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テルマエ・ロマエ @シネマメディアージュ

原作を読み、アニメを観たら軽くハマッてしまったので、映画も観てきました。

映画『テルマエ・ロマエ』

テルマエ・ロマエ

古代ローマの浴場設計技師・ルシウスが、現代日本の銭湯にタイムスリップして・・・というコメディ作品。古代ローマとテルマエ(公衆浴場)については大真面目に研究して描かれているだけに面白いという。
そして、実写版のキャストはルシウス役に阿部寛、ハドリアヌス帝に市村正親、次期皇帝候補ケイオニウスに北村一輝、皇帝の側近アントニヌスに宍戸開、という妙に豪華キャスト、かつみんな顔が濃い(笑。主要な古代ローマ人役がみんな日本人というムチャな映画ですが(笑)これなら面白くならないわけがないと思い、密かに劇場公開を楽しみにしていました。
しかしここのところ観てる邦画には何故かきまって阿部寛が出演している法則(笑。いや、こういうくだらないことを大まじめにやる作品には、今や阿部寛は外せないと思います(^^;;


映画の序盤は原作のエピソードをテンポ良くこなしていく感じでしたが、あまりにもテンポが良すぎて原作を知らないと少し置いて行かれる感がありそうというか、古代ローマ側の描写が短く、「これは阿部寛ではなくローマ人のルシウスだ」という認識が脳内で仕上がらないうちに現代日本のシーンに行ってしまうため、最初のほうは「阿部寛が銭湯の脱衣所で牛乳を飲んでいる絵」にしか見えず(笑、やや違和感がありました。でも、何度か古代ローマと現代日本との往来を繰り返すうちに、「この人は古代ローマ人のルシウス」という認識が確立され(笑、それらしく見えていく不思議。いや、やっぱりこの映画はガチのヨーロッパ人にやらせるより、顔が濃くて真剣にコメディがやれる日本人をキャストして正解だったと思う(^^;;

でも個人的にはヒロインとして置かれた上戸彩はちょっと余計だったかなあ、という気がします。原作でも途中からヒロインは登場するんですが、基本的にこの作品は「浴場設計技師ルシウスと風呂の物語」だと思うので、蛇足に見えてしまった感は否めず。また、単に原作の映像化という意味では Flash アニメを使ったノイタミナのアニメ版のほうがシンプルで再現性も高かったと思うので、この映画版は原作とはある意味別の作品だと理解して観たほうが純粋に楽しめるかと思います。
とはいえ、阿部寛以外のローマ人役日本人キャストの演技はほぼ笑い抜きの重厚なものだし、阿部寛のシリアスなんだけどどこかとぼけた芝居っぷりも健在。古代ローマの風景もこうして見るとスクリーン向きだし、サントラも『アイーダ』をはじめとするクラシック・オペラから選曲されたもので、この映画が大まじめに作られた作品だということがよく分かります。とはいえ、観客の立場としてはあまり深く考えずに楽しんだ者勝ちの映画でしょう。アタマを空っぽにして楽しめば、まるで銭湯にでも浸かった後のようにスッキリできる映画だと感じました。

ヤマザキマリ / テルマエ・ロマエ I

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