広く販売されます。その結果西独のツァイス・オプトン社との訴訟問題にまで発展したというほど。私もイエナのレンズは 135mm 一本だけ持っていますが、東独の厳しい歴史を写真にも写し込むかのような、西側のレンズとは何かが違う描写が気に入って、時々むしょうに持ち出したくなります。

GAPPURI ZEISS

そしてミラーレス時代にツァイスレンズを語る上で欠かしてはならないのが CONTAX G レンズ群でしょう。現代のボディに装着しても唸るような描写を見せるレンズが揃っていますが、本書では Planar 45mm F2 が「CONTAX 用 Planar 55mm F1.2 に迫る」として最上級の評価を得ています。確かに私も CONTAX G レンズ群の中でも 45mm は最もよく使うレンズ。それでいて中古市場でも CONTAX G レンズ群の中では最も安価に流通しているだけに、ミラーレスでオールドレンズ遊びをするならまず最初に手に入れるべき一本と言っても過言ではありません。

というように、本書はほとんどが「新品ではもう手に入れることができないレンズ」の紹介で構成されています。現行レンズは最後にちょっとだけ Otus について触れられている程度。そういう意味で、本来は自社で販売している商品の販促を目的とするフォトヨドバシのコンテンツとは一線を画しています。彼らが何のためにこれを刊行したのか?少なくともこれによって書籍の売上以外にヨドバシカメラの販売に繋がりそうな要素はほぼないため、考えられるのはフォトヨドバシ自体のブランディングと写真文化への寄与、あとは担当者の趣味(笑)くらいしか思い当たりません。それでも読んでみたいと思わせるだけのものをフォトヨドバシというコンテンツは持っています。

先日ライカレンズ本を買ったところなのに、ツァイスについてもこんな危険な本を買ってしまうとは。最近もっぱら AF レンズしか触っていないけど、久しぶりに中古カメラ屋に顔を出したくなりました。

投稿者 B : 21:28 | Book | Camera Mook | コメント (0) | トラックバック

2019/03/05 (Tue.)

ライカ ML レンズ・ベストセレクション

澤村徹 / ライカ ML レンズ・ベストセレクション

ライカMLレンズ・ベストセレクション

いつもの澤村徹さんのオールドレンズ新著が発売されました。CP+ 会場で先行発売されていたので、私は現地で一足先に確保。

同氏はかなり幅広くオールドレンズを扱っていますが、本書はその中でもライカ ML レンズに特化した一冊です。私はツァイス信者につきライカレンズにはまだ手を出したことがないんですが、L マウントアライアンスでライカへの注目が高まっていたり、友人の一人が最近ライカ Q-P を購入したりとライカ関連の話題を目にすることが増えたので、一本くらい持っていてもいいかなあ...という危険な思想に染まりつつあります(ぉ。

なお「ライカ L マウント」は従来であればオールドライカ用の L39 マウントを指す言葉でしたが、L マウントアライアンスの結成に伴い従来は SL マウントと呼ばれていたものが正式に L マウントの呼称に変更されました。そのため、紛らわしいですが本書で紹介されているレンズはそのままでは L マウントのミラーレス機には装着できません(笑。本書で紹介されているのはあくまで L39 スクリューマウントとバヨネット式のライカ M マウントのみで、それらを総称して「ML レンズ」と呼んでいます。まあ確実にマウントアダプタは出るでしょうから、オールドライカレンズを最新の L マウントボディで使うこともできるようになるはずです。

本書に収録されている ML レンズは全部で 64 本。でも意外なことにライカ本家の ML レンズはそのうち約 1/3 にあたる 21 本しか収録されていません。それ以外はロシアレンズ、かつての国産 L39 マウントレンズ、コシナが誇るフォクトレンダー VM・ツァイス ZM レンズ、LOMOGRAPHY...と実に豊富なレンズが揃っています。M42 スクリューマウントに次ぐ懐の深さをもつライカ M/L39 マウントだけに、高価なライカレンズに手が出せなくても魅力的な選択肢がたくさんあるということです。

