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蚤とり侍 @T・ジョイ PRINCE 品川

阿部寛主演(松重豊助演)のコメディ系時代劇という私好みっぽい映画が公開されたので、観に行ってきました。

蚤とり侍

越後長岡藩の生真面目な忠臣・寛之進(阿部寛)が、その真面目さに起因する失言でバカ殿(松重豊)の怒りを買い「猫の蚤取りとして無様に生きよ」と藩を追放される。寛之進はその命令にも忠実に従い蚤取りの職に就くが、その稼業の実態は女たちを満足させるための「娼夫」で…という話。R15 指定で「そういう映像」が出てくる映画でもあります。

超高速!参勤交代』や『殿、利息でござる!』といったコメディ時代劇がコメディを装った人情劇だったのに比べると、本作は阿部寛、豊川悦司、松重豊、寺島しのぶ、風間杜夫、大竹しのぶといった大御所揃いでコメディをやっているという対照的な作り。基本は笑わせに来ていながらも、要所要所で締めにくる俳優陣の演技には圧倒されます。まあ、主要キャストの四人(阿部寛、豊川悦司、斎藤工、松重豊)が軒並み 185~190cm 級の身長という点でも圧倒されるわけですが(笑。


ただ…個別のシーンは面白かったし、芝居はすごく良かったんですが、肝心の脚本と全体構成がなんだか中途半端。寛之進がなぜここまで実直に娼夫稼業に取り組んでいるのかの背景があまり描かれず、個々のエピソードもやや散発的。前述の『参勤交代』や『利息でござる』が細かい笑いをたくさん挟みながらもストーリーの軸が一切ぶれなかったのとはまさに対照的だと思います。
あまり発散させずに清兵衛(豊川悦司)やおみね(寺島しのぶ)とのエピソードに絞ったほうが軸がハッキリしたかもしれないし、せっかく R15 なんだから濡れ場も半端にコミカルにしないほうが良かった。笑わせたいのか、映像を通じて何かメッセージを伝えたいのか、どっちつかずな印象を受けました。伏線もばら撒きっぱなしで、例えば蚤取り屋の主夫婦(風間杜夫&大竹しのぶ)による「寛之進は肉親の敵討ちのためにあえて蚤取りに身をやつしている」という誤解がいろんな人に伝わってどんどん話が大きくなりクライマックスに繋がる…というような脚本だったらもっとカタルシスが得られたかもしれません。

それにしても本作でいろんな意味で最もオイシイ役どころは豊川悦司でしょう。下ネタあり、絡みありで主役の阿部寛以上に存在感があったし、ここまで従来のイメージを崩してきたトヨエツも珍しいのではないでしょうか。

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