スター・ウォーズの新しいドラマシリーズ『アコライト』を視聴しました。
例によって全話分の配信が完了したところで Disney+ に課金して一気見。
時代設定は Episode I「ファントム・メナス」の百年前。ジェダイが銀河の治安を司っていた平和な時代にシスの黒い影が立ち上がってくる経緯を描いた物語となっています。アナキン・スカイウォーカーもオビ=ワン・ケノービも登場しない時代、果たして話として盛り上がるのかという不安と同時にジェダイがたくさんいた時代ならいろんなアクションが見られそうという期待が混在しながらも楽しみにしていました。
冒頭、ある一人のジェダイが殺害されるところから一連の事件が始まります。
最初の犠牲者となるマスター・インダーラ。聡明かつ強力なジェダイを殺すことができた犯人とは何者なのか?というのもさることながら、この顔どこかで見覚えがあると思ったら…『マトリックス』でトリニティを演じていたキャリー=アン・モスじゃないですか!こういう形で SW シリーズに登場するとは想像しておらず驚きました。
この事件を捜査することになるのがインダーラの同僚でもあったマスター・ソル。アジア系の俳優さんが SW シリーズでメイン級のジェダイを演じたのはこれが初めてではないでしょうか。私情を消して超然と構えていることの多いジェダイ・マスターの中では珍しく、悩みや後悔、執着といった感情が見え隠れする人間的なキャラクターです。もしかしてそういうところを暗黒面に付け込まれて闇落ちする展開ある?と予想したのですがちょっと違った。
ちなみにアジア人のジェダイとしてはもう一人、大島遥さんが日本人キャスト初のジェダイ役として本作に登場しています。マスター・ソルの調査隊仲間の一人として特にセリフもない脇役扱いではありますが、これは歴史的快挙。
本作の主人公であるオーシャ・アニセヤ。今は騎士団を離脱した元ジェダイで、かつてのマスター・ソルのパダワン。ジェダイ殺害事件に巻き込まれる形でマスター・ソルと再会し、そこで幼少期に死別したはずの双子の姉・メイが生きていることを知ることからこの物語の核心に迫っていきます。生き別れの双子の姉妹、フォースの光と闇、そしてマスター・ソルの過去。これくらいの要素が揃えばストーリーが面白くならないわけがない。
ちなみに作中では『アソーカ』にも登場したナイトシスター(ダソミアの魔女)に繋がる組織も出てきます。フォースとは何か、その光と闇とはどういうものなのか…がこのシリーズを通じて紐解いていかれそうな予感。
そしてダークサイド勃興の話に必須な役どころとして当然シスも登場するわけです。初出時にはこれチェンソーマンかな?という異形のマスクを被って表れたこのシスが滅茶苦茶強い。本作のアクションシーンで一番おいしいところを持っていったのは彼じゃないでしょうか。型や流儀に縛られるジェダイの戦い方に対してシスの創造的な戦闘スタイルというのもアクションで見事に表現されていて痺れました。でもこのシスが身につけているマスクとガントレット、ライトセーバーを無効化する金属「コートシス」製ってマンダロリアンのベスカーに匹敵するチート装備なんですけど(笑
また本作で興味深かったのはシスの描き方が従来の SW シリーズとは少し違っていた点。他のシリーズに登場するシスは基本的に銀河の支配を最終目的としていましたが、本作のシスはそれとはちょっと違い、ダークサイドの道を究めることと自由に生きることを追求しているように見えます。また他のジェダイを暗黒面に誘うときも「言葉巧みに」というよりは「相手の心の傷に共感する」みたいな描写をしていて、ジェダイの闇落ちに一定の説得力を与えています。話の作りとしてジェダイの腐敗を描きつつシスに肩入れしたくなるような構成は SW としては珍しく、一般的な勧善懲悪の SW シリーズとは少し違うサスペンス的ダークファンタジーに仕上がっています。
最大のネタバレになるラストの詳細は伏せておきますが、何とも救いのない話。明確にシーズン 2 以降の展開を前提としており、だからこそ続きが気になります。しかもラストカットに例のあの人が出てくるとはね…最近の SW、こういうサプライズが多い。あざといけど大好き(笑。
なお Disney+ のプレミアムプランなら『アコライト』は 4K/ドルビーアトモスフォーマットで試聴することができます。先日購入したばかりのソニー STR-AN1000+SA-RS5 の組み合わせが大活躍。特にソル率いるジェダイチーム vs シスの戦いで各キャラクターの動きが立体的に感じられて最高でした。アトモス対応環境を持っているならプレミアム契約して観ないと損と言えるレベルだと思います。
というわけでアコライト、事前の期待値をあまり上げていなかったこともありますが、個人的にはかなりツボを突かれました。ダークなストーリーも良かったし、今までの SW とはちょっと違うワイヤーアクションや体術を絡めたスピーディーなライトセーバーアクションも見応え十分。続編も楽しみにしています。
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