スポンサーリンク

雨を告げる漂流団地 [Netflix]

ペンギン・ハイウェイ』のスタジオコロリドの最新作が Netflix で配信開始されたので視聴しました。

雨を告げる漂流団地

雨を告げる漂流団地

製作は Netflix。配信と同時に劇場公開も始まっていますが、この三連休はあいにくの悪天候だったため私は自宅で鑑賞。前作『泣き猫』が私にはあまり刺さらなかったので本作も不安半分でしたが、それは単に岡田麿里脚本が私に合わないだけだったのかもというのを観終わった後に思いました。

小学六年生の主人公・航祐が、かつて暮らしていた/間もなく取り壊しが始まる通称「おばけ団地」に肝試しがてら同級生たちとともに忍び込んだところ、スコールのような通り雨とともに世界は一変。見渡す限りの海の真ん中、団地はまるで船のように漂流していた――というジュブナイル・ファンタジー。
団地って私が子どもの頃にはごくありふれた住宅形態の一つだったけど、現代では多くが老朽化。千葉や埼玉の大規模団地では住民の高齢化が進み、半ばゴーストタウンと化している…という報道も時折見かけ、もはや昭和の遺物というイメージがついています。それを現代に作品のメイン舞台として取り上げているのが興味深い。リアリティーを感じる昭和団地の映像、私には懐かしく見えたけど今の子どもたちにはどう見えるんでしょうか。私が子どもの頃に『となりのトトロ』の草壁家を見たときみたいな感覚なんだろうか。

航祐が同じ団地で姉弟のように育った幼馴染の夏芽との関係性の変化、団地に棲む謎の少年・のっぽの正体、そして果たしてこの海がどこで、団地はどこへ向かっているのか、彼らは無事に帰ることができるのか…などストーリーの筋が複数走っている脚本でした。でも基本的には航祐と夏芽という二人の主人公の心の変化と成長にフォーカスしていて、シナリオや芝居もそれに沿ったものになっていました。思春期を迎え始めた子どもたちの、素直になれない微妙な心持ちがすごくよくわかる。近年、映像は素晴らしいけどキャラクターをシナリオの都合で動かして「なんでこういう展開になるの?」が不明確なアニメーション作品が多いように思いますが、本作は映像も脚本もどちらも良かった。
一緒に団地で漂流する同級生たちもキャラが立っていてそれぞれの一挙手一投足を見るのも楽しかったし、シリアスなシーンと子どもたちがわちゃわちゃやってるシーンのバランスも良い。個人的には、コロリドのこれまでの長編アニメの中で一番良かったかもしれません。団地という我々世代にとってリアリティーのある世界と雄大な謎の大海という映像の対比も面白くて、改めて劇場のスクリーンで観たくなりました。

こういう作品を作ってくれるなら、コロリドには今後も期待したいですね。ここまでは小学校高学年~中学生くらいが主対象という作品が続いていますが、そろそろもう少し年齢層が高めの作品も見てみたいところです。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました