既にあちこちでいろいろ言われているけど、今日ばかりは言わせてほしい。
日本通信×VAIOから「VAIO Phone」、5万1000円で – ケータイ Watch
「VAIO Phone」発表会、キーパーソン囲み取材一問一答 – ケータイ Watch
年末に予告が出た時点である程度は予想していました。VAIO 社にはスマートフォンの企画/設計/製造の経験を持つスタッフはいないはずなので(唯一近いところで言えば、かつての Sony Tablet P が VAIO と同じ長野県安曇野市の工場で製造されていたらしい)、独立して半年余りでいきなり自社開発までやれるはずもありません。そうすると必然的に日本通信側のリソースやコネクションを利用して開発することになるわけで、良くてせいぜい外装デザインだけ VAIO 社が監修して、中身はどこかの EMS の OEM に限りなく近い ODM 品になるだろうと思っていました。が、単にロゴを貼り付けただけの完全なる OEM 品になるとは、予想していた範囲の中でも最も低い球を投げ込まれてしまいました。
外装まで含めて海外で発売済みの ELUGA U2 と同じ端末で値段が高いだけ、と言われていますが、通貨も法律も流通も違う国の商品と比較すること自体がナンセンスなので、それはいい。もっと言うと、スペックが凡庸なこととか価格が中途半端に高いこととかも個人的にはどうでもいい。そもそもこういう商品を出してしまうこと自体がブランドを毀損している、と思います。新興国向けにロゴがついただけの安物を乱発してブランド価値を貶めた自らの失敗から何も学ばなかったのか。
先日 VAIO meeting 2015 に参加して、以前と変わらぬ開発陣の姿勢に共感したところだけに、余計に落胆が大きいです。会社的にはキャッシュフローの安定化とか投資ファンドの目とかいろいろあるんでしょうが、目先の現金のためにブランドを安売りすることは、開発・製造陣の顔に泥を塗るようなもの。開発陣と経営陣の間に意識のギャップがあるように思えてなりません。
VAIO Z/Z Canvas をようやく発表した直後に、どうしてこういうことができるのか。PC とスマートフォンは異なるカテゴリの製品ですが、常に肌身離さず持っているのはむしろスマートフォンのほう。最も身近にブランド価値を感じる機器でこういうことをやってしまうのは、経営陣が自ブランドの価値を正しく認識していないと言われても仕方がありません。
私は今、年末に導入したぷららモバイル LTE の SIM を Nexus 5 に入れて運用していますが、仮に平凡なスペックでも何か光るものがあれば VAIO Phone に買い換えてサブ機兼テザリング親機として使ってもいいかな、くらいには考えていました。が、これを買うのはいくらなんでも悔しい。
もしかしたら 2 号機以降でちゃんと自社企画(中身は ODM でも仕方ないと思う)の製品が出てくるかもしれないので、薄い望みに賭けてしばらく静観したいと思います…。
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