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借りぐらしのアリエッティ @109 シネマズ川崎

観てきました。

借りぐらしのアリエッティ

宮崎駿、ではなくジブリの「若手」とされる新人・米林宏昌氏(従来は作画監督等を担当)が監督した作品。ジブリの若手というともう『ゲド戦記』がトラウマになっていますが、同じく若手監督の作品である『耳すま』は良かったので(残念なことに近藤喜文監督は夭逝してしまいましたが)、本作も期待半分、心配半分で観に行きました。

人間の家に「借りぐらし」する小びとが主人公の映画だけあって、舞台はその小びとが住む家。その敷地からほとんど出ることがなく物語が完結するので、ジブリ映画に期待しがちなスペクタクルは残念ながらありません。でも、小びとの視点で見ると「人間の家」であってもいかに冒険に満ちた世界であることか!映像表現や SE(サウンドエフェクトのほう)の効果で、映画の前半はまるで自分も小びとの一員になったかのようなアトラクション感に包まれました。


この作品の主人公は最近のジブリ映画の例に漏れず女性ですが、最近のジブリ映画には珍しいタイプのヒロインだったのが非常に興味深く感じました。
今までのジブリ映画のヒロインはほとんどが何かの特殊能力を持ち、自立した精神を持っていたと思います。極端に言えば、男性の助けを必要としていないヒロインが多い。それはもしかしたら宮崎駿の女性観でもあるのかもしれません。でも本作のアリエッティは「小びと」ではあるものの何の特殊能力も持たず、これから自立しようとする一人の少女に過ぎません。そもそも弱い生き物である「小びと」であることもありますが、アリエッティが(行動力や芯の強さは感じるものの)「守ってあげたい」と感じさせる存在であることが、もしかしたら男性の視点から見たときに今までのジブリ映画とは少し違った感情移入を促しているんじゃないかと思います。

ジブリの後継者問題についてはとやかく言われるようになって久しいですが、私はこの映画を観てそんなこと心配に値しないんじゃないかと思いました。黙っていても人物や動物の動きの躍動感、背景の描き込みやタッチといったところで「ジブリらしさ」を感じられるのだし、別に宮崎駿と高畑勲のフォーマットをいつまでも踏襲していなくたって、より良い映画さえ創ってくれればいいと思います。

正直なところジブリ映画としては地味な部類に入る作品で、空飛ばないし黒いドロドロも出てきません(笑。幼児連れで行って楽しめる映画ではないと思いますが、逆に大人がしっとりと楽しめる良い映画になっていると思います。音響的にも面白いので、AV アンプのサラウンド機能の本領を発揮させてやるにも良さそうなので、早くも BD の発売が楽しみになりました。

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