ホビーショップタムタム相模原店のイベントであの「フルスクラッチ 1/144 ガランシェール」が展示されるということで東京から 1.5 時間かけて古淵まで行ってきました。
プロモデラーのみずき匠氏が七年かけてフルスクラッチしたという超大作。『機動戦士ガンダム UC』に登場するジオン残党軍『袖付き』の輸送船です。制作途中のものを X(Twitter)で見かけて以来、UC のファンとしては完成品を見られる機会があれば一度見てみたいと思っていたのでした。
イベントには運搬用のキャリアまで自作してホンダ S660 で自ら持ち込まれたようですね。
ファンの方がタムタム前で待ち構えてくれてました。
本日はありがとうございました♪※積載は高さ、幅、前後長、全て道路交通法規定内です。ガランシェール用にキャリアも自作してシートレールにしっかり固定しています。
雨の日以外は問題無く走行できます。#タムタム相模原店20th pic.twitter.com/PTPwv7secO— みずき匠 (@mizukitakumi) August 3, 2024
S660 がちゃんと「Rivacona Cargo」仕様になっているあたり、ガランシェール隊への愛の深さを感じます。
モビルスーツを運用可能な輸送船という設定なので、ガンプラに合わせた 1/144 スケールでもとにかく巨大。全長 1.5m はあるのではないでしょうか。イベント会場には他のプロモデラーの作品(ガンプラ以外も含む)も多数展示されていましたが、大きさもあって圧倒的な存在感を誇っていました。私のようにこれを見るためにわざわざ来店したお客さんも少なくないようでした。
ガランシェールの機首脇から真鍮線が伸び、その先にはなんとちっちゃいガルダが!
ガルダは全長だけでもガランシェールの倍以上ある超大型輸送機という設定だからスケールが合っていないことになりますが、これは UC の episode 4「重力の井戸の底で」でガルダに囚われたミネバを助け出すためにガランシェールが成層圏を上昇していく場面を再現したものですね。だからガランシェールがガルダのずっと下にいることを遠近法で表現するためにあえて小さいガルダが置いてあるのか。ここからガルダ直掩の MS 隊とガランシェール隊、さらにユニコーンとバンシィが乱戦模様となる緊迫したシーンに移るわけです。もうこの展示を見ただけであの映像が頭に浮かんでくる。
さすがプロモデラー、この複雑な曲面の組み合わせをフルスクラッチで作り上げてしまうだけでもすごいのに、コーションマークからウェザリングまで完璧。1/144 のスケールで表現するならこれくらい、というディテールの入り具合になっていて、全体像を見ても良いし細部を見ても惚れ惚れする。いつまでも観察していられそうな気がします。
Rivacona Cargo のこのロゴですよ。ガランシェールは軍用輸送機ながら民間の輸送船に偽装するため架空の運送会社を装っているわけです。ちなみに Rivacona とは River+Corner=「角川」ということで、小説版『機動戦士ガンダム UC』の出版元である角川にちなんだネーミングなんですね。
で、この 1/144 ガランシェールの目玉にあたるのが後部ハッチ。劇中同様にクシャトリヤが格納され、しかも電動で開閉するギミック付き!これを Twitter で初めて見たときには感動したものでした。
ハッチで待機しているクシャトリヤはもちろん HGUC。私も先日組み立てたところだからこのキットの出来の良さはよく解っているつもりですが、自宅だと大きくて持て余し気味だった 1/144 クシャトリヤがこのガランシェールに収まっているとなんだか小さく見えます。それくらいガランシェールが巨大。
ガランシェールのハッチはなんとリモコンで操作可能(笑。てっきり有線だと思ってました。
自由に動かしてみて良いということで、動画で撮ってみました。
ハッチオープンの速さが劇中イメージそのまんまなところに感動します。もうこの動きを見ながら私の脳内ではジンネマンが「偶然の出会いじゃないってことだ。暗礁宙域まであと 10 分、片付けて帰ってこい」とマリーダに指示を与えています。
ハッチクローズも同様。ハッチの支柱がちゃんと二段階で伸縮するのとか、機体各所のランプがゆったり明滅しているのとかも含め再現度が高い。
機体側面には武装満載のギラ・ズール。これもガルダ戦の際にギラ・ズールを固定砲台代わり(ガランシェールは偽装貨物船でほぼ兵装を持っていないため)にしていたシーンの再現です。ほんの 1~2 カットしか写っていなかったのをここまで再現しているとは。ちなみにギラ・ズールが持っている兵装の種類が旧いものばかりなのは、地球に不時着して砂漠のジオン残党軍(カークス隊)から供与されたことを示唆しているのでしょうね。
側面ハッチはちゃんと厚み方向にトラスが組まれたりしていて、ここもディテールに抜かりなし。ハッチを閉じたときに固定するためのマグネットらしきものがついているのも見えます。
ガランシェール上面のギラ・ズールは本来は移動砲台であるスキウレを固定砲台として運用しています。UC はアニメ化にあたって旧メカをカッコ良く登場させるためのこだわりがすごいけど、それらをどれも見逃さずに模型で再現してしまうみずき匠氏のガランシェール愛もすごい。
反対側面にはベースジャバーが係留。これはカイ・シデン経由でルオ商会から調達したもので、ジンネマンがこれを使ってガルダに乗り込みミネバ奪還を試みたやつですね。そこからユニコーンとバンシィのもみ合いが発生し、そこにデルタプラスが乱入した結果、作中屈指の名シーンに繋がることになります。ジンネマンとマリーダのやりとりは何回見ても泣く。
フルスクラッチされたガランシェール、素晴らしかったです。SNS で見ていた以上に実物は迫力、ディテールともに圧巻でした。これは時間かけて見に行った甲斐がありました。
ちなみにタムタムではこの土日のイベントで多数のプロモデラーの作品が展示されていました。全部載せているとキリがないのでみずき匠氏の他の作品をちょっとだけ紹介すると、
1/144 ローゼン・ズール。現在は HGUC でキット化されているローゼン・ズールですが、これはその発売よりも前に HGUC ギラ・ズールのパーツを一部流用しつつスクラッチビルドされたもののようです。
こちらは 1/144 ディープストライカー。バンダイからは MG では出ていますが 1/144 ではキット化されていないものです。これはカトキハジメ氏監修のもと作られたということで実質的なオフィシャル立体物と解釈して良さそうです。
私は普段あまり模型誌は読んでおらずキットの改造もあまりしないお手軽モデラーですが、プロモデラーの方の力作を目の当たりにするといろいろと刺激を受けますね。また何かプラモ作りたくなりました。
またタムタムの実店舗にも初めて行った(過去に通販を利用したことがあるくらい)けど規模が大きくて驚きました。これ近所にあったら毎週でも通うだろうなあ。相模原って滅多に行く機会がありませんが、近くに行くことがあればまた寄ってみようと思います。
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