オールドライカについては柔らかな描写や周辺光量落ち...という用語だけでは形容しきれない独特の描写をもっていることが本書に収録されている作品から改めて感じ取れます。このイメージに憧れてライカに興味を持った人も少なくないはず。しかし一方で現代のライカレンズは当時とは比較にならないほど解像度が向上しながらも、やっぱり「ライカらしい」と言える独特の空気感を今でも継承しています。

国産ノンライカレンズに目を向けると、現代でも銘玉として高値で取引されているリコー GR Lens 21mm を筆頭に、「比較的安価に買える F1.2 レンズ」であるキヤノン 50mm F1.2、Nikkor-H 5cm F2、Super Rokkor 45mm F2.8、FUJINON 3.5cm F2 という今では別々のマウントで戦っているメーカーのレンズが同一マウントで取っ替え引っ替えできるというロマンがあります。
個人的には、本書には掲載されていませんが M-ROKKOR 28mm F2.8 に以前から憧れているんですが(M-ROKKOR をミノルタの子孫である α7 シリーズで、かつ本来の画角で使えるロマン!)、このレンズは硝材の関係か現代では曇り玉が多く、状態のいいものを入手できる可能性はかなり低い。そういうレンズが少なくないのも時代柄の国産ノンライカレンズの特徴だったりします。

また ML マウントの中でも特に深い沼がロシアレンズ。情報が少ないこともあってギャンブル要素は高いけど、歴史的にライカやツァイスの設計をコピーしてきた国のレンズだけに、安くて描写のいいレンズを入手できる可能性が低くない。自分ではまだ手を出したことのない領域だけど、ずっと気になっているジャンルの一つです。

そして今や ML レンズの本命と言えるのがフォクトレンダー VM・ツァイス ZM レンズ。特にフォクトレンダーは新品で、しかも比較的安く購入できる M マウントレンズだけに、ML レンズの入門に最適なのではないでしょうか。私も VM レンズは二本持っていますが、本物のオールドレンズほどの気難しさはなく、扱いやすいレンズだと思います。いや、これらのレンズのオリジナルが設計された時代は扱いにくかったのかもしれませんが、ミラーレスカメラで拡大フォーカスができるようになって急激に扱いやすくなったのか。

ライカレンズといえば中古でどんなに安くても 10 万円からというイメージが強いですが、互換レンズまで含めると本当に選択肢が広く、底なし沼への一歩を簡単に踏み出すことができてしまいます(ぉ。しかもつい最近までは事実上 α 一択だったのが、今やボディも選び放題、なんなら来年には Foveon で撮ることだってできるようになる時代。マウントアダプタひとつで無限の可能性が広がります。私もライカ Q に対抗して、オールド Elmarit 28mm の中古品でもひとつ狙ってみようかなあ...。

投稿者 B : 21:08 | Book | Camera Mook | コメント (0) | トラックバック

2019/02/19 (Tue.)

Harry Potter and the Sorcerer's Stone

今日の昼間 Twitter で「アメリカ土産に買うものがない」という話題が上がっていたようですが、確かに本当に買うべきものがない。免税店で買うブランド品を除くと無難なのはチョコレートかビーフジャーキーか、という感じです。私の先日の米国出張の際にもお土産には困って結局 LAX でチョコレートを買ってお茶を濁したわけですが、他にはとりあえず長女向けのお土産としてこれを買ってきました。

J. K. Rowling / Harry Potter and the Sorcerer's Stone

Harry Potter and the Sorcerer's Stone

『ハリー・ポッターと賢者の石』の原書です。書店ではなく target(スーパー)で購入(笑。五教科の中では英語を伸ばす必要があると感じているようだし、なんか興味あるものを読ませてみようかという思いつきで買ってみました。長女は映画はもちろんのこと小説もひととおり読んでいて、さらには大事典も持っているくほどのハリー・ポッター・マニアなので(笑)、内容ひととおり暗記してる話なら英語でも何とか読めるでしょ!と(ぉ

ハリー・ポッターシリーズって世界的なベストセラーだけあってハードカバー・ペーパーバック・電子版等いろんなフォーマットで様々なバージョンが発売されているようですが、今回初めて知ったのはオリジナルの英国版だとサブタイトルが "the Philosopher's Stone"(賢者の石)なのに対して、米国版では "the Sorcerer's Stone"(魔法使いの石)なんですね。

