ピアストリ、盤石の今季5勝目。終盤のSCでフェルスタッペン表彰台圏内から転落、角田裕毅13位|F1スペインGP決勝
昔から「マシン性能がそのままレース結果に表れる」と言われるスペイン GP。今回はフレキシブルフロントウイング規制が強化されることもあり、勢力図に変化が見られるか…と思ったら優勝争いはいつものマクラーレン vs フェルスタッペンの構図でした。レッドブル的にはむしろ少し後退したようにさえ見え、マクラーレンの盤石さがあらためて確認されたレースでした。
■マクラーレン
ピアストリが強すぎる。前戦モナコでの勝利でノリスが僚友に対して反撃の狼煙を上げるかと思いましたが、予選・決勝ともにピアストリ優勢の状況はカタロニアでも変わりませんでした。これで 9 レース中 5 勝、ノリスとのポイント差はまだ大きくはない(10pt)とはいえ勢いは完全にピアストリにあります。残りあと 15 レース、ピアストリは少なくともあと 7~8 勝は挙げそうですね。
ノリスはピアストリに対して何か仕掛けるようなこともなく、タイヤ戦略の異なるフェルスタッペンとの位置関係を見ながら淡々と走っているように見えました。このままだと為す術なくチームメイトにチャンピオンを掻っ攫われてしまいそう。
■フェルスタッペン
明らかにマクラーレンよりも劣るマシンで限界以上のものを引き出し、3 番手スタートからノリスを抑え込んで 2 位を走行。その後ノリスに抜き返されるも大胆な 3 ストップ戦略を敢行してレース展開次第ではマクラーレンを出し抜けるかも?というところまではさすがフェルスタッペンとレッドブル、と思っていました。が、レース終盤に導入されたセーフティーカーにより状況は一変。ライバルが軒並みタイヤ交換に入る中、フェルスタッペンもピットに入ったまでは良かったのに履いたのがまさかのハードタイヤ。残り 6 周のスプリントで周囲はソフトタイヤを選んでおりマックスは明らかにグリップ面で不利。案の定リスタートで姿勢を乱してルクレールに交わされ、その後ラッセルにも抜かれそうになったところで接触。コーナリングの際に押し出されそうになりながら抜かれたことに対する明らかな報復で、10 秒ペナルティーにも擁護の余地はありません。結果、5 位でフィニッシュできていたはずが最終リザルトは 10 位に。せっかく終盤まで良い走りをしていたのに台無し。
今回はレッドブルにしては珍しくタイヤ戦略が謎でしたが、それにしたってフェルスタッペンの行為は酷い。クルマに競争力がなくて苦しいレースではマックスは押し出しや強引なブロックなどラフさが出てくることがこれまでにもあったとはいえ、ライバルに故意に当てるのはトップカテゴリーのレーサー(それも現役チャンピオン)がやることじゃないですね。
マックスは 5 位フィニッシュならば 10pt 取れていたところが 10 位だと 1pt、つまり自ら 9pt を投げ捨てたことになります。これでピアストリとのポイント差も 49pt に。本人はこのレースのずっと前から今シーズンはもうチャンピオンを守れるとは思っていないでしょうが、これでは仮に今後クルマが改善されたとしてもピアストリに追いつける可能性が低くなったわけです。
■角田裕毅
予選でまさかの Q1 敗退、それも最下位。どうやらマシンセットアップを大外ししたのが原因だったようですが、チームメイトが 3 版グリッドに着けている中でのこの状況はショッキングでした。決勝はセットアップを大変更してピットレーンスタート、ミディアムタイヤを履いて(周囲はソフト)ピットタイミングをずらす作戦かと思ったらそのミディアムは早々に捨ててソフトタイヤに交換。その後もどんどんソフトを履き潰して最終的には 4 ストップ、という謎の戦略でした。結果最後尾スタートからの 13 位フィニッシュというのは大胆なタイヤ戦略が当たったからかもしれないし、セットアップ変更がうまくいったからかもしれません。でも端から見ていて角田が何をさせられているのかがよく解らないレースでした。まあ予選 P20 だった時点で入賞は期待していなかったのですが、せめて今回のレースが今後に向けたセットアップ改善と角田のマシン習熟に役立つ 66 周であったことを祈るばかりです。
次のカナダではようやく角田車にも最新版のフロアが用意されるということなので、フェルスタッペンとのギャップが縮まることを期待しましょう。角田にとっては厳しい状況が続いていますが、今はとにかく信じて応援するのみ。
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