スポンサーリンク

CP+ 2024 シグマブース(500mm F5.6 DG DN OS)

この時期恒例の CP+ に今年も行ってきました。

CP+2024