私も試しにちょっとだけ読んでみました。英語圏では子どもでも楽しめる文学なので出てくる単語は特に難しくないですが、比喩表現なんかは中学一年生にはちょっとレベルが高いかな。とはいえ英和辞典を引きながら読めば、日本語版を通読していればだいたい意味は分かるはず(私は映画しか観てないので細かいエピソードまでは把握してない...)。
とりあえず

  1. 最初はできるだけ英和辞典を使いながら読んでみる、辞書を繰る時間が惜しければ電子辞書やオンライン辞書も可
  2. どうしても難しい表現は日本語版と見比べても良い
というルールで読み始めさせてみました。私もなんだかんだで英語の勉強になるので(笑)、休日にはたまに教えながら一緒に読んでみようかと思います。

投稿者 B : 23:58 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2019/02/05 (Tue.)

BOOX Poke Pro が気になる

【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】Onyx International「BOOX Poke Pro」 ~Google Play利用可能、E Ink搭載の6型Android端末 - PC Watch

昨日の PC Watch に掲載されていた記事を読んで気になっているこの電子書籍リーダー。
E-Ink ディスプレイを搭載した Android 端末で、汎用のリーダーとして使えるものです。

Onyx International / BOOX Poke Pro

BOOX Poke Pro

今や E-Ink 系の専用端末は Kindle か kobo かの二択になっていて、他の電子書籍ストア利用者はタブレットやスマホ等の汎用端末かとっくに販売終了した専用端末を使うしかないのが現状。私自身は書籍を読むこと自体があまり多くないのでもう完全にタブレットとスマホで事足りていますが、ウチの奥さんがもう購入六年になるソニー PRS-T2 を今でも愛用しています。
ソニーの Reader Store はもう二年前に専用端末からのコンテンツ購入機能を終了しており(PC 等で購入して専用端末からダウンロードすることはできる)、コンテンツ購入の使い勝手が悪くなっているのに加えて、最近は頻繁にフリーズするなど動作も怪しくなってきていて、そろそろ買い換えてあげたいんですが選択肢がなかった。今後のことを考えたら Kindle に乗り換えるのが確実でしょうが、今まで Reader Store で購入したコンテンツが移行できないのがネック。かといって長編小説をタブレットで読むのも辛いし...と思っていたところで、この BOOX Poke Pro はちょうど良い買い換え先になりそうです。

電子書籍ストアは Amazon が実質的に一人勝ちの状況で、いっぽう電子書籍端末としてはスマホやタブレットのほうが当たり前になった今、他の電子書籍ストアのコンテンツを E-Ink 端末で読みたいというニーズはニッチもいいところでしょう。でも汎用 Android 端末なら Amazon も含めた電子書籍ストアがほぼ全て扱えることになるので、Amazon と他のストアの併用、あるいは段階的に Amazon に移行していくための端末としてはかなり魅力的。PC Watch への掲載がきっかけかは分かりませんが本日時点で Amazon.co.jp での在庫が切れているのも、隠れたニーズがそれなりにあることを示しています(何台在庫してたのか知らんけど)。

中国メーカーの製品らしくデフォルト言語が中国語だったり、仕様や使い勝手に多少のクセはありそうなものの、一昔前の中華クオリティという作りではなさそう。それに何よりこういうニッチなものでもハードを作れてしまうところに中国のパワーを感じます。ちゃんと日本代理店がついて技適を通しているところも好印象。ある程度流通が復活したら、誕生日プレゼント等に買ってしまうかもしれません。

投稿者 B : 22:00 | Book | eBook | コメント (0) | トラックバック

2019/01/08 (Tue.)

飛びこめ!!新しい沼 01

長期休み明けに忘れてはいけない仕事はこの重要書類の入手ということで、今回もあやまたず確保しました。

安倍吉俊 / 飛びこめ!!新しい沼 01

飛びこめ!!新しい沼 01

いつも買ってる同人誌『飛びこめ!!沼』シリーズです。

前作は番外編でしたが、今回は「新しい沼」と題して新シリーズに突入しました。もちろん「新しい」の部分に ∞ マークがかかっているとおり、シグマがライカ/パナソニックと共に立ち上げた「L マウントアライアンス」の誕生を記念しての新章突入というわけです。

