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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会

遅ればせながら購入しました。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版]

庵野秀明責任編集による『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の同人誌です。もともとは 1993 年(逆シャア公開から五年後)に発行されたものが三十年の刻を超えて復刻。
買おうと思ったら Amazon では品切れで、アニメスタイル ONLINE SHOP で注文したらなかなか発送されず、結果的に Amazon での再入荷を待った方が早かったという。

同人誌と言っても庵野氏は作品にメカニカルデザインとして参加しており、一般的に言われる「同人誌」とは方向性が異なります。一人のアニメーションクリエイターとして『逆襲のシャア』を評価し、富野監督ほか作品の関係者および業界関係者との対談を軸にまとめたムックになっています。ほぼずっと対談のテキストが続くから読み物としては面白いけどなかなか読みづらい(笑。
対談相手は本当に豪華で、例えばスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーを交えて富野監督と宮崎駿・高畑勲両監督との共通点や違いなどについて語っている部分は非常に興味深かったです。この二人にとってそれぞれの監督はこう見えていたのか、という発見がありました。

1993 年というと『逆襲のシャア』という作品には一定の評価が済みつつ、一方で庵野監督はまさに『新世紀エヴァンゲリオン』の企画を練っている時期。そういう背景を念頭に置いて読むと、当時のアニメ界がどういう空気だったのかがよく判ります。また 2019 年に庵野監督の(株)カラーがガイナックスを提訴した経緯をふまえると、本書に掲載されている山賀博之ガイナックス元社長のコメントは味わい深い。この二人、最初から掛け違えていたんじゃないですか。

基本的には制作の裏話をまとめたムックですが、映像や演出のこだわりとか技術とかいった話はあまりなく、「富野由悠季という作家がどういう心境で『逆襲のシャア』という作品と向き合ったのか」を様々な関係者の証言から読み解く内容になっています。だから富野監督の人間性とか制作の経緯といった話が中心。同人誌だから遠慮なく赤裸々に語られた話も多くて「その話は聞きたくなかった」的な部分もまああります。「これは家電製品で言えば『取扱説明書』ではなく、『サービスマニュアル』」という表現は言い得て妙だと思いました。

私は『逆シャア』は初見ではあまり好きにはなれなかったのですが、その後歳を重ねつつ何度も見返すごとに面白さが増してきています。後続の作品で補完される部分と、自分自身の人生経験で解るようになっていく部分と。本書を読んだ後に改めて鑑賞するとまた一段奥行きが増すんでしょうね。

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