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マトリックス レザレクションズ [IMAX/GT] @グランドシネマサンシャイン

話題の新作映画を観に池袋まで行ってきました。

マトリックス レザレクションズ

マトリックス レザレクションズ

PC とインターネットや携帯電話の普及期にネットワークと仮想世界をテーマにしたこと、一世を風靡した「バレットタイム撮影」とワイヤーアクションによる活劇、そして PlayStation 2 の発売とほぼ同時に DVD が発売されたことで DVD の普及に大きな役割を果たしたこと、などその後の映画産業に大きな影響を与えた『マトリックス』および『リローデッド』『レボリューションズ』を含むマトリックス三部作。もう 20 年以上前の話(!)になりますが、その衝撃をリアルタイムで味わった私としては久しぶりの新作を楽しみにしていました。と同時に俳優陣も 20 歳以上年齢を重ねているわけで、そういう点での不安も半分ありました。
これは可能な限り画質の良い映画館で観るしかあるまい、と思ってわざわざグランドシネマサンシャインの IMAX レーザー/GT シアターを選択。結論から言うと、IMAX/GT のスクエアスクリーンを活用するような映像はなかったので、品川の通常の IMAX シアターで十分だったかも。

以下、微ネタバレを含むのでこれから観に行く方は閲覧注意で。

三部作の完結編『レボリューションズ』での戦いの末にトリニティは死亡し、ネオもスミスとの最後の戦いにその命を捧げます。エンディングではいつかネオが復活してもおかしくないような、希望の持てるラストではありました。
そこからの本作『レザレクションズ(復活)』では、ネオことトーマス・アンダーソンはゲーム会社に勤め、かつて『マトリックス』三部作を大ヒットさせたカリスマゲームデザイナーとして登場します。旧三部作の内容は全て彼が作ったゲームの中の出来事でした…というどんでん返しは鈴木光司のホラー小説『リング』三部作(の完結編『ループ』)と同様の構成で、既視感はあるけどマトリックスの物語を拡張する設定としてはアリだよね…と思っていたら、さらなるちゃぶ台返しが隠されていました。アンダーソンが現実に違和感を持ち、マトリックスからの干渉に気づき始めるくだりは一作目の冒頭の流れを踏襲していてその対比が面白かったですね。

ちなみに映画を観ながら気がついたのですが、PS5/Xbox SX 向けのデモとして公開されている『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』は、ゲームパートとムービーパートがシームレスに繋がっているという構成自体がある意味映画の伏線になっているんですね。YouTube でも動画として公開されているので、これは映画を観る前に一度観ておいた方が良いでしょう。

肝心の本編ですが、良くも悪くも「マトリックスの続編」でした。それ以上でも以下でもない。敵対関係に多少の入れ替わりはあるものの、基本的にはネオたちがマトリックス世界と現実世界を行き来しながらコンピューター・プログラムと戦う話。メインキャストの多くは続投していますが、モーフィアス役のローレンス・フィッシュバーンとスミス役のヒューゴ・ウィーヴィングが降板し、別の俳優が演じているのが残念。二人の顔が変わった理由は劇中で説明されていますが(旧作でも諸事情によりオラクルの顔が変わったり、タンクが二作目で突然いなくなっていたりしましたよね)、あの二人はキアヌ・リーブスと並ぶ本シリーズの顔でしたからね。クライマックスくらいはヒューゴ・ウィーヴィング顔のスミスに登場してほしかった。

私としては最初の 40 分くらいまではまあ良かったけど、中盤以降がちょっと辛かったですね。シナリオは旧三部作と対になるような作りになっているけどその分焼き直し感が強く、映像的にも新しい表現もあるけど基本的には 20 年前のマトリックス。しかも監督自身がバレットタイム撮影やネオのスーパーマン表現に飽きているのか、見せ場のはずのアクションシーンがなんか雑で「決め」の画がない。マトリックスってこんな映画だったっけ…?というのが正直な感想です。実は最新作を観るにあたって旧三部作を十数年ぶりに復習してから行ったのですが、旧三部作も一作目は思い出補正もあって楽しめたのに、二作目以降はリアルタイムで観ていたときほど面白いと思えなかったんですよね。ストーリーはともかく斬新な映像表現がコアになっている映画だけに、技術が陳腐化すると感動が薄れてしまうということなのかもしれません。まあバレットタイムなんて今やパロディですら使われなくなった手法ですしね…。
また設定やセリフにメタ的な表現がとにかく多いのも気になりました。これ監督はあからさまにこの映画を撮りたくなかったって言ってますよね。オリジナル三部作はウォシャウスキー姉妹(元・兄弟)の合作だったのが、本作は姉のラナ・ウォシャウスキー単独での監督となっているのもそのあたりの理由によるものなのでしょう。気持ちは分からなくもないけど、この作り方は作品と観客に対して不誠実だと思う。

というわけで、モヤモヤした気分を抱えて映画館を後にしてきました。『マトリックス』は『レボリューションズ』でキレイに完結していた、と改めて考えることにします。

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