前作 “Hurricane” から約 3 年ぶりのニューアルバム。前作は、泥沼の離婚劇の直後ということもあり、6 年ぶりの新作で期待していた割には、作風も変わりすぎていて、しかも全体的に本人の悩める姿ばかりが浮き彫りになるような作品で、個人的にはあまり聴き込めませんでした。初期の “True To Myself“、”A Day In The Life” という二作が掛け値なしに素晴らしい作品で、今聴いても全く色褪せることない名作と思っているだけに、特に。
で、前作で Eric Benet 自身に少し失望していたんですが、今作のジャケットを見てまた雰囲気が変わった?と思い、試しに買ってみました。
「ニュー・クラシック・ソウル」の代表格の一人と言われていた ’90 年代の、ディープで少し錆びたような感触、でもって楽曲や詞にはちゃんとメッセージが込められている作風がすごく好きだったのですが、今作は大きなくくりで言えば “Hurricane” の延長線上にある音。これが R&B と呼べるのか?という疑問はあるものの、彼の声を聴いていると「ああ、この人はもう R&B という枠を超えてしまったんだな」と、不思議とそういう気持ちになってきます。それでいて、所々に散りばめられた厚いコーラスは、まさに Eric Benet の音そのもの。かつてのイメージからはかなり優しい感覚になってしまいましたが、ジャケット写真同様、まだどこか迷いながらも何か一つの「答え」を見つけられたのかな・・・と感じさせてくれる音楽に仕上がっていると言えます。
ちなみに邦題は「愛すること、生きること。」だそうですが、個人的には、いやそういう大げさな表現じゃなくて、もっとシンプルで本質的な “Love & Life” のことを歌いたかったんじゃないの?と思っています。
思わぬ再会でしたが、ある意味で私の中でも一つの新しい指標となってくれそうな音楽だと思います。これからもっと聴き込みたい。
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