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エヴァンゲリオン展 VISUAL WORKS in 秋葉原

ラオックス秋葉原本店で開催されているエヴァンゲリオンの展示会を見に行ってきました。

エヴァンゲリオン展 VISUAL WORKS

3~4 月に NHK で放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」や BS1 スペシャルを見たりメカニックデザイナー山下いくと氏が Twitter で最近ツイートしているエヴァのメカニック周りの裏話を読んだりしているうちに『エヴァ』制作の内側にもっと触れたくなりました。
本来は 5/9(日)までの開催予定だったところ、緊急事態宣言発令に伴う感染対策のため 5/23(日)まで会期が延長されました。なお 9/30 までは過去に行われたエヴァンゲリオン展のデジタルツアーがオンライン上で無料公開されており、内容は本展示会と一部重複しているようなので、現地に行けない方はそちらもどうぞ。

本展示会はヱヴァンゲリヲン新劇場版~シン・エヴァンゲリオン劇場版までの設定画と原画を大量に展示したものです。基本的なキャラクター/メカ設定画や一部原画は劇場版のパンフレット等でも見たことがあるものですが、これだけの大作ならばその裏にもっと大量の設定資料があるはず。「全記録全集」なる資料集が一作ごとに発売されるくらいですから、そこまでは買わないまでもそういうのが見たかった。

立体物の展示は少ないながらもありました。こちらはエヴァ仮設 5 号機の模型。とはいってもこれはリボルテックヤマグチの原型のようですが。

むしろこっちが本命。山下いくと氏による仮設 5 号機の設定画です。コメントに「真ゲッター 3 の足が同じコンセプトだったのでキャタはずしました。ガーン ちくしょうめい」と書かれています。庵野総監督のイメージに対して様々なパターンを具体化して提案しつつ、既に他作品にあるものは徹底的に避けて独創性を追求するという本シリーズの制作スタイルが如実に表れている一枚ではないでしょうか。

こちらは 2 号機ビーストモードの顔。「受け口」とか「なが~~~い」とか、イラストだけでなく言葉も含めて関係者間で正確なイメージを共有していることが読み取れます。

エヴァ輸送用の貨物列車の設定画。こういうものまで展示されています。キャプションに「通称 エヴァ電車」と書かれているのがなんかいい。

安野モヨコ氏が手がけたアスカのパペット設定画。あくまでプロップ(小道具)にすぎないものにまで(といってもこれはアスカにとっては重要な意味を持つものですが)超細かい設定画用意されていることにいちいち感心します。

物語の進行に伴ってエヴァやプラグスーツのデザインが少しずつ変わっていくのもエヴァのメカニック的な醍醐味の一つ。特に「Q」以降は人類の大半が死滅しテクノロジーが失われた世界で既存技術の組み合わせで戦うヴィレとゼーレ由来のオーバーテクノロジーを使ってくるネルフという対比が面白い。

これはヤシマ作戦のワンシーンでしょうか。一瞬しか映らないシーンだけど零号機のどの部位がどうダメージを受けているか、までちゃんと考証した上で描かれていることが原画を見ると理解できます。これはすごい。

原画の余白にコマをどう割るか、それぞれのコマでアスカの口の開き具合をどの程度にするかという動画班への指示が書き込まれています。アニメの制作工程の詳細はよく分からないのですが、原画から動画にここまで細かい指示を入れることってどれくらい普通なのでしょうか。偏執的なクオリティへのこだわりの一部を垣間見た気分です。

偏執的の最たるものがこれ。風景カットの電柱の原画ですが、奥行きのある風景を電柱をレイヤー化して一枚ずつ書き込んでいる(!)。確かに「序」「破」では第三新東京市がまるで実在するかのように思える立体感をもって描かれていましたが、こういうこだわりの果てに生み出されたものだったとは。先日の BS1 スペシャルの中で庵野総監督の電柱や電線への異様なこだわりを記録したシーンがありましたが、アレがこういう形でアウトプットされていたんですね。

これは「破」冒頭に登場した第 3 の使徒のイメージ画。庵野総監督自らによるスケッチです。劇中では登場時間が短かった&動きが速かったからディテールが分かりませんでしたが、こういうコンセプトだったのですね。

それがスタッフの手によってディテールが足され、

最終的に映像で見た形に。
使徒のデザインは庵野総監督だけでなく使徒ごとに異なるスタッフが発案しているとのことですが、新劇場版で初出の使徒は完全に今まで見たことがないようなデザインのものばかりだし、テレビ版のリファインで登場する使徒もディテールが全然違ったものになっていたり、とにかく新しい表現に挑戦しようという意志の強さを感じます。

「ニアサー」発生時の初号機の姿。シン化して光の巨人となってた状態ですが、コアと血管の表現がウルトラマンっぽい。紋様をそれっぽくしたのは意図したものなのでしょう。またコミック版『ナウシカ』の覚醒した巨神兵のようにも見えます。この二つがエヴァのルーツとも言われているので納得できる見え方ではあります。

光りの巨人を別アングルから描いたもの。この設定画の前で身動きが取れなくなるほどの凄味を感じます。

第 8 使徒落下シーンのコンセプトアート。これもまた凄味を感じるイラストです。
イラストの下に書き込まれているのは聖歌の一節らしいですが、このイラスト全体がなんとなく宗教画っぽいオーラを放っているように感じます。

「Q」のワンシーン。「Q」「シン」では前二作以上にキャラクターの表情が強く躍動感のあるシーンが多かったように思います。
原画の一枚絵で見てさえ、動画の動きが自然と脳裏に浮かんでくる。それくらいパワーのある原画。

「Q」は初見では「?????」となる展開続きでちょっと途方に暮れる印象がありましたが、「シン」の後に見返すと納得できる内容で、また画に力があることも含め改めて名作じゃないですか。
新劇場版はシリーズを重ねるごとに制作期間が延びていきましたが、画の力強さはその制作期間の長さに比例しているように感じます。

「ニアサー」後の地上と、白き月。これも金縛りにあいそうなほどの力を感じる一枚です。
映像だと横長の画面が縦にパンするところ、一枚絵で見るとまた違った印象を受けます。

残念ながら「シン」関連の展示物は撮影不可だったので、内容の紹介はここまで。でも「シン」の設定画・原画も同様にすごかったです。
てもどの展示物もただ展示されているだけで、その背後は絵の中に書き込まれたメモから読み取るしかなかったのがちょっと残念なところ。せっかくだから何か資料集的なものでも一つ買ってみますかね。

コメント

  1. 丁稚 より:

    サハクィエルのコンセプトアート、素晴らしい。オッサンになるまでエヴァとの接点はなかったんですが、TVで『破』を見た時に、この使徒のデザインに衝撃を受けて、一気にハマりました。

    • B より:

      ですよね!「序」は第 6(ラミエル)、「破」は第 8(サハクィエル)だと思ってます。特に第 8 は CG を駆使してテレビ版からデザインを大幅に変更したのが大正解だったと思います。

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