飛びこめ!!新しい沼 01

冒頭から山木社長wwwwwいい表情すぎ。
当然 photokina 会場で三社の代表がこんな妙技を見せたわけではありませんが、シグマファンにはあの発表会はこう映ったに違いない(笑

で、今までは主に sd Quattro シリーズが主役だった本作も、来たるべきシグマの L マウント機がどういうものになるかという話にフォーカスが移っていきます。そうなると新ボディは sd Quattro とどう違うかという議論になっていくわけですが、

飛びこめ!!新しい沼 01

ちょっと!今までみんな気になりつつシグマユーザーだけがスルーしていた部分を容赦なく指摘(笑

まあ、SA マウントをそのまま使ってミラーレスボディを作るとこうなるわけで、いずれショートフランジの新マウントに移行するであろうことは想像に難くなかったわけですが。
dp/sd Quattro シリーズって機構的に無理している部分を奇抜な形状で目先を変える、という意味で秀逸なデザインでしたよね。

そして...

飛びこめ!!新しい沼 01

あ、言っちゃったwww

いや、何本か持ち歩くうちの一本が気合いの F1.4 Art というならまだ許容できるけど、35/50/85 F1.4 Art のどれに出番があるか判らないときなんかはちょっとした修行なんですよ。せめてフルサイズでも使えるそこそこの画質で軽量コンパクトな Contemporary ラインの標準ズームとか出して補完してほしい...。

というように今まで気がつかないフリをされてきた不満点に真正面からツッコミを入れる内容になっています(笑。

飛びこめ!!新しい沼 01

話を L マウントに戻して、来たるべき L マウントのボディはアダプタ経由でオールドライカがつけられる、という話。このあたりは α をはじめ先行するフルサイズミラーレス機が既に実現している話ながら、「ライカの最新ボディで使える」「Foveon センサで使える」というのが魅力的なところ。

ここからは、冊子の半分くらいのボリュームを使ってオールドライカのお話。もはやシグマ本ではなくオールドライカ本になっています(笑。
私はライカ警察ではなくツァイス信者なので今までライカレンズってちゃんと使ったことがないのですが、この際だからオールドライカの一本にでも手を出してみようかなあ...。

こんな感じで今までの『飛びこめ!!沼』シリーズとはちょっと毛色の違う内容でしたが、個人的に一番衝撃的だったのがこの奥付。

飛びこめ!!新しい沼 01

iPad Pro だけでこれ一冊ほぼ作れちゃうのか!私は絵は描かないけど、ここまでの作業ができるなら iPad Pro が俄然サブ PC 代わりとして立ち上がってくる。気になっていたけど、やっぱり欲しいなあ。レンズ一本ガマンすれば買える値段なんだよなあ(笑

投稿者 B : 22:01 | Book | Comic | コメント (0) | トラックバック

2018/10/18 (Thu.)

マーケティングの仕事と年収のリアル

私の友人でありマーケティングの同志でもある山口義宏さんが新著を出版されたとのことで献本いただきました(ありがとうございます)。

山口義宏 / マーケティングの仕事と年収のリアル

マーケティングの仕事と年収のリアル

山口さんはこの春にも『「ブランディング」 顧客体験で差がつく時代の新しいルール』を出版されたところで、本業や講演などにもお忙しいにも関わらず精力的に活動されていますね。特に宣伝を頼まれているわけではありませんが、いつもとはちょっと違うテーマの内容であり、長年仕事でマーケティングに関わってきた私としても「会社を離れたときの自分の市場価値ってどうなのか」というのは最近まさに気になっていた部分でもあるので、興味深く読ませていただきました。

