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鈴木大拙館

鈴木大拙館

先日の金沢帰省中に、以前から一度行ってみたかった鈴木大拙館に行くことができました。禅の思想を「ZEN」として世界に伝えた金沢出身の仏教哲学者・鈴木大拙の記念館で、特に宗教に明るくない私は知らなかったのですが3月にNHKで放送された『星野源と松重豊のおともだち』で紹介されていて興味を持ちました。

エリア的には兼六園や21世紀美術館の近くにあり、観光がてらセットで巡回するのに良さそうな立地。周囲に有名な観光地があまりに多いため見落とされがちですが、有名すぎないからこそちょうど良い名所ともいえます。

※今回の写真は全てα7 V+FE16-35GM IIにて撮影。

鈴木大拙館

仏教に関する施設というと寺院のような伝統的な建物をイメージしますが、ここは全然そうではない現代的な建築。仏教というよりも有名な哲学者の記念館、と考えた方が良さそうです。
展示室は基本的に撮影禁止ですが屋内はこの長い廊下だけ撮影可。やや薄暗い回廊の中間地点に明るい外光が射し込むのがとても印象的。

ちなみに展示室の展示物は多くはなく、しかも解説もほとんどありません。哲学者だけに自分の頭で考えてほしいということでしょうが、そういう潔さも含めて「禅」的とも言えます。

鈴木大拙館

回廊の窓の外には大きなクスノキ。残念ながら庭に出ることはできずガラス越しでの観覧になりますが、この枝が斜めに伸びた感じと午前中ならば葉が太陽に透ける感じがすごくいい。この日は天気が良くて青空と雲の感じも最高でした。

鈴木大拙館

圧巻の眺望がこの「水鏡の庭」。まさにその名の通り空を映す水鏡のような人工池は定期的に波紋を発する仕掛けが施され、静謐さと動きのある水面の両方を感じることができます。
そして全体的に直線でまとめられた庭園そのものの美しさ。それでいて左右対称ではなくアンバランスさを内包するデザインが、こんなにキッチリカッチリしているのに日本的な侘び寂びも感じさせる。

鈴木大拙館

白壁の向こうに広がる自然は本施設ではなく周囲の日本庭園のもの。つまりこの風景は借景なんですね。
近代美術的なつくりなのに古来からの美意識も併せ持っている、このバランス感がすごくいい。

鈴木大拙館

水鏡の庭に張り出すように存在する はなれ のような建物は「思索空間」。要は哲学するための場所ということですね。
本当はこの建物を真正面から撮りたいのに、その位置に足場がないのが惜しい。でもあくまで左右対称を許さないあたりがこの場所らしい、とも思います。

鈴木大拙館

思索空間はとにかく四角形で区切られた空間。目線の高さまでが黒壁で、その上はコンクリート打ちっぱなし。屋外とはガラスで仕切られてはおらず空気は流れ込んでくるけど、外の様子は黒い四角から覗き込むほかに窺い知ることはできない。内壁が黒いがゆえに外の様子が絵画か動画のように感じられるわけです。

星野源はこの場所に佇みながら『光の跡』(アルバム収録に際して『Why』に改題)を作詞したそうですね。無常観的な思想をベースとしながらも、それでも生きて他人と繋がり合うことの意味を歌った詩の意味が、この場所で聴くことで一層沁みる。

鈴木大拙館

私自身はあまり美術を鑑賞することが得意ではないからあまり美術館には行かないのですが、ここは展示物よりも空間そのものを見て感じるための場所でした。幾何学的なものや空間が好きな私にとって、それらで構成された静かなこの場所はとても居心地が良く、日常とは切り離された意識で思索することはいい刺激になりました。休日でもあまり混んでいないのも素晴らしかった。

期待していた以上に良かったです。金沢に行った際にはまた訪れてみたい場所になりました。今度はあえて雨の日に行ってみたい気もします。

ビクターエンタテインメント

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