PENTAX「フィルムカメラプロジェクト」2024年夏に製品化予定 ハーフサイズを採用 – デジカメ Watch
ペンタックスが 2020 年に発表していたフィルムカメラプロジェクトの進捗が公表されました。開発中のカメラがフィルムコンパクトであることは既報でしたが、具体的には縦位置撮影を基本としたハーフサイズカメラになるとのこと。現代のスマホを軸としたビジュアルコミュニケーションは静止画・動画を問わず縦構図が標準化していることに加え、銀塩フィルム高騰のおり 35mm 判フィルムで二倍の枚数を撮影可能なハーフサイズカメラ、というのは確かに理に適っているように思います。もっと古参のフィルムカメラユーザーにおもねった製品にしてくるかと思っていたのですが、アナログフィルムでありながら新しい時代の市場を開拓しようという心意気は買いたい。
当然これにはペンタックス(リコーイメージング)という会社の事業体制が背景にあって、もう新しくミラーレスへの開発投資を行う体力は残っていないのでしょう。ミラーレスカメラはもう完全に半導体とソフトウェアの産物であり、メカトロニクスが主体だった一眼レフ時代からの移行がうまくできなかったペンタックスとしてはもうそっちには行けない。2020 年の一眼レフ宣言はそういう台所事情が背景にあったはずです。その宣言を聞いた当時は、個人的には「ああペンタックスはユーザーの新規開拓を諦めて、一眼レフと既存ユーザーと心中するつもりなんだな」と寂しく感じたものでしたが、今回のフィルムカメラプロジェクトの発表を聞いて「その手があったか」と思いました。もちろんそれはミラーレスのカメラ市場をひっくり返すようなものではないでしょうが、既に一眼レフがなくなろうとしている中で一眼レフにこだわり続けるよりは希望がある。
ただ、フジ X100VI が中国で大人気という話を聞くようにコンパクトカメラは世界の中でも特に中国で盛り上がっているようなので、そっちに注力することでそのうちリコーイメージングごと中国に買われてしまうんじゃないかという予感もします。オーディオの世界でもカセットテープや CD などのレトロソース系機器はほとんどが中国メーカー製だし、そういう部分での中国のスピード感と規模の経済は侮れません。
(↑写真はかつて私がフィルムカメラに手を出したときに入手した銀塩フィルム。当然とっくに使用期限切れ)
ハーフサイズカメラといえば有名なのはフィルム時代のオリンパス PEN とキヤノン Demi ですかね。でも公式 YouTube の動画によると今回のプロジェクトはリコー/ペンタックスなのでリコー・オートハーフとペンタックス ESPIO mini を意識しているとのこと。中古カメラ市場でもあまり話題になるカメラではないし ESPIO mini に至ってはハーフサイズでもない普通のコンパクトカメラのようなので、それらの要素をどう取り込んでくるか想像もつきません。また動画の中では「電子シャッターユニットを搭載する」と言及されているのもちょっと気になる。デジタルカメラのイメージセンサーに搭載されている電子シャッターをフィルムカメラに搭載できるわけではないので、ここは「機械制御のシャッターではなくて電子制御のメカシャッターを搭載する」くらいの意味ですかね。少なくとも、フィルムカメラらしい手触りを残しつつ、基本的にはオートで撮れるとっつきやすいカメラを目指している、ということだと思われます。
おそらく私が買うことはないでしょうが、今の時代に復刻ではなく新しい製品として企画されたフィルムカメラがどのような形で出てくるかについては強い興味があります。いや、単なる懐古趣味のカメラが出てくるだけだったらほとんど興味もなかったところですが、新しい企画だからこそ興味がある。今夏の発売を目指しているとのことなので、動向を見守りたいと思います。
コメント
[…] ’s mono-logさん(娘さん、大学合格おめでとうございます)エントリー「PENTAX のフィルムカメラプロジェクト」 いまだペンタックスファンがいるので失礼な言い方はしたくないけれど […]