本書は以下のような構成で書かれています。

  • 事業会社とマーケティング支援会社の違い(業務範囲や長所短所、年収レンジ等)を解説
  • マーケティング従事者の職務を 6 つのステージに分け、それぞれの役割と求められるスキルを整理
  • マーケッターを「8 つの流派」に分類し、自分自身のキャラや他流派との相性を把握
  • 社内外で評価されるスキルのポイントと磨き方
  • キャリアアップのための「見極め方」
  • 上記をふまえ、代表的なキャリア構築パターンとその歩み方を解説
私は自分自身があまりキャリア構築に積極的ではなかったこともあり、こういう整理の仕方で自分のキャリアを捉えたことがありませんでしたが、読めば読むほどなるほど、という話。自分もマーケティングに関わるさまざまな立場・スタイルの人を見てきたので、納得感があります。中でも流派の話はデフォルメされていて面白い(笑。 おそらく自分を分類するならば流派はブランディング派と実践知ストリートファイト派の中間くらいだろうし、キャリア構築に関しては今まではコミット型だと思っていたけど実際は王道キャリアアップ型になる必要に迫られているのでは?と思っています。キャリアステージがスペシャリストからブランドマネージャーの戸口あたりで足踏みしている状況が数年続いていてどうしたものか...と悩んでいたタイミングでもあり、そんな折に自分のキャリア構築に必要な地図を提示してもらえた感覚。しかも、キャリアステージや事業会社/支援会社、企業規模などに応じて目安となる年収のレンジがズバリ書かれていて、人生設計と照らし合わせながらどこを目指すべきか考えることもできる。下世話な話だけど年収って幸福度に大きく影響するので、自分や家族がどういう人生を送りたいか考える上では重要です。

タイトルにこそ「マーケティングの」とついていますが、ちょっと汎化させながら読むことができればかなり幅広い職種のキャリア構築に応用できる内容なのではないでしょうか。具体的な年収はあまり参考にならないかもしれないし、スペシャリスト筋のエンジニアにもちょっと違う話かもしれませんが、事業会社 or 支援会社、マネジメント or スペシャリスト、アラサーでの見極め、三年単位でのキャリアの棚卸しと見直し...多くの職種がこれらの観点でキャリア構築を考えることができるのではないかと思います。

私はかれこれ十数年マーケティングに携わってきましたが、主には仕事を通じて何を実現するか、自分の商品やサービスでどうお客様を喜び驚かせて成功に結びつけるか...に集中するあまり、自分のキャリア形成についてはそれほど興味を持っていませんでした。数年前、たまたまキャリアの節目と言える時期に声をかけてくれたヘッドハンターに話を聞きに行き、自分の市場価値を客観的に見たらいくらくらいになるのかを把握してみようとしたことはありますが、その程度。今にして思えば転機と言えるタイミングは何度かあって、あのときに異動なり転職なりといった選択をしていたら今どういう人生を送っていたのだろう...というのは、この歳になってようやく想いを馳せるところだったりします。
四十代に入り、ポテンシャルではなくほぼ経歴と実績だけで評価されるステージにある今、自分にはどういう選択肢があるのか。あるいは三十代のうちに何をしておくべきだったのか。そういうことを考えがちだった昨今の私にはタイムリーな内容だったと言えます。

マーケティングと一口に言っても様々な職務があるものですが、本書は何らかの形でマーケティングに関わっている人であれば一読して損はありません。特にマーケティング関係の仕事に就こうとしている学生さんから現職の三十代前半までの人は必読と言って良い(現職の人の方が納得感は強いでしょう)。私も十年前にこの本があればもうちょっと違ったやり方でキャリアを歩んでいたかもしれませんが、年齢的に選択肢が減ってきた現在でも勉強になり、勇気づけられる一冊でした。

投稿者 B : 23:00 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2018/10/02 (Tue.)

オールドレンズ・ライフ 2018-2019

澤村徹 / オールドレンズ・ライフ 2018-2019

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毎年この時期の風物詩となった澤村徹さんの『オールドレンズ・ライフ』最新刊が発売されたので、購入しました。

オールドレンズ・ライフ2018-2019 本日発売です!: metalmickey's blog

澤村さんのオールドレンズ本としては春先に総集編的な位置づけの『オールドレンズ・ベストセレクション』が出たところでもあり、今回はなんかスパンが短い感覚。しかし今回のは完全新作で、ここ一年のオールドレンズ界隈の動向を反映した最新刊。まあ、直前にニコン・キヤノンの参入に加えて L マウントアライアンスの発表と、この秋以降フルサイズミラーレスの選択肢が一気に増えた状況はさすがに反映されていませんが、そのあたりは本体と対応マウントアダプタが発売され、ある程度の検証が進んだ来年度版に楽しみを取っておくことにしましょう。それにしても十年前はデジタルカメラでのオールドレンズ遊びと言えば EOS(フルサイズは初代 5D くらいしかなかった)にマウントアダプタをつけて Y/C か M42 のレンズを楽しむのが関の山だったのが、今やほとんどのメーカーの最新ボディでフィルム時代のあらゆるレンズが使える時代が来ようとは、驚くべきことです。

