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ペンギン・ハイウェイ [Blu-ray]

最近は映画もほとんど配信で観るようになってディスクが発売されても買うことがめっきり少なくなったんですが、これは Blu-ray で持っておきたいと思って購入しました。

ペンギン・ハイウェイ Blu-ray スタンダードエディション

去年の夏に観た映画の中では、個人的には一番ツボにはまった作品。

サイエンス・ファンタジー要素を取り入れた典型的なジュブナイルものの作品ですが、主人公が熱血漢ではなく物事を少し斜めに見る大人びたタイプの少年というあたりが現代的。でもある日突然街に現れたペンギンと「海」の謎を解くストーリーにはこのキャラクターが必要だったのでしょう。また大人びていながらも、年上のお姉さんに憧れたり、他人の気持ちや恋という感情を理解していなかったり、そういう内面が物語を通じてちゃんと成長していくさまが描かれているのも良い。私はなんとなく自分の少年期を追体験するような視点で観てしまう作品です。だからこそ思い入れが生まれるというか、人によっては「なんだこの生意気な子ども」と感じて物語に入っていけないかもしれません(笑。

前半は何気ない日常の中に出現した超常の謎を、子どもらしい視点(しかし科学的アプローチとしては正しい)で解いていこうという話。建物から文房具に至るまで細かく描き込まれた舞台装置がリアリティを添えています。一方でクライマックスは完全にファンタジーの世界、リアルを捨てて天地がひっくり返る映像に「コロリドらしい」疾走感のある演出。最終的にはペンギンとお姉さんの謎は完全に解けるわけではないけれど、余計な寄り道をせずにメインキャラ陣の成長にフォーカスしたシナリオとこの前後半のギャップの大きさがラストのカタルシスに繋がっている。また舞台は主人公アオヤマ君の街からほぼ出ないのに作品のテーマとしては宇宙にも繋がっていく構造になっているあたりが「子どもの目からみた世界」の狭さとその先の可能性を暗喩しているようにも思います。改めて考えると、映像として表現するのが難しい小説をこういう形で映像化してしまったことの凄さを感じる作品です。

実は私は夏休みに長女にこの小説を勧めて読ませていたのでした(笑。長女の性格ならこの作品は面白いと感じたに違いないので、今度の週末にでも一緒に観ようかと。

コメント

  1. EDF_45 より:

    「未来のミライ」でコメントした者です。
    私も31日にこのブルーレイを買ってきたのでした。
    まさに、「未来のミライ」の傷が癒える、素直に面白いと言える作品でした。
    私の長女(小2)も、この手の話が好きな子で、「君の名は。」も、
    「未来のミライ」も、「ペンギン・ハイウェイ」も、小説を読ませてから
    劇場(川崎TOHOシネマズ)に行きました。
    神奈川県内の上映館はここだけになっていた頃でしたが、場内は
    沢山お客さんがいて、根強い人気を感じたものです。

    長女とアオヤマ君はちょっと似ているところがあり、「アオヤマ君みたいに
    ノートに『図1』っていれてるの」とガンガンノートテイクしています。
    エンターブレインから出た設定資料集を、姉妹で愛読しています。

    謎は解けないけれど、「謎を解くためにこれから生きていく」という
    決意をする映画であり、映画全体を通して、「僕はお姉さんが好きだ」
    ということを、そのことを言わずに言っている作品だと思いました。

  2. B より:

    ありがとうございます。EDF_45 さんって昔どこかのサイトか掲示板かでお見かけしたような気がするのですが、記憶違いでしょうか…?

    さておき、本当に良い映画ですよね、これ。
    おっしゃるとおり、ペンギンとお姉さんと「海」の謎という一つの現象を扱いながら、科学的探究と人生の目標、友情、初恋、という多面的なテーマを通じて「少年の精神の成長」を描いた作品だと思います。
    自分の少年時代もある側面ではこうだったかもしれないと思うし、自分の娘たちにもこういう探究心を持ち、忘れられない経験を通じて成長していってほしいな、と思います。

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