シグマ、フルサイズミラーレス専用設計「85mm F1.4 DG DN|Art」を発売 – デジカメ Watch
シグマがフルサイズミラーレス用の 85mm F1.4 レンズを発表しました。
DG DN シリーズではつい一ヶ月半前にライトバズーカこと 100-400mm が発表~発売されたばかり。かなりスパンが短いですが、通常ならば CP+ や photokina などのイベントでまとめて発表していただろうところ、COVID-19 の影響で各種イベントがキャンセルされている影響もあるのでしょう。オンライン発表ならばイベントにかかるコストも低いから各製品に最適なタイミングで発表した方がニュースの露出量が増えるし、発表~発売までの期間が短いほうがユーザーの熱が冷めにくいという利点もあります。またここ数年のシグマはエンドユーザーとの接点を従来以上に大切にしている印象があり、できるだけ高頻度に山木社長自らがユーザーの前に露出することを心がけているように見えます。ライトバズーカのオンライン発表は事前収録ベースだったのが不評な反応があったのを受けて今回は(日本国内向けは)ライブで行ったことからもその姿勢が見て取れます。
さて、今回の 85mm F1.4 DG DN | Art。85mm F1.4 というスペックは既に一眼レフ用の DG HSM が 2016 年にリリースされています。ミラーレス用には後追いで E/L マウント版も発売されたし、EF/SA マウント用を MC-11 経由で使っても良い。だからまだしばらくの間は一眼レフ用とミラーレス用は共通設計のまま行くのかと思っていましたが、ここに来て同スペックのレンズをミラーレス専用設計にリニューアルするとは。今回のオンライン発表での山木社長の話しぶりから推測するに、今後はフルサイズミラーレス用レンズの開発に注力し、他の既存ラインアップもミラーレス用に置き換えていく方針のようです。
85mm F1.4 DG HSM(A016)ユーザーとしては今回の DG DN(A020)に買い換えるべきか悩ましいところ。とりあえず E マウントベースでこの二本のレンズ+ソニー FE 85mm F1.4 GM のサイズとスペックを比較してみました。
モデル | SIGMA 85mm F1.4 DG HSM A016 |
SIGMA 85mm F1.4 DG DN A020 |
Sony FE 85mm F1.4 GM |
---|---|---|---|
レンズ構成 | 12 群 14 枚 | 11 群 15 枚 | 8 群 11 枚 |
特殊レンズ | SLD ガラス×2 非球面レンズ×1 |
SLD ガラス×5 高屈折率ガラス×4 非球面レンズ×1 |
ED ガラス×3 超高度非球面レンズ×1 |
絞り羽根枚数 | 9 | 11 | 11 |
最短撮影距離 | 85cm | 85cm | 85cm |
フィルタ径 | Φ86mm | Φ77cm | Φ77cm |
外形寸法 | Φ94.7×152.2mm | Φ82.8×94.1mm | Φ89.5×107.5mm |
重量 | 1,245g | 630g | 820g |
価格(税込) | ¥117,830 | ¥118,800 | ¥225,090 |
※スペックは E マウント基準。価格はヨドバシドットコムの本日時点のもの(DG DN のみ予想価格)。
A020、めちゃくちゃ小さいじゃないですか。フードつきでもフードなしの A016 より短い(笑。ソニーの G MASTER と比べても(シグマはフードありの画像しかなかったので分かりづらいですが)シグマ A020 の方が一回り小さく軽い。
A016 は私が持っているレンズの中でも最強クラスの画質を誇る一本ですが、いかんせん大きく重いため、このレンズで撮ることが目的化した日でないとなかなか持ち出せません。その後 Batis を買ったこともあってさらに使用頻度が下がってしまっていたんですよね…。その点 A020 ならば重さは約半分、Batis ほどじゃないけど気兼ねなく持ち出せます。
あと気になるのは画質ですね。A016 はもともと一眼レフ用のためカメラ側でのデジタル補正を前提としない設計でしたが、A020 はミラーレス専用で最初からボディ内補正をある程度想定した光学設計になっているとのこと。それでも全 15 枚のレンズのうち 10 枚に高コストな特殊レンズを使用して収差を最小限に抑えていること(高屈折率ガラスの採用は画質だけでなく小型化にも寄与しているはず)から極端なデジタル補正はかけていないと思われますが、実際どの程度なのか。先日も書いたとおり、ミラーレス時代になってレンズもボディ側の機能をある程度前提とした設計になるのは既定路線であり、個人的には技術をどんどん使ってより多くのユーザーが画質や携行性や扱いやすさのバランスが良い製品が増えていくのは喜ばしいことだと思っています。が、私の場合は比較対象が画質だけなら最強な A016 なので、それと比較して納得がいくものかどうかが重要。勝てないまでも許容範囲内の差であれば、A016 から買い換えを検討したいところです。
発売は今月末とのことで、まずは先達のレビューを見てから考えますかね。
コメント