今さらながら RX100 VII を借りる機会があったのでいろいろと触ってみました。
私は長年愛用してきた RX100 III からこの春に ZV-1 に乗り換えたところ。像面位相差 AF に対応してレスポンスは良くなったし画質もほぼ RX100 シリーズそのままだから普通に使っていて不満はないのですが、本来スチル用に作られたカメラじゃないから撮ってて楽しくはありません。RX100 III からの乗り換えならば本来は直系の後継機種である RX100 VII の方が良かったのでは…とずっとモヤモヤしていたので、この際ちょっと比較してみました。
デザインやフラッシュと EVF がポップアップする機構は RX100 III そのまま。でも高倍率ズーム化に伴い鏡筒の繰り出しが二段→三段になっていたり、RX100 III では手動で引き出さなくてはならなかった EVF の接眼レンズが VII では自動繰り出しになっていたり、こまごまと変わっています。
レンズの根元についているコントロールリング。これがオミットされた ZV-1 を使ってみて、やっぱりこのリングがついていることで「写真撮ってる感」がすごくあったんだよなあ…というのを改めて感じます。リング操作をステップズームに割り当てられるのも良かった。
RX100 VII のセールスポイントは 24-200mm 相当の高倍率ズームレンズと「α9 譲り」という AF 性能と AF/AE 追随のブラックアウトフリー 20 コマ/秒 連写。コンデジなのにスポーツもそれなりに撮れてしまう性能を持っています。まあ ZV-1(RX100 V 相当のスペック)でも十分な AF 速度だと感じていましたが、使い比べてみると確かに RX100 VII の方が速い。ほぼ AF にかかる時間を無視できるくらいにスッ、スッとピントが合います。
でもそれ以上に驚いたのが接写性能。
私はブツ撮りや料理写真を撮るときにあまり広角は使いません。広角で撮るとパースがついてベタッとした印象になってしまうので、基本的には 50~70mm 前後の画角で真っ直ぐ、立体感が見えるように撮るのが好み。この blog の普段のブツ撮りも 50mm マクロ+APS-C カメラ=75mm 相当で大半を撮影しているし、料理写真も RX100 III や ZV-1 で 50mm 前後の画角を多用しています。
ZV-1 は最短撮影距離 5cm となっているのですが、これはあくまで広角端(24mm 相当)での話。ちょっとズームするだけで最短撮影距離が長くなってしまい、近接でピントが合わないのがちょっとしたストレスでした。一方で RX100 VII の最短撮影距離はスペック上では 8cm(広角端)にとどまり、スペック上は近接性能が低いように見えるのが RX100 VII ではなく ZV-1 を選択した理由だったのですが…各焦点距離で撮り比べてみて衝撃を受けました。
カメラ | ZV-1 | RX100 VII |
---|---|---|
24mm | ||
50mm | ||
70mm | ||
200mm | N/A |
確かにワイド端では ZV-1 のほうが寄れるけど、50~70mm の焦点域では明らかに RX100 VII のほうが寄れる!!特に 50mm 前後での寄れ具合は驚異的です。
私は前述のとおりワイド端での接写はあまり使わないし、逆に 50~70mm くらいで寄れる方が使い勝手が良い。レンズスペック的には 24-200mm F2.8-4.5(RX100 VII)よりも 24-70mm F1.8-2.8(ZV-1)の方が明るいし良いだろう…と思っていたのですが、むしろ RX100 VII こそが私が求めていたカメラだったのかもしれません。
でも RX100 VII の値段を見ると冷静になるんですよね。五年前のカメラに 18 万出すならちょっとガマンしながら ZV-1 を使うか…と思い直してしまいます。モノは間違いなく良いんだけどなあ。
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