久保田利伸 / Parallel World II KUBOSSA (初回生産限定盤)
私はかれこれ二十年来の久保田利伸ファンですが、無視できないコンセプトのニューアルバムが発売されていたので、期待して購入。
『Parallel World II』というタイトルがつけられていますが、前作と位置づけられるレゲエ・アルバム『Parallel World I KUBOJAH』は実に 22 年前。いつもの久保田とは違うサウンドを集めたコンセプトアルバムという企画に、22 年の時を経て続編が制作されたということになります。前作『KUBOJAH』は通常の久保田とは異なるラインながら、『雨音』『Honey B』『Just the 2 of us』(ジャズサックス奏者 Grover Washington, Jr. のカヴァー)、それに久保田自身の往年のヒット曲『You were mine』のレゲエ・アレンジ、という名曲揃いで、私は久保田利伸のオリジナルアルバムの中では実はこの作品がいちばん好き。なので、この新作にも期待せずにはいられないというものです。
本作はタイトルにもあるとおり全編ボサノヴァで構成された企画アルバムですが、これがまたいい。オリジナル曲から自身の過去作のボサ・バージョン、あと近年多い名曲のカヴァーなど、実にバリエーションが豊富。過去作のアレンジも『雨音』『a Love Story』など名曲揃いですが、『Dance If You Want It』がすごい。オリジナルはデビュー当時、マイケル・ジャクソンの影響を強く受けていた久保田らしいアレンジのダンス・ナンバーでしたが、これがボサ・アレンジされることで見事に情熱的なブラジリアンの踊りになる、というのには驚かされます。しかし全編を通してとてもいい塩梅に肩の力が抜けた、「大人」なアルバムに仕上がっているのは、ここ数年の作品を通じて到達した極致といえるのではないでしょうか。
ここのところ厳しい暑さが続いていますが、このアルバムは空調の効いた部屋で外の強い日差しを眺めながら、昼間からモヒートでも飲みながら聴きたい、そんな作品だと思います。
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