夏の終わりにこのアニメを観ていました。
昨年テレビ放送されていたコミック原作アニメです。
ジムでランニングマシンに乗るときにただ音楽を聴くよりも何か映像があったほうが退屈しないので、よく iPad でドラマやアニメを観ながら走っています(アニメの方が 30 分単位で使いやすい)。ちょっと話題になってたとか Netflix のおすすめに挙がっていたようなのを適当に観て、作品によっては合わずにやめてしまうことも多いのですが、これは 1 話観た後ジムから帰って自宅でガッツリ観てしまった。2 クール 25 話を止められずに一週間くらいでイッキ見しました。
幼馴染みの小舟潮(うしお)の葬儀のために故郷である和歌山の日都ヶ島(ひとがしま)に帰ってきた主人公・網代慎平。潮は海で溺れた少女を救って自らが犠牲になったらしいが、親友の菱形から「潮の死は他殺の可能性がある」という話を聞かされる。
翌日、潮が助けた少女が一家まるごと失踪する事件が発生。そして慎平は、自分にそっくりな「影」を見た者は死ぬ、という島に伝わる「影の病」の噂を耳にする。潮の妹・澪の話から潮の死・失踪事件・影の病との関連性に気づいた慎平は、ここからこの島を取り巻く奇妙な現象に巻き込まれていく――。
というお話。ホラー要素強めの SF サスペンス、いわゆる「ループもの」のひとつです。離島と土着信仰を絡めたウェットな舞台設定はいかにもなジャパニーズホラーなのに展開のさせ方が現代的だったり、映像描写面でも「影」の存在がデジタル的に表現されているのが今っぽい。どことなく手触りが 1990 年代のノベルゲーっぽい感じなのも個人的にはツボにハマりました。でも俯瞰して見ると「冒頭で主人公の身内が死亡」「残酷なシーンも臆さずに描写する絵力」「敵側の能力を操る味方がいる」みたいなのは完全に現代のヒット漫画の文法。
当初、ヒロインがスク水姿の金髪美少女、という時点で自分向けの作品ではないような気がしていたのですが、実際のストーリーはかなりハードで私好みでした。凄惨なシーンは多いけど、直接的なグロ描写はそこまで強くないから耐えられた。
ところで主人公の声、なんか聞き覚えあると思ったら某国民的大ヒットアニメで鬼を滅するお兄ちゃんの人じゃないですか。妹を守るために、勝てっこない強大な相手に心の声で自分を奮い立たせながら戦う主人公…ってキャラが丸かぶり。しかし事あるごとに「俯瞰して考えろ」というのが口癖な慎平君、なんか三十歳前後の意識高いビジネスマンみたいで軽くイラッとする(笑
同じ時間を何度もやり直しながら求める結末に辿り着く、というのはループものの鉄則。でもループのさせ方がエグくて、そこが本作のフックの一つになっています。でも本質はそれじゃない。
ループものって一般的には延々と同じスタート地点からやり直すから「主人公の心さえ折れなければいつかは正解に辿り着ける」と考えて冷めてしまうのですが、本作は「ループするたびに開始地点が少しずつ後ろにずれる=その前からはやり直せない」という設定が高い緊張感を生み出しています。これはループものにおけるちょっとした発明なのではないでしょうか。ジワジワと確定していく時間に追いかけられながら、絶望的な結末を何度もリセットするたびに明かされていく新事実。そして次のループはどのスタート地点から始まるのか。頭の中で整合を取りながら観るのは大変ですが、これほど続きが気になる展開もありません。
ただ後半は SF サスペンスというよりもジョジョシリーズのような異能力バトルになった感があり、前半にあった「誰が敵でいつ『死』が訪れるか判らない緊迫感」が薄れてしまったのはちょっと残念。最終的にそっちに持っていくのはジャンプマンガだから仕方ないところはあるでしょうが、個人的には最後までホラー寄りの SF で行ってくれても良かったかな…。
ともあれ、2 クール分のアニメをイッキ見してしまうほど面白いとは予想していませんでした。オチが判っていても、夏が来たらもう一度最初から観てみたいと思えるくらいに「夏」を感じさせてくれる作品でもあります。
全編を通して使われているコテコテの和歌山弁の雰囲気もなんか良い。和歌山って行ったことないけど、一度行ってみたくなりました。
コメント
[…] 山に住んでいたことがあって、友ヶ島にも行ったことがあります。最近は久しく和歌山に訪れておらず、bさんがサマータイムレンダを紹介した記事を見かけて懐かしく思っていました。 […]