第一特集は「キャラ立ちする中望遠オールドレンズ」。近年オールドレンズでのポートレート撮影が一部でブームになっているとのことで、それをふまえた特集です。最新のレンズはとにかく解像度重視でポートレート撮影には絞り開放からディテールまで写りすぎるとかボケが固い/うるさいといったデメリットも抱えがちで、あえてオールドレンズで撮った方が雰囲気が出ることも逆にあります。Y/C Planar 85/1.4 や New FD 85/1.2L のような超定番レンズから、ぐるぐるボケの出る Helios-40-2 85/1.5 のようなクセ玉まで。私も人物を撮るときにシグマ 85Art ではなくあえて Planar を使うことがあるので、とても腹落ちする特集です。ポートレートでぐるぐるボケはどうかと思うけど(笑。

第二特集は「復刻オールドレンズで撮ろう」。近年では主に趣味用として MF レンズ新製品のリリースも増えていますが、中でもかつての名レンズをメーカー自ら、あるいは元関係者が復刻するパターンも増えています。旧刊でも紹介されたことのある Kistar 55/1.2 なんかはその代表作だと思いますが、それ以外にもリリースされている復刻レンズに関して新旧の比較つきで紹介されている、かなり気合いの入った特集。

また私が個人的に興味を持っていたトピックについて二点掲載されていたのも嬉しい。一つは平凸レンズを使った G Biogon の周辺像流れ補正の件で、澤村さん自身の blog にも書かれている話ではありますが、正式に『オールドレンズ・ライフ』に収録される形となりました。これは α7 シリーズで G Biogon を使っている人は全員やるべきというくらい効果のある DIY テクで私も強烈にオススメ。
もうひとつは α7 III・II での広角系オールドレンズ色かぶり比較検証。私も α7 III への買い換えを機に G Biogon 28mm・21mm と SUPER WIDE-HELIAR 15mm Asph. II で試してみましたが、他の広角系オールドレンズだとどうなるのかは気になっていたところでした。ここではなんと 10 本ものレンズを使って α7 III・II の比較が行われており、自分が持っている/気になっている広角オールドレンズが α7 III でどうなるのか知ることができる貴重な特集です。
ちなみに広角系オールドレンズの相性という点では、同じ裏面照射型 CMOS を搭載するニコン Z 7・6 は α7 III と似たような傾向を示すでしょうが、表面照射型 CMOS と思われる EOS R や RGB 積層型センサを採用するシグマの L マウント機ではこの色かぶり問題に直面する可能性があります。そういう意味では、フルサイズミラーレス機の選択肢が大きく広がる今後においても、オールドレンズのベースボディとしては α7 III に引き続きアドバンテージがあると言えそうです。

また今までとはちょっと趣の違う特集「オールドレンズマニアかく語りき」はなかなか面白かった。写真メインではなく、オールドレンズマニアとしての澤村さんが撮影や機材選びに関して持っている哲学がちょっとポエティックな文体で読み物として綴られています。オールドレンズ遊びって実用ではなく情緒だと思うので、性能がどうとかじゃなく「誰がどう感じ、考えてこのレンズを使っているか」が重要だし、「レンズありきで被写体を選ぶ」ような本末転倒も楽しみの範疇。自分以外の人がどういう観点でレンズを選び、何を考えながら写真を撮っているのか...そういうのが垣間見れるのが面白い。こういうコーナー、もっとあってもいいんじゃないですかね。

「現行レンズより安いから」でも「ミラーレスのレンズの選択肢が少ないから」でもなく完全に趣味の領域を深めに来ているのが今のオールドレンズ界隈。一方で、一部インスタ女子の間でデジタルフィルタ的な位置づけとしてスーパータクマーが流行っているという噂も聞きます。以前はオールドレンズ初心者の道標的な役割も担っていた『オールドレンズ・ライフ』シリーズですが、ここにきて細分化するオールドレンズ沼の水先案内人になってきたなあ、と感じる一冊でした。私も最近はあまりレンズを買わなくなりましたが、買うつもりがなくても読んでいるだけでワクワクする、そんなムックだと思います。

投稿者 B : 22:18 | Book | Camera Mook | コメント (0) | トラックバック

2018/09/07 (Fri.)

