銀座方面に行く用事があったので、ついでにキヤノンのショールームで EOS R50 V の先行展示機を触ってきました。
発売は 5 月下旬ということでまだけっこう先。店頭に並ぶよりもずいぶん早く触ることができました。
これが EOS R1 や R5 だったら待ち行列ができるレベルでしょうが、R50V はそれほど注目されていないのか?フリー状態で触り放題。説明員の方とじっくり話しながら試せて良かったです。
まずはサイズ感、スペック上はソニー ZV-E10 II よりちょっと大きいように見えていましたが、見た目の印象では(横並びで比較できたわけではありませんが)物量感は似たような感じ。R50V の方がグリップの出っ張りが小さいからでしょうか。
ユニークな操作系。動画重視機ではモードダイヤルは省略されることも多い中、本機はモードダイヤルに C1~3 を含む多数の動画モードが割り当てられています。逆にスチルモードは一種類のみ。シャッターボタンが REC ボタンを兼ねていて、動画ではなく写真を撮りたいときには明示的にスチルモードに切り換える必要があります。モードダイヤルがないカメラだとその切り換えには 2~3 ステップ必要なところ、本機はモードダイヤルを回してワンアクションで切り換えられるからストレスがない。よく考えられています。
ちなみに設定メニューは動画モードとスチルモードで大きく異なり、まるで一台のカメラに二種類の OS が入っているような感じ。他社機のようにスチルモード中でも動画も撮れたりその逆ができないのは、ソフトウェアを複雑にしないための割り切りの一つなのかもしれません。
このカメラで特徴的なポイントの一つがグリップ部に設けられた三脚穴。スマホのおかげですっかり定着した縦動画をこのカメラならケージや L 字プレートを使わずに三脚で撮ることができるわけです。
グリップを握ってみたところ三脚穴はちょうど手のひらの窪みあたりに来るようになっていて特に違和感ありませんでした。これまたよく考えられてる。
縦撮りできるならこれも当然、というように UI も縦表示になります。
ユーザー目線だと当たり前に見えるものですが、UI デザインやソフトウェアの実装は同じ機能に対して縦横それぞれに開発しないといけないから大変なんですよねこれ。
キットレンズの RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ。
スペックの割に鏡筒が太いと思ったら、これパワーズーム搭載なんですね。しかも意外にも(フルサイズ向けを含め)RF レンズ初のパワーズーム。
このズームリングの挙動が独特で、リングなのにレバーっぽい操作感です。リングの回転角に突き当たりがあって傾けた角度に応じてズームスピードが変わる。そして手を離すと元の位置に戻る。
ソニー機だとズームリングは延々と回せてしまうので(ミラーレス用のフォーカスリングと同様の挙動。別途ズームレバーもある)アプローチの違いが面白い。ソニーはスチルで使ったときにも違和感がないことを目指したのだろうし、キヤノンのこのレンズは動画での使い勝手を最優先しているように見えます。
ズームの挙動で興味深かったのがボディとレンズのズーム挙動。レンズ側のズームリングは光学ズームのみ、ボディ側のズームレバーはデジタルズームのみを制御します。画面の UI 上で左上に出ているのがレンズ側(光学)、右端に表示されているのがボディ側(デジタル)のズーム表示。ソニー機だとボディ側・レンズ側どちらを操作してもまずは光学ズームで最大望遠まで到達したらそれ以降はデジタル or 超解像ズームという挙動になっているので、ボディとレンズで独立して操作というのは驚きました。でもズームレンズの広角側を使ってデジタルズームで拡大、という使い方は普通はしないと思うので、これも開発を複雑化させないための割り切りですかね。
ちなみにメーカーサイトには「パワーズームを搭載したレンズやパワーズームアダプターを搭載したレンズを使用時には、なめらかなズーム操作ができるズームレバーを採用」と書いてあるので、当初はボディ側のレバーでもパワーズームの制御を行うつもりだったのが途中で仕様落ちしたのか、あるいはマーケ側で誤解してカタログを作っちゃったのか。
ちょうど隣に PowerShot V1 が展示されていたから並べてみたら驚きました。なんと EOS R50 V と PowerShot V1、レンズを除けば本体サイズはほとんど変わらないじゃないですか!これは R50V が小さいというよりも V1 がコンデジにしては大きすぎるということですが、ここまでとは。
なお説明員さんによると V1 は冷却ファンを搭載しているが R50V はボディにマグネシウムダイキャストを使って熱を拡散させているからファンなしでも十分に冷える、とのこと。
ほぼ同時期に出る動画重視機なのに、PowerShot V1 はシャッターボタンと REC ボタンが独立して「スチルもムービーもどっちもいけるカメラ」なのに対して EOS R50 V は「スチルもそこそこ撮れるけどあくまでムービーを重視したカメラ」という方向性が大きく違うのが興味深い。ちなみに値段は V1 よりも R50V のレンズキットの方がちょっとだけ安い、というのも面白い。このあたりは R50V がセンサーをはじめとする基幹部品を他機種と共通化できているのに対して V1 は 1.4inch センサー等の開発費が乗っかってるのが大きいんですかね。
スチルとムービーのクロスオーバー的なカメラってこれから少し盛り上がってくるんじゃないかと予想しているのですが、同じキヤノンの中でも試行錯誤中というのが垣間見えて面白い。市場が確立された後よりもこういう時期が一番楽しいんですよね。R50V、一度自分でじっくり触ってみたいなあ。
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