三週間ほど前からプレイしている『十三機兵防衛圏』をついにクリアしました。
ほとんど外出できない生活が続いているのもあるけど、ここまで短期集中的にゲームをやったのは相当久しぶり。それだけ没入できるタイトルでした。
ゲームのメインは追想編(ストーリーパート)だけど崩壊編(バトルパート)もやればやるほど中毒性が高まっていく感じ。とにかく物量で押してくる敵をいかに効率よく殲滅していくかの試行錯誤が面白い。機兵再起動シーンのカットインは中二心をくすぐられる格好良さだし、一撃で怪獣に大ダメージを与えたり複数の怪獣をミサイルで一網打尽にしたりできたときの爽快感たるや。一度クリアしたステージでもミッションクリアと戦闘評価 S が獲得できるまでやり込みました。
13 人の主人公の物語を順になぞっていく追想編はいずれも重たいストーリーで、誰が敵で味方か判らない怖さもあります。気の抜けない話でありながら、要所要所に日常的なシーンだったりコメディパートが挟まれてメリハリがある。また各主人公のシナリオは物語の見え方だけでなくテイストも全然違っていて、平凡な女子高生の日常モノから探偵モノ、宇宙 SF モノ、時空を超えた犯罪の容疑者としての逃亡劇、というようにジャンルの異なる作品を同時並行的に見ているような面白さがあります。
ちなみにシナリオは以前『宇宙戦争』と『エヴァ』、『ターミネーター』、『まどマギ』、『スケバン刑事』を混ぜたような感じと表現しましたが、全編クリアして感じたのはさらに『時をかける少女』、『マクロス(愛おぼ)』、『リング』(および『らせん』『ループ』三部作)、『マトリックス』そして『十五少年漂流記』あたりのモチーフが少なくとも入っている印象。それくらい SF の名作と呼ばれる作品の面白いところを組み合わせて再構築したような大作になっています。SF 好きならばどこかで見たようなシーンが多数あるはず。マクロス世代としては、サントラの中で唯一歌入りの楽曲が一番アツいシーンで流れてくる演出がど真ん中ストライクでハマりました。サントラ買おうかな…。
ただし、この物語のキモは上記のような作りであるが故に、SF 好きであればあるほどミスリードされてしまう巧妙なトリックにあると言えます。「この展開はあの作品のあのシーンに似ているから、きっとこういうオチなのだろう」と予想しながら進めていくと、次のシナリオでは全く違う事実が明らかになり、物語のレイヤーがひとつ高く見えてくる。このどんでん返しの繰り返しには本当にやられました。全体の進度が 90% を超えたあたりでようやくこの世界の真相が掴めてきます。
こういうことを書いてしまうとネタバレに繋がってしまうものですが、本作に限って言えばちょっとくらいネタバレしたところで全容を想像することが不可能なくらい複雑な謎解きなので、これくらいは怖がらずに書くことができます(笑。
ストーリーパートは「追想編」とあるとおり、何かを後から振り返った話。実は「崩壊編」で 13 人の主人公たちが戦闘に突入していくまでのストーリーを描いたものです。しかしゲームの進行上は追想編と崩壊編をある程度並行して進める必要があり、主人公たちが戦っている敵が何で、何のために戦っているかは不明なまま戦闘を続けることになります。しかし追想編の各キャラクターの最終シナリオでようやく各人の「戦う意味」が明示され、ラストシーンで機兵を起動させる瞬間のカタルシス!これを感じさせるためにあえて時系列がバラバラな状態でゲームを進めさせられていたことに気がつきます。
追想編・崩壊編・究明編の達成率 100% をもって本編はクリアとなるわけですが、クリア後に崩壊編にて「第 4 エリア・住礼区」が解放されます。本編よりもさらに強い怪獣たちが登場するエクストラステージで、これの終わりが見えない。聞くところによると 9,999 ステージまであるらしい!?という話。ストーリーはこれ以上いじりようがないくらい見事な大団円を迎えるわけで、クリア後はひたすら機兵の強化と終わりのない戦いに身を投じるというわけか…私はとりあえずステージ 5 まででいったんやめておくことにしました(´д`)。
クリア後のお楽しみはもう一つ。「究明編」のイベントアーカイブとミステリーファイルでシナリオと設定を再確認することができます。特にイベントアーカイブは、ゲーム本編では時系列が入り組んだ難しいストーリーを、キャラクターごと or 全体としての発生順に追いかけることができるもので、これでようやく事件の前後関係まで含めスッキリと理解できます。これをじっくり見ていくだけでも数時間単位で溶けていくボリュームで、本当によくこんな物語を作ったものだ…と嘆息してしまいます。
つくづくすごいゲームでした。いやマルチエンディングでもない ADV だからバトルパート以外はそれほどゲーム性が高いわけでもないけど、大作 SF 映画シリーズを観終えたかのような満足感があります。ミステリー系 SF が好きな人であれば強烈にオススメです。
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