飛びこめ!!沼 番外編 01:FOVEON センサーとは何か

先日発売された 04 巻の記憶もまだ新しいところですが、先月のコミケで発売された新刊をコミック ZIN で買ってきました。

安倍吉俊 / 飛びこめ!!沼 番外編 01:FOVEON センサーとは何か

飛びこめ!!沼 番外編 01

通常のナンバリングタイトルではなく番外編という位置づけです。サブタイトルは「FOVEON センサーとは何か」。
いつもは半分以上おちゃらけながらシグマのカメラやレンズをオススメし、写真(というかカメラ趣味)の楽しさを紹介するのが『飛びこめ!!沼』シリーズだと思っていますが、このサブタイトルからも分かるとおり今回は解説本に近い体裁。

飛びこめ!!沼 番外編 01

冒頭から「FOVEON センサーの解説をします」とあります。
自分では Foveon 搭載カメラは使ったことがないものの 70 万円もした初代 SD1 の頃からシグマを追いかけてきた私としては Foveon の仕組みについてはそれなりに理解しているつもりではいますが、『飛びこめ!!沼』のフォーマットで技術解説したらどういう表現になるのか気になっていました(笑。

飛びこめ!!沼 番外編 01

解説するふりしてほとんどおちゃらける本かと思ってましたが(ぉ)、実際は技術的に難しい部分は適度に省略しつつ、Foveon の構造から長所・短所までマジメに解説されていました。
ちなみにこの本で解説されているのは最新の Quattro 世代のセンサについてで、Merrill 世代については触れられていません。まあ基本的には同じ思想に基づいたセンサなんですが、Quattro センサ発表時のエントリーで書いたとおり Quattro センサの G/R 層は補間処理によって作られたものになるわけで、本来の Foveon が目指した「全色での完全な解像」を一部諦めた代わりに気難しさを緩和した現実的な落としどころ、というのが Quattro センサに対する私の理解。

飛びこめ!!沼 番外編 01

基本的に Foveon オススメ本だから良いところしか書かれていないかというとそんなことはなく、Foveon の弱点と言われる高感度性能の低さについて比較作例つきで紹介されています。
「ISO100 固定必須」と言われがちな Foveon ですが、こうしてみると RAW 現像前提なら ISO800 までは何とか使えそうですね。

飛びこめ!!沼 番外編 01

そして後半は例によってシグマユーザー自虐ネタ(笑。期待を裏切りません。

個人的にはカメラに求めている方向性が違うので Foveon 搭載カメラを買う予定はありませんが、レンズ以上に Foveon センサと sd/dp シリーズというカメラの存在が「シグマ」という光学メーカーの立ち位置を明示しているのだと思っています。単なる安価な互換レンズメーカーから脱却し、万能ではないけど突き抜けたこだわりを持つユニークなメーカーというブランド・ポジションは、単に高品質なレンズを作っていただけでは得られなかったことでしょう。『飛びこめ!!沼』シリーズは、ある意味そのユニークさを象徴する同人誌だと思います。これだけの愛と自虐をもって語られるカメラメーカーも他にありません。

シグマ、ならびに安倍吉俊先生の次回作にも期待しています。

シグマ / sd Quattro H

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投稿者 B : 22:01 | Book | Comic | コメント (0) | トラックバック

2018/06/26 (Tue.)

小説『READY PLAYER ONE』

映画『レディ・プレイヤー 1』を観て以降、通勤時間等を使ってコツコツ読み進めていた原作小説を読了しました。

アーネスト・クライン / ゲームウォーズ(上)
アーネスト・クライン / ゲームウォーズ(下)

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映画版はエンタテインメント作品としてはとても面白かったんだけど、どうにも「はしょってる感」は拭えなくて。これだけマニアックな作品なら原作を読めばもっと掘り下げられるはず...と思い、サクッと電子書籍を購入して読みました。邦題は『ゲームウォーズ』というパッとしないものがついていますが、映画公開後は原題のほうを前面に出しているようですね。

