シグマの APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM のレビュー、今回は実際に撮影してみての使用感について書いてみたいと思います。作品や作例というよりもレンズの説明のために撮った写真が中心になりますが。
なお、ここに掲載している写真は全て三脚なしの手持ち(レンズ内手ブレ補正有効)で撮影しています。
50-500mm というと、いわゆる標準レンズの焦点域から超望遠までを 1 本でカバーするという超絶スペック。それでいて、ほぼ全ての焦点域で MTF 特性がほぼ一定というのですから、にわかには信じられないほどです。
とりあえず、10 倍ズームの威力がどの程度か、ワイド端とテレ端で撮ってみました。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
これはワイド端(50mm)。EOS 7D なので画角は 80mm 相当ということになります。私としては愛用の Planar 50mm F1.4 と同じ画角なので、使い慣れた感覚です。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
で、こちらがテレ端。500mm ですが EOS 7D で使うと 800mm 相当(!)。50mm 時では画面の一部にちょこっと写っていただけの被写体に、ここまで寄れてしまいます。最近はコンデジでも 10 倍ズームというのは珍しくなくなってきていますが、ここまでの焦点距離を持つものはほとんどありません。まあ、このレンズ一本でコンデジ何台分の長さと重さがあるんだよ、というツッコミはさておき(´д`)。
超望遠レンズは単焦点の製品が多く、ズームレンズ自体が少ないのですが、そのズームレンズであっても 100-400mm とか 150-500mm とか、ワイド側がここまで広角なレンズはあまり見たことがありません(せいぜい 28-300mm くらい)。あまりズーム域を広げすぎると画質に難が出てくるということでしょうが、画質に関するハードルをクリアした上で利便性を高める、という無茶なアプローチ(笑)を取ってしまったのがこの 50-500mm というレンズです。
例えば 150-500mm というスペックならば、広角から超望遠までカバーするレンズを携行しようと思ったら、標準ズーム+200mm くらいまでの望遠ズーム+150-500mm という 3 本のレンズを持ち歩かなければならないところ、これならば標準ズーム(もしくは 35mm くらいまでの広角ズーム)+50-500mm の 2 本でカバーできてしまうことになります。そう考えると、用途によっては約 2kg という重量も許容できてしまうのではないでしょうか。
では画質、特にボケ味とシャープネスについてはどうか?というのを見てみます。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
50mm 絞り開放。ピントが合っている部分に関しては、開放から十分にシャープだと言って良いでしょう。が、ボケに関してはいかんせん F4.5 なので、50mm レンズとしては物足りないと言わざるを得ません。ボケが汚いわけではありませんが、ボケの絶対量が足りておらず、背景がうるさく感じられてしまいます。
とは言ってもこれだけの高倍率ズームレンズに開放 F2 値を求めるほうが間違っているので、このレンズの広角側は「ボケを活かした作品を撮る」というよりも「幅広いズーム域を活かして撮影の対応力を高め、シャープな写真を撮る」ためにあると言った方が良いでしょう。特に運動会やスポーツの撮影には、この上ない機動力を発揮してくれると思います。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
同じ被写体を 200mm 前後(約 320mm 相当)で撮ってみました。さすがに 500mm で撮る被写体ではなかったので(笑。
F5.6 なので、これくらいならボケも自然ですね。私は 200mm F4 で撮ることが多いので、もう一段大きくボケてほしい気もしますが、十分に「アリ」だと思います。点光源のボケの形もきれいですね。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
いつもの公園で超望遠レンズらしい被写体といえば、やっぱり野鳥でしょうか。23 区内にありながらたまにカワセミやオオルリに出会える公園ですが、それでも毎回見つけられるわけではないので、無難にユリカモメのホバリングシーンを(笑。
この写真の焦点距離で 300mm 弱(480mm 前後相当)です。うーむ、今までほぼ 200~300mm 級の望遠しか使ったことがないので、500mm までのズームを持ってもつい 200~300mm で構図作っちゃいますね(´д`)。撮影場所がいつもの公園だから・・・というのもありますが。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
これもどこにでもいる野鳥、ヒヨドリです。330mm 前後(530mm 前後相当)ですが、十分にシャープだと感じる画質です。私が持っている EF70-300mm F4-5.6 IS USM ではテレ端(300mm)で残念ながらここまでシャープな画質が得られないので、EF70-300mm を手放してこいつに買い換えでも良いかな、と一瞬考えてしまいました。まあ重さが 3 倍違うので、そのまんま代替というわけにはいかないんですが・・・。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
上の写真をピクセル等倍で切り出してみたのがこの画像(クリックで原寸に拡大)。私は基本的にピクセル等倍で見ることはない(全くの余談ですが、等倍での表示について「等倍鑑賞」ではなく「等倍観察」と呼ぶべき、という意見には私も同意です)のですが、ピクセル等倍でここまで解像していたら十分じゃないですかね。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
木の上に止まっていたコゲラ。これはテレ端(500mm)で撮りました。この類の野鳥は体が小さい上に木の高いところに止まっていることが多いので、300mm くらいじゃ全然足りないんですよね。コゲラは何度か撮影していますが、ここまで大きくシャープに写せたのはこれが初めてです。
[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM ]
こちらはユリカモメの群れの中で一羽佇んでいたカワウ。これも 500mm です。色乗りはやっぱりちょっと淡泊かな、と感じますが、どの焦点距離でもピント面がシャープでありながら、ボケかたがナチュラルでとても好印象。
結論はもうちょっといろんな被写体を撮ってみてからにしますが、これは予想以上に良いレンズに出会ってしまったかもしれません。高倍率ズームレンズだからといって侮っていました(笑。超望遠レンズはいずれ一本買うつもりでいたので、マジメに購入を視野に入れながら引き続き試写してみたいと思います。
シグマ / APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM (キヤノン用)
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