先週末に公開されたばかりの映画を観てきました。
コメディ寄りの時代劇が好きだ、ということを自覚するようになってから、こういう映画を積極的に観るようになったんですが、この映画も『超高速!参勤交代』に似た雰囲気を感じたので面白そうだな、と。ただキービジュアルの見た目からして『超高速』以上に B 級映画感が漂っていて、ちょっと不安には思っていました。
が…騙されました。いや、これは良い意味で。阿部サダヲ主演だからってこんなにコメディ感全開にしないと客が入らないとでも思ったのか?というくらい、実際確かにコミカルなシーンは細かく仕込まれているものの、本質は「人の思いと覚悟」を軸にした感動物語。
江戸時代中期の仙台藩で実際にあった話をもとにした小説の映画化で、重い年貢と労役の負担を軽くするために「殿様に金を貸し、その利息を得る」ことを考えて実行に移した百姓達のお話です。
農民達だけで千両(約三億円)を集めなくてはならないというお題だけでもハードルが高いけど、その一つ一つの課程が面白い。登場人物もそれぞれキャラが立っていて、それを個性豊かな俳優陣が演じています。脚本以上に芝居の力がこの映画の緩急を生み出している印象。当初は笑う気マンマンで観に行ったはずだったのに、最後はこの登場人物達が織りなす物語にのめり込んでいる自分がいました。
仙台藩主・伊達重村役で出演したフィギュアスケートの羽生結弦さんの演技も観るまで不安でしょうがなかったけど(笑)、想像以上に様になっていたのは普段から鍛えられた身のこなしの成果でしょうか。
良い映画でした。よくあるコメディ邦画のひとつとして埋もれていきかねないのが日本映画の寂しいところですが、これは多くの人に観てほしいなあ。
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