『THE ORIGIN』アニメ化プロジェクトの完結編となる『誕生 赤い彗星』が劇場公開/配信開始されたので、初日の初回上映に行ってきました。
いつもなら事前のプレミア上映会なり舞台挨拶つき上映に行くところですが、今回はプレミア上映会はなかったし忙しくて舞台挨拶回のチケットを取りそびれてしまったため、通常の上映で鑑賞。チネチッタの LIVE ZOUND シアターを利用しました。
「あのシャア専用ザク」の発艦シーンという最も盛り上がったところで唐突に終わった前作からの続き。ルウム戦役の戦端が開かれる場面から本作は始まります。あのラストシーンのテンションを引き継いで始まるから冒頭からそれはもうアツい。シャアが「赤い彗星」と呼ばれるようになった一騎当千の戦いぶりや専用武器で大暴れする黒い三連星も良かったですが、個人的には最後まで武人らしさを貫いたドズル・ザビの戦いぶりが良かった。やっぱり私は『THE ORIGIN』の中ではドズルかランバ・ラルが好きなようです(笑)今回、ランバ・ラルとハモンの出番はなかったけど…。
ルウム戦役の様子はファーストガンダムの劇中では過去の話として何度か登場するのみで、映像として本格的に表現されたのは今回が初めてでした(『THE ORIGIN I』のアバンタイトルでもさわりだけ描かれていましたが)。ガンダムシリーズの中でも珍しい大規模な艦隊戦と、機動性に優れるモビルスーツに連邦軍の艦船が翻弄される様子は一見の価値あり。まあ、シャアザクの動きは一年戦争当時のザクとしてはいくらなんでも動きすぎだろうというレベルだし、CG ベースの MS 戦は(技術の進歩によって随分クオリティが上がったとはいえ)全体的にまだちょっと軽すぎるように感じるし、違和感はあるもののこの高いテンションも相まって没入させられました。
ルウム戦の後は捕虜となったレビル将軍の脱走劇、ザビ家の確執、シャアがドズルから連邦の「V 作戦」調査を拝命されるまで等が描かれていき、一年戦争の本編への橋渡しが行われていきます。主に政治的な話に終始するため、戦闘シーンはほぼなく映像的には地味になるものの、様々なシーンで駆け引きが行われ、戦時中ということもあって画面にはずっと緊張感が流れます。前半の熱量と比べると抑え気味のトーンで進むので自分のテンションのやり場には困りましたが(笑)、終盤では後のホワイトベース・クルーに対して説明のテロップが添えられて「このまま『THE ORIGIN』の続編として映像化されることがなくなった」ことを示唆しつつ、ファーストガンダムの第一話に向かって状況が整理されていきます。
エンディング後にはついにホワイトベースが登場し、サイド 7 にてガンダムを受領しに向かうシーンが描きながら終幕。緊張から再びテンションを高めに来たところで締められてしまうのは、目の前で据え膳を下げられてしまったかのような飢餓感があります。劇場の客電が点灯する瞬間まで「終映後に一年戦争編アニメ化の発表がされるんじゃないか」という期待を捨てずにいたのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。
しかし、本作の公開直前に掲載されたアニメイトタイムズの安彦総監督ロングインタビューによると、現場としては続きをやりたい意思はあり、売れ行きによっては今後の展開がまた変わる可能性があることを匂わせています。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』安彦良和総監督インタビュー | アニメイトタイムズ
あのホワイトベースの映像を見せられてしまうと、やっぱりこのクオリティで一年戦争をリメイクしてほしかった、という思いが強くなるわけで。まあ過去編でさえ OVA 一本でコミック一巻分を映像化するのがやっとだったので、このペースで一年戦争を描いたらあと 17 話必要になってしまう計算になります。このクオリティでテレビシリーズをやるのは無理だろうし、思い切って端折っていくしかないのでしょうが、せめて劇場版ガンダム三部作のリメイク的な位置づけででも作ってくれないかなあ…。
イベント上映の定番となった特典色紙はメカ作監の鈴木卓也氏による黒い三連星ザク(両肩シールド/バズーカ仕様なのでガイア機ですね)のものでした。前回までは特典色紙は週替わりで各一種類だったのが、今回は週替わりで三種類ずつのランダム配布になった模様。キャストによる舞台挨拶も初日ではなく前夜祭と二日目にやっているようだし、今まで以上に明らかにリピーター狙いの施策を打ってきています。これで『THE ORIGIN』は完結だから最後まで搾り取ってやろう…とでもいうようなサンライズの意図が透けて見えて、微妙(´д`)。
完結記念ということで劇場で販売されていた、公式プログラム収納ケース(¥500)を買ってきました。ガンプラの旧キットの箱を模したデザインになっていて(旧ザクのデザインがケース本体、ザク II のほうがスリーブ)レトロなフォント使いが何とも言えない。ひとまずここまで全て劇場に足を運んできた記念になりました。
Blu-ray の一般発売まではあと二ヶ月ほどありますが、上映期間中にもう一度くらいは映画館で観ようと思っています。
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