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探偵は BAR にいる @TOHO シネマズ川崎

久しぶりに邦画を観てきました。

探偵は BAR にいる

大泉洋、好きなんですよ。という割に『水曜どうでしょう』は観ていなかったりするけど(笑。コメディがやれる芸達者な俳優が好き、と言った方が良いかな。さらに刑事もの・探偵ものの小説やドラマも好きなので、話題になっていたこともあり、観に行ってきました。

舞台は札幌の歓楽街・すすきの。私は以前長期出張で札幌のすすきの界隈に滞在していたこともあり、あの街の懐の広さとパワフルさはよく知っています。残念ながら、すすきのの歓楽街を堪能したことはないのですが(笑。でも、同じ大歓楽街といっても、どこか狂気じみた歌舞伎町は私は苦手ですが、すすきのの雰囲気はあまり嫌いになれないかな。

物語は、そのすすきのの片隅にあるバー「ケラー・オオハタ」にかかってきた電話から始まります。
バーという場所は、扉一枚を隔てて日常から非日常へと誘ってくれる場所。私は結婚してからめっきり行かなくなってしまいましたが、以前はよく通っていました。浮世から切り離された「閉じた空間」の心地良さは、他の場所では得難いものがあります。
依頼人からの電話をそんなバー(それも、昭和から時間が止まったかのようなレトロなバーとマスター)の黒電話で受けるところから始まるところから、世界観に引き込まれていきました。映像的にも、引きの画は間違いなくすすきのなんだけど、個別の画はいかにも映画的な、物語の世界。見るからにフィルム撮影の画質でしたが、グレインの感触とか、24 コマの「間」の感じがその世界観を膨らませていて、60 コマのデジタル撮影では生々しすぎたでしょう。大画面で観るような迫力の映像やアクションはありませんでしたが、画作りや演出が映画的で、確かにこれは劇場で観る価値がある映画だ、と感じました。


脚本としては伏線がキレイに張られすぎていて、ちょっと先が読めてしまう展開ではありましたが、十分に楽しめたし、こういう話は好きかな。少し物足りなかったのは、主人公である〈俺〉の背景説明が省かれすぎていて「大泉洋そのもの」に見えてしまい、「依頼人は必ず守る」という〈俺〉のポリシーが唐突に感じてしまったあたりでしょうか。
でも、序盤は(オカルトはありませんが)『トリック』あたりにも似た、緩い笑いをまぶしたような展開で、最後までこんな感じにゆるゆる行くのかなあ、と思っていたら、途中で起きたある事件から急激に引き締まった展開になって、背筋を正されるという(笑。おかげで最後までダレるようなこともなく、うまいなーと思わされました。

公開直後からさっそく 2 作目の制作が決定しているという、明らかにデキレースな展開ではありますが(笑、うまくすれば毎回ヒロインを替えながら続ける 007 のような(むしろ『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』のようなといったほうがいいか)息の長いシリーズになりそうな気もします。ひとまず次回作は観てみたい。事前情報ほとんどなしで観に行った映画でしたが、そのくらい気に入りました。

また、本作は小説が原作となっているそうで、そっちもちょっと読んでみたくなりました。15 年以上続いているシリーズのようですが、初期の 2 作『探偵はバーにいる』『バーにかかってきた電話』は Reader Store でも販売されているようなので、買おうかな。

東 直己 / 探偵はバーにいる

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