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B&W 704 のツイーター修理 (2)

昨日のエントリーに続き、B&W 704 のツイーター修理の話を書いていきます。

前回はメタルドームが凹んだツイーターユニットを交換しました。リビングで使っているフロントの 3ch 中 2 本(フロント L/R:B&W 704、フロントセンター:B&W HTM7、サラウンド L/R:B&W DM600S3 を使用)。ツイーターが壊れていたのは 704×1 本と HTM7×1 本でしたが、フロント L/R はできるだけ状態を揃えておいた方が良いだろうと思ってツイーターの入れ替えを行い、今回部品調達したツイーターをフロント L/R に使用しました。壊れていなかったツイーターは HTM7 に移植したわけですが、これも 16 年前のスピーカーだから状態が良いとは言い難い。そこで南雲さんのエントリーに倣い、私もツイーターユニットのメンテナンスを行います。

気分はマグネットコーティング B&W CDM1-SEメンテナンス|南雲暁彦
とある深夜、サブシステムのスピーカー接続を急にバイワイヤリングにしたくなり、 ごそごそとケーブルをつなぎ変えた時に、やっぱりか、、が発覚した。左のツイーターから出てる高音がおかしい、、寸づまっていてチャカチャカとオモチャみたいな音になっている。スピーカーはB&WのCDM-1 SpecialEdition。オークションで...

南雲さんのエントリーに掲載されている動画では、明らかに詰まって聞こえていたツイーターの音が見事に復活しています。これはすごい。

私の 704 も購入当時からちょっと音が変わってきた感覚があって(ツイーターが凹んでるんだから変わって当然ですが)、以前スピーカーケーブルを買い換えたりインシュレーターを交換したりしてある程度改善したものの、もうちょっと何とかなるのではとは思っていたのでした。
私の場合は南雲さんほど極端にツイーターが詰まってるとは感じていませんでしたが、ちょうど良い機会でもあるし何より面白そうなので(笑)南雲さんの手法をなぞってみました。

B&W 704

無事だったツイーターユニットを取り外し、バラしてみました。ユニットを留めている 3 本のネジを外すと、メタルドーム部と中心に穴の空いたマグネット部に分離できます。

マグネット部中央のマグネット本体とその周りのバスケット(金属外装)の間にある黒くて円い溝が磁性流体で満たされていて、今回はこれを入れ替えていきます。

B&W 704

メタルドームの付け根のところにある短い円柱状のリングがツイーターのボイスコイル。茶色く色づいているのは取り外すまでこのボイスコイルが浸っていた磁性流体です。ここに触れると指に茶色い液体がつきます。

B&W 704

ちなみに今回無事だったツイーターユニットにはちゃんと元々の磁性流体が満たされていましたが、↑の写真はドームが凹んでいた方のツイーターユニットの中身です。円い溝の左上半分(8 時方向から 1 時方向にかけて)の磁性流体が喪われ、銀色の溝の底が見えているのが分かります。蒸発したのか流出したのかは分かりませんが、これでは本来の音が出なくなっていても不思議はありません。

さておき、この磁性流体を入れ替えるわけですが、これもちゃんと売られているんですね。

FerroTec / 磁性流体 Ferrofluid

FerroTec Ferrofluid

Amazon でも販売されていましたが、横浜ベイサイドネットが Amazon 価格よりも安く販売していたのでこちらを利用しました。

Ferrotec フェロフルード 磁性流体(900uL)|横浜ベイサイドネット
Ferrotec(USA) Ferrotec フェロフルード 磁性流体(900uL) 2,390円(税込2,629円) Ferrotec(フェローテック) フェロフルード 磁性流体(900uL)表示価格は「1個」のお値段です。(価格を改定しました!)【お詫び】輸入元の大幅な値上げや、流通コストの値上げなどにより、価格を...

