テスト用に SIM フリースマホを購入しました。
キャリア端末だと余計な常駐プロセスがリソースを圧迫するから、キャリアフリーで高性能な端末が欲しかったのです。本当は Snapdragon 821 搭載の ZeonFone 3 Deluxe が欲しかったけど激品薄なので、Snapdragon 820 搭載機種から選択。今だとグローバルモデルの個人輸入を除けば Moto Z かこの AXON 7 かの二択ですが、Moto Z が 9 万円前後なのに対して AXON 7 は 6 万円以下で買えるという異様なコストパフォーマンスの高さに惹かれて、AXON 7 にしました。
ZTE は docomo の「MONO MO-01J」の設計製造も受託しているし、中台系スマホメーカーとしては Huawei、ASUS に次いで今勢いがある印象。
私は「開封の儀」とかはやらない主義なのですが、この AXON 7 の梱包はなかなか凝っていたので今回はその様子も含めて書いてみます。
黒いマット紙にロゴが金で箔押しされた化粧箱を開けると、同様にラバーマット調の樹脂でできたトレイに本体が鎮座しています。
「白か黒の高級紙にシンプルな箔押しロゴ、本体サイズに対してマージンのあるサイズの箱」というのは ASUS や Huawei でも同様で、最近の中台系スマホメーカーのハイエンド機のトレンドになっています。国内メーカーだとコストと輸送効率優先で高級機でも梱包は簡素なことが多く、対照的。真似すれば良いとは思わないですが、ブランド価値絶賛向上中というのがよく伝わってきます。
本体用のトレイを取り払うと箱の底にはアクセサリ類が格納されています。
ここもちゃんと世界観を統一した梱包になっていてこだわりを感じます。イヤホン用のしっかりしたキャリングケースまで付属しています。
付属品は USB-AC アダプタ、USB Type-C ケーブルに加えて microUSB→Type-C 変換コネクタが一つついてくるのがちょっと嬉しい。
SIM トレイ用のイジェクトピンには、紛失や他のものの傷つけ防止に配慮したゴム製のキャリングケースまでついています。
USB Type-C コネクタと SIM イジェクトピンを収納するためのウレタントレイ…と思われたものをよく見ると、それは本体用のクリアソフトケースでした(笑。
こんなものまでついてくるとは…至れり尽くせりですね。
付属のイヤホンは Apple の EarPods のモロパクリ。部分的にアルミ素材を使って高級感を出しているとはいえ、こういう節操のなさがやっぱり中華スマホだよなあ…と思ってしまいます。まあ私は使わないから良いんですが。
本体デザインは、フロント側は可もなく不可もなくといったところ。むしろ 5.5inch WQHD(2,560×1,440)の AMOLED(有機 EL)ディスプレイの鮮やかさと高精細さに目を奪われます。ブートアニメや壁紙にあえて鮮やかさを印象づけるものが選ばれているというのもあるでしょうが、これもはや Xperia よりも表示画質高いんじゃないの、と思えるレベル。
背面は iPhone 6 世代の手法をそのままもってきた感じ。アルミ切削系で質感や仕上げは悪くないけどどこか野暮ったい印象を受けます。
カメラが出っ張る点も iPhone と同じ。まあこのへんは中台系メーカーはどこも同じようなもので、みんな Apple に右に倣えなのはせっかく中身が良くできているだけに、もったいないですね…。
昨秋くらいから SIM フリースマホのトレンドになってきた DSDS(デュアル SIM・デュアルスタンバイ)にももちろん対応。
SIM トレイは SIM1 が nanoSIM、SIM2 が nanoSIM/microSD の選択式になっていました。
フロントにこれ見よがしについているステレオスピーカ。AXON 7 は旭化成製オーディオ DAC を搭載したり、ドルビーアトモスに対応するなどオーディオ周りをアピールしているのでこのスピーカにも自信あるんだろうと試聴してみました。
確かにスマホの内蔵スピーカとしてはかなりの音量が出るし、ボリュームを上げても音割れしないのは立派だと思いますが、これで音楽を聴けるレベルかというとさすがにそれはない。置き場所にもよりますが音質はスカスカです。ただ YouTube 等の映像についている音を鳴らす程度であれば十分だとも感じるので、複数人でネット動画を見るときにボリュームを上げて音を出したい、という用途には応えるかと。
ヘッドホン出力のほうは想像以上に良くて、スマホとしては高いレベルにあり、最近の Xperia のヘッドホン出力と比べても遜色ないと感じました。さすがにウォークマンと比較すると敵いませんが、持ち物を減らしたいときやウォークマンを忘れた/電池が切れたときの代替としてであれば満足できると思います。
ドルビーアトモスはユーティリティとしてプリインストールされていました。
ドルビーアトモスは、映画館やホームシアター向けのオブジェクトベースのサラウンドシステムで、スピーカのチャンネル数によらず繋がりの良いマルチチャンネルサラウンドと、イネーブルドスピーカを利用した縦方向も含めた立体的な音響が特長。それがスマホに入ってどうなるのか?と思ったら、AXON 7 に入っていたドルビーアトモスは、あくまでバーチャルサラウンド機能+イコライザ程度のもので、PC 向けに提供されていた「ドルビーホームシアター」を焼き直して名前を変えたものにすぎないようです。映画館でのドルビーアトモス体験が良かっただけに期待していましたが、これはちょっとがっかり。
CES では Qualcomm が次世代 SoC「Snapdragon 835」を正式発表したところですが、とりあえず現行機種としては AXON 7 が最速クラスということで、ベンチマークを取ってみました。Android 向けシステムベンチの定番 AnTuTu と、Windows でもグラフィックベンチの定番である 3DMark から Ice Storm Unlimited、Sling Shot、Sling Shot Extreme の三種。比較対象として私の手持ちスマホの中で最も高性能な Xperia Z5 Compact(Snapdragon 810)でも計測してみました。
ベンチマーク | AXON 7 | Xperia Z5 Compact | |
---|---|---|---|
AnTuTu v6.2.7 | Total | 144,951 | 75,169 |
3D | 58,560 | 25,051 | |
UX | 45,737 | 21,332 | |
CPU | 30,491 | 22,672 | |
RAM | 10,163 | 6,114 | |
3DMark | Ice Storm Unlimited | 29,704 | 21,961 |
Sling Shot | 2,717 | 1,589 | |
Sling Shot Extreme | 2,502 | 1,161 |
おー凄い。SoC の世代が一つ違うだけなのに、AnTuTu のスコアはほぼ二倍。全体的に性能向上していますが、単純な演算性能よりもグラフィック性能が大幅に向上しているのが分かります。3DMark も比較的軽い Ice Storm Unlimited では 40% 弱の差ですが(それでもすごい進歩だと思う)、より高負荷な Sling Shot 系ではさらに差が開いています。次の Snapdragon 835 ではさらにグラフィック性能が 25% 上がるらしいですが、少なくともスマホ VR 等も含む当面のアプリでは性能不足を感じなくても済みそう。
テスト用端末なのでこれをメイン使用にすることはないと思いますが、いじり甲斐のある端末を安価に手に入れることができてホクホクです。これはキャリアスマホを買うのが馬鹿らしく思えてきますね…。
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