食糧やエネルギー問題が深刻化して格差が拡大し荒廃しつつある「リアル」から逃避できる仮想世界「オアシス」と、その創始者であるジェームズ・ハリデーが残した莫大な遺産および「オアシス」の運営権を賭けて世界中のプレイヤー達が謎解きに挑む...というストーリーは映画と共通。だけど、小説と映画では細かい部分の進み方が全く異なる別の作品でした。謎解きは基本的にクラシックゲームにまつわるものが多く、「デロリアンと金田のバイクでレースする」みたいなのはあくまで映画のアイキャッチとして用意されたもの。でも原作をそのまま映像化したらマニアックすぎて間口が狭すぎるだろうし、2018 年時点で VR の世界観を分かりやすく見せ、2045 年として来そうな未来を提示するにはあれが必要だったんでしょう。

映画における「オアシス」は「中でゲームもできる、何でもできる仮想空間」という見せ方でしたが、小説では「VR ベースの MMORPG 的世界から発展し、何でもできるようになった仮想空間」として描かれています。そのためエリアによって PvP(プレイヤー対戦)の可否があったり、キャラクターごとにインベントリー(持ち物リスト)や視界の中にサブウィンドウを表示させたまま移動できたり、システムの設定がゲーム寄り。MMORPG は最終的にはストーリーを攻略することではなく仲間とのコミュニケーションが目的化することも少なくないですが、その延長線上にこの世界があることが分かります。
私は年齢的には本作のどストライク世代よりも五歳くらい下なので、本作で語られる 1980 年代のゲームや映画、アニメネタは半分も分からないのですが、今の技術の延長線の上に描かれた VR の世界観にはすごく納得感があります。

私は大学生だった 1997~8 年頃にごく初期の 3D チャットサービス「Worlds Chat/J」および「メタプラザ」(どちらも凸版印刷系のベンチャーが日本版を手がけていた)で初めて仮想空間上で見ず知らずの誰かとコミュニケーションをしたことがその後の人生に大きな影響を与えたし、2002~4 年頃に FFXI の世界にどっぷりと浸かっていましたが、「オアシス」はまさにそれらを VR 化して生活の一部にしてしまったようなもので、かつて自分が妄想していた未来像(ディストピアでもあるけれど)がここにある感覚。IT や通信に基づく多くの技術はコミュニケーションの効率化や多様化をもたらすし、VR も紛れもなくその重要な 1 ピースなんだよなあ。

映画版で最大の違和感だった終盤のメッセージ「リアルにこそ、仮想世界で得られない大切なものがある(うろ覚え)」にはどうにも取って付けた感というか、「ゲームは一日一時間」のような定型文感というか、がありました。この小説でもラストには同じようなメッセージが込められているんですが、そこに至る過程が全然違う。映画ではクライマックス前にパーシヴァル(の中の人)とアルテミスやエイチ(の中の人)がリアルであっさり合流していましたが、小説版では本当に最後の最後に至るまでリアルでは会わず、必要に迫られて集結します。「ネットの向こう側にいる相手と普段のコミュニケーションを通じて信頼関係を築けていれば、相手の素性が何だって構わないし積極的にリアルで会いたいとも思わない」というのは長年ネットでのコミュニケーションを重ねてきた私の実感なんですが、登場人物たちが自然とこういう考えで動けている分だけ、小説版のほうにリアリティを感じました。
まあ、ネットでしか接したことがない人とリアルで会うと楽しいことが多いのは事実だし、ネット上ではできない話に価値があったりすることもまた事実なのですが。でも必ずしもネットが虚構でリアルが真実というわけではないし、自分の外見や肩書きに縛られないコミュニケーションにこそその人の本質が宿っている、ということはあると思うのです。おそらくそれが解っているパーシヴァルであれば、リア充(笑)になった後であってもハリデーから運営を受け継いだオアシスを停止させるという判断はしないに違いない。

さておき、「ちょっと先に、実際に来るかもしれない未来」を描いた小説としてはなかなか面白かったです。映像のイメージがあるほうが脳内補完がしやすい話でもあると思うので、映画を先に観てから小説を読むとグッと深みが増すのではないでしょうか。

投稿者 B : 23:01 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック