先日の出張時に JAL の機内エンタテインメントで鑑賞した映画。
『オリエント急行殺人事件』に続く、ケネス・ブラナー監督・主演によるアガサ・クリスティのミステリー小説の映画化です。劇場公開中に映画館に行くタイミングを逸しているうちにパッケージ化や配信が始まっていました。
ヒロインの一人ジャクリーンの恋人サイモンは、ジャクリーンと婚約関係にあったにも関わらずジャクリーンの親友である大富豪・リネットと結婚してしまう。その後ジャクリーンはこの二人にストーカーとして付きまとうようになり、ついには二人の新婚旅行先であるナイル川クルーズに乗船してきてしまう。クルーズ船には探偵エルキュール・ポワロの他にリネットやサイモンの複数の利害関係者が同乗していたが、ある朝リネットは客室で死体となって発見され、ポワロがその犯人を推理する…というストーリー。
本作はアガサ・クリスティの古典ミステリーで過去にも映像化されていますが、私は初見でした。登場人物が多くて途中何度か「これ誰だっけ?」となりながらも最後まで鑑賞。謎解きはごく序盤に「こういう筋書きなんじゃないの?」というのを予想しましたが、二転三転する状況にだんだん分からなくなってきて、でも最終的なオチはやっぱり予想した通りでした。でもアリバイ工作とか第三者の介入によって推理しづらくさせるミスリードとかが巧妙で、ミステリーとして純粋に楽しめました。高名な探偵ポワロが事件に介入することで逆に被害者が増えてるんじゃないの???という、コナン的なツッコミをしたくなるシーンもありましたが(笑。
ケネス・ブラナー版ポワロ、私はデヴィッド・スーシェ版ポワロのイメージが強すぎるせいで前作ではポワロにしてはちょっと若々しすぎるような…と感じていたのですが、年齢を重ねたこともあってか本作では貫禄が出てポワロらしさが備わってきているように感じました。犯人や関係者を精神的に追い詰めていく操作スタイルも相まって、ピリピリした雰囲気がよく出ている。映像も一部 CG の安っぽさが気になりましたが、映画向きのスケールの大きな作りになっていて、映画館に行くべきだったと少し後悔しました。
ちなみに帰りに乗ったアメリカン航空でも本作が配信されていたのですが、連動するかのようにデヴィッド・スーシェ版も配信されていたので観てみました。
ケネス・ブラナー版も十分アリだと思ったけど、デヴィッド・スーシェ版を観るとやっぱりこっちこそ本物のポワロだなと思いますね…とにかくこの顔と芝居のイメージが強すぎる。これ制作は 2004 年らしいですが、テレビドラマだから映像のスケールが小さいことを除けば今でも十分に観れますね。
あとスーシェ版は今まで NHK での熊倉一雄による吹き替えでしか観たことがなかったのですが、初めてオリジナル音声を聞いたら熊倉一雄がいかにスーシェの声や芝居の雰囲気をうまく日本語に変換していたかがよく分かりました。
ブラナー版とスーシェ版を立て続けに観たことで、設定や展開が改変されている部分が確認できたのも面白かったです。私は全体的にはスーシェ版の雰囲気の方が好きだけど、ラストシーンだけはブラナー版の方がドラマチックで良かったかな。でもこれ、最後まで見ると邦題は『ナイル殺人事件』よりも原題に即した『ナイルに死す(Death on the Nile)』のほうがしっくりきますね。
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