前編の続き、観てきました。
私は原作未読のため、まだアニメ化されていない後編部分のストーリーは全く知りません。丁寧に描かれているアニメ版を先に観たかった気もしつつ、前編は悪くない内容だったから映画から入っても良いかなあ、と。
後編は零が新人王を獲った後の物語。前編では零がなかなか将棋で結果を出せず悩む、焦る…という場面が多かったのが、後編の零はまるで吹っ切れたかのように強くなります(もしかしたらその強くなる過程は端折られていただけなのかもしれませんが)。その代わり、零自身の悩みというよりは川本家の問題に首を突っ込んでいく局面が増え、前編とはずいぶん違った話になっています。
個人的には、前編は零の内面の話が多かったので自分自身を零に投影しながら見ていた部分がありましたが、後編はちょっと違いました。特に川本家の次女・ひなたが学校でいじめに遭い、それが一応の解決に至るまでの流れは、むしろ自分が親目線になって娘たちの学校で起きていることと重ねて見てしまったし、ひなたを支える家族の対応にもそれぞれ共感できるところがあった。あの状況であそこまで毅然とした態度を取れる子は滅多にいないだろうけど、周囲の人の描き方という点では、すごくリアリティを感じました。
特に心に残ったのは、「ひなちゃんの強さは、この食卓で作られたんだ」という(うろ覚え)零のモノローグ。そう、人間の心の強さとか自信って、家族による無条件の肯定によって形作られるんですよ…。後編は「家族のあり方」に関する複数のエピソードを軸に物語が進行するだけに、自分も家族や親子というものについていろいろと考えさせられました。
しかしまあ、この実写映画、重い(;´Д`)ヾ。前編の主要キャラであり、ほっこり担当要員(ぉ)でもあった二階堂や島田の出番は数えるほどしかなく、頼みの綱の川本家も今回はシリアスなシーンばかり。唯一息をつける場面といえば、零の高校に出てくる林田先生がらみのシーンくらい(笑。高橋一生の林田先生、原作とは随分イメージが違うけど、このイイ感じに力が抜けた高橋一生の芝居だからこそ、男でもこの顔を見た瞬間に「あ、ここ安心できるシーンや」と思えたんだろうなあ。
面白かったです。死屍累々としか言いようがない漫画原作の邦画で、今まで観た中では一番良かったと言って良いと思います。違和感あったのは前後編通じてエンディングテーマくらい(ぉ。やっぱりこういうのに必要なのは「原作愛」なんでしょうね。
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