「男も女も、朝からみんな、うどん、うどん」
松山で海鮮と鯛どんぶりをいただいた翌日は朝から高松に移動して、こちらのお店にやってきました。同じく 2017 年の『孤独のグルメ 大晦日スペシャル』冒頭に登場した讃岐うどんのお店です。
香川といえばうどん、うどんといえば香川。コンビニよりも多いという香川県内のうどん屋の中から選ばれた店とあっては、嫌が応にも期待が高まります。近年東京で讃岐うどんを出す店はかなり増えたけど、私が本場で讃岐うどんをいただくのはこれが初めて。
この松下製麺所はその名の通り麺の製造卸。その製麺所が隣で直営するセルフサービスのうどん店という位置づけです。
製麺工場から地続きのような、装飾もほとんどない無骨な店内が逆に期待を煽る。食べに来ているお客さんも皆手慣れた感じで流れるようにうどんを頼み、セルフサービスで食べていく。こんなところに讃岐うどん初体験の自分が来て良かったのか?と思いつつ、敷居をまたぎます。
開口一番「何玉ですか?」と訊かれるのが、うどん以外にメニューのない証拠。
ゴローちゃんは一玉だけだったけど、お腹空いてるしここは二玉いってみよう。
注文を済ませると瞬間的に出てくる丼にうどん。
このスピード感、さすがうどん王国・香川。
で、ここから先は完全セルフ。なるほど、それじゃあ…
まずはうどんを丼から網に移して、それをお湯で温めていきます。
おかみさん曰く「軽く温める程度で十分ですよ」とのこと。あまり念入りにすると麺が延びてしまうのか。
お湯の中で適当にゆらゆらしたら、
ジャッ、ジャッ!と湯切り。
ゴローちゃんはこれでもかというくらい湯切りしていたけど、実際にはこれもほどほどで良さそう。
湯切りまで終わったら麺を丼に戻して、隣の槽にあるつゆをぶっかけます。
そして、最後に薬味、と。
サイドメニューの天ぷら類を食べる場合はどれを取るかじゃなくて何品取るかを店員さんに伝えます。なぜなら均一価格だから。
ちなみに今回はお店に到着した時間が遅めだったので、ゴローちゃんが食べていたコロッケは残念ながら売り切れ。
初めてのことに戸惑いながらも、何とか俺の讃岐が完成。でも、これで俺もうどん人の仲間入りだ。心なしか、うどんが輝いて見える。
余計なものが入っていないシンプルさこそがザ・讃岐うどんな感じ。
ここには東京の立ち食い蕎麦屋にはない、緊張感と充実感が存在する。
サイドメニューは丸天とアジフライを選んでみました。
丸天って関東ではあまり出会わないけど、西日本だと一般的なのかな。以前聖地巡礼した福岡の丸天うどんを思い出す。博多のうどんは緩かったけど、ここは讃岐。本場のうどん、いってみようじゃないの。
おー、なんか、うまいぞ。このいかにもうどんが入ってくる、ライブな感じ。
讃岐らしくコシがあってツルツルしてるけど、強すぎるってわけでもなく程良いコシ。
つゆ、うまい。ダシがきいてるというより、つゆがダシそのものだ。
ガツンとくるわけでも、単に優しいだけでもなく、塩気とうまみがちょうど良い。麺のちょうど良さ感も相まって、無限に食べられそうな気がしてくる。
ここでコロッケ代わりのアジフライ。
なんてことない感じのアジフライだけど、ちょっとしっかりめに下味がついててうどんの合間に食べるのに最適。
ソースがないから醤油をかけて食べてみると、さらに和風味が増して落ち着く。
チャラチャラしていないこの硬派なアジフライが、醤油をしっかりと受け止めている。
で、残りはドボンだ。立ち食い蕎麦流、つゆ浸みアジフライ作戦。
醤油をかけたアジフライにうどんつゆが浸みると、また別のうまさを醸し出してくる。アジフライうどん、ちょっとハマったかも。
アジフライで味変して食べるうどんもまた楽しい。
そして食べ終わるとき、つゆの最後にアジフライの破片と、一味と、ネギとがざらざらっと入ってくるのが、最高のごちそうだ。
あぁ…讃岐うどん、良かった。香川、堪能。セルフでこの満足感はさすがだ。
食べている間にもいろんなお客さんが入れ替わり立ち替わりうどんを食べていっていて、地元の多くの人に愛されているお店であることが伝わってきました。大げさでなくハンバーガーや牛丼よりも早く、安く満足感を与えてくれる香川のファストフード、それが讃岐うどんなんだなあ。こういう店があちこちにある香川民が羨ましく感じられます。
初セルフうどん、堪能しました。
また香川に来る機会があったらきっともう一度立ち寄ろうと思います。
ごちそうさまでした。
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