それでも 1mL に満たない液体が ¥1,000 以上というのはすごい値段に思えますが、得体の知れない割に信じられない値段がついていることも多いオーディオグッズの世界から考えれば役割と効果が明確で、単価も高くない。
ちなみに私は交換したツイーターユニットにマグネット(磁性流体充填済み)がついてくると思っていなかったので、合計 3 本のツイーターの磁性流体を入れ替える必要があると考えてこの Ferrofluid を 2 本購入しました。が、結局磁性流体を入れ替えるツイーターは 1 本になったので、Ferrofluid も 1 本あれば十分すぎたという。

FerroTec Ferrofluid

Ferrofluid の内容物。ビニールチューブに入った磁性流体と取説、それとツイーターに元々入っていた磁性流体を吸い出すための紙のセットです。
チューブは先端をカットしたら密封しておく術がないため基本的に使い切りと考えた方が良いでしょう。まあそう頻繁に使うものでもありませんが。

B&W 704

まずは紙(スケッチブックの切れ端みたいな紙)をツイーターの溝に差し込んで、古い磁性流体を吸い出します。見た目は鉄錆が溶けた水みたいな感じ。
南雲さんの個体はこの磁性流体が固化して、さらにはジャリジャリした砂鉄みたいなのが溜まってたらしいですが、私の場合はまだそれなりにサラッとしていてキレイに吸い出せました。

B&W 704

磁性流体を吸い出した後、念のためカメラ用のレンズクリーニングペーパーで溝の中を拭き取り。
真上から見るとキレイに溝の底が見えています。

B&W 704

そこに新しい磁性流体を注ぎ込んでいきます。

磁性流体は少しだけ粘性のある液体で、ちょっとだけ溝に注ぎ込むとあとは毛細管現象と磁力によってチューブから流体がどんどん吸い込まれていきました。これは実験としてもちょっと面白い。
溝は本当に細いため、ツイーター 1 本あたりで 1mL にも満たないチューブの半分も使わない感じでした。

B&W 704

これでツイーターマグネットに新しい磁性流体が満たされました。
あまりギリギリまで注ぐとボイスコイルを挿し込んだときに溢れてきてしまうので、元々入っていた量を憶えておいて程良いところで止めてやる必要があります。

B&W 704

そこにメタルドームと Nautilus チューブを組み付け、スピーカーキャビネットに戻してやれば完成。
この工程で誤ってメタルドームに触れて凹ませてしまっては元も子もないので、慎重に作業します(笑。

しかしマグネットを横向きにしても磁性流体が漏れ出してこないのは、磁力で留まっているとはいえちょっと不思議な感覚です。

B&W 704

ツイーターユニットを交換した 2 本(L/R)と磁性流体を交換した 1 本(センター)の作業がそれぞれ完成。
704 はバイワイヤ対応なので高音側だけアンプと結線して作業前と後で比較してみましたが、ある程度ボリュームを上げた状態(高音域だけだと聴き取りづらいので大音量で鳴らしてみた)では聴感上はそれほど劇的に変わった印象はありませんでした。が、低音側も結線して全体で聴くと高音の伸び、中域との繋がりが良くなって全体バランスが改善した感じ。もしかするとプラシーボである可能性も否定できませんが、メタルドームについては変形したものから新品に交換したことで小音量でも響きが良くなった可能性が考えられます。磁性流体はそもそもあまり固化していなかったのでさほど効果はなかったかもしれませんが、今後また長く使っていきたいので予防的交換ができたと思って納得することにします。

とにかく、リビングに鎮座するメインスピーカーが凹んでいる状態というのは音の良し悪しだけでなく気分的にも残念だったので、それがようやく直って音のバランスも改善したのは本当に嬉しい。本当はツイーターハウジングのラバー割れを修理できれば完璧なんですが、こればっかりはしょうがないですね。
今回の経験で良いスピーカーであっても消耗品であることがよく分かりました。が、独身の頃にある意味一生もののつもりで買ったスピーカーなので、これからも大切に使おうと思います。おそらく劣化しやすいのは磁性流体とウーファーのラバーエッジでしょうが、それならある程度は DIY で直せそうなことが分かったことですし。

お盆休みもあまりあちこちは出かけられなさそうなので、久しぶりにリビングでじっくり音楽と向き合おうと思います。

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