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フロントランナー

先日の出張の機内ではもう一本映画を観ていました。

フロントランナー

『レ・ミゼラブル』『グレイテスト・ショーマン』と当たり続きのヒュー・ジャックマン主演映画とくれば気になるじゃないですか。しかし前二作と違い今回はミュージカル映画ではなく、史実を元にした政治スキャンダルもの。1988 年のアメリカ大統領選挙において、予備選をリードしていた民主党のゲイリー・ハートの物語です。
私は当時まだ小学生で、選挙についてもよく知らない間に大統領がレーガンからブッシュ(・シニア)に交代していたくらいなので、ゲイリー・ハートについてはよく知りません。もっと言えば物心ついたときにはレーガンが大統領で、彼がかつて俳優だったという事実も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て初めて知ったほどです(笑。でも私の世代的なものを抜きにしても、ゲイリー・ハートという人物は日本ではよく知られていないのではないでしょうか?少なくとも今日時点で日本語版 Wikipedia にはページが存在しませんでした。

「ジョン・F・ケネディの再来」と言われるほど高いカリスマ性を発揮し、選挙戦序盤をフロントランナー(最有力候補)としてひた走るゲイリー。しかしプレイボーイとしても知られていた彼は、選挙戦中に新聞に不倫スキャンダルをすっぱ抜かれる。政策とプライベートは関係ないとして引き続き選挙戦を戦おうとするゲイリーに対して、加熱する報道。そこで彼自身が、家族が、選挙スタッフが、不倫相手が、マスコミが取った行動とは…という群像劇的な構造になっています。ゲイリーの参謀として『セッション』やサム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズ等で圧倒的な存在感を見せた J・K・シモンズが、いつもとはちょっと違った渋めのキャラクターで登場しているのも印象的。


物語の描き方は叙事的で、様々な登場人物の動きを時系列で淡々と追っています。ゲイリーと参謀たちの思惑の違いや選挙スタッフとマスコミの駆け引きはなかなかにスリリング。ただ、ゲイリー・ハートという政治家のカリスマ性やプロパガンダの巧さは映像を通じて理解できたものの、彼がどういう信念で政治を行い何故そこまで高く支持されたのかについては登場人物の台詞の中で表現されるにすぎず、リアルタイムを知らない視点から見るとやや説得力に欠ける印象もありました。ゲイリーが何故大衆が政策とプライベートを分けて見てくれると思ったのか、もっと上手く立ち回ることはできなかったのか…が今一つ理解できず、ゲイリーに感情移入するよりも自分自身もこの事件の傍観者の一人という意識でスクリーンを見つめていました。ただ、ゲイリーが妻から突きつけられる台詞だけは、妻子ある身としては無茶苦茶痛い(;´Д`)。これ当事者として浴びせられたらたまらないだろうなあ…。

本作のテーマは「政治家は完璧に清廉潔白であるべきか」「加熱するスキャンダル報道の行く末」といったあたり。「政策よりもスキャンダルで動くこの政治は、まるでスポーツになろうとしている」というゲイリーの言葉は近年の米大統領選の状況を連想させるような部分もあるし、日本や東京の政治に重ねてもいろいろと思うところはあります。それでもスキャンダルの発端となったマイアミ・ヘラルド誌の編集長が「これが選挙の本質だ」(うろ覚え)と反論する一言は、良い悪いにかかわらず実情としては本質を言い当てているよなあ、とも思うわけです。だから何、というわけでもなく、その判断は観客それぞれに委ねられています。

面白かった…んだけど、「ヒュー・ジャックマンがカッコ良かった」以外の印象が薄い映画でもありました(ぉ。直前に観た『グリーンブック』の出来が良すぎたせいもあるのかもしれませんが。

コメント

  1. Clio 改め Rainy より:

    Bさん、ご無沙汰です(^^)
    飛行機の出張が増えたなら、フライトログブック????なんかどうでしょう?
    20年前に知ってたら絶対やってたなぁ。

  2. B より:

    おー、ご無沙汰です。
    フライトログブックってライフログ的なアプリなのかと思ったらリアル紙媒体なんですね。面白そう。
    しかし搭乗前に CA さんとコミュニケーションとって記帳頼むの、なかなかハードル高いなあ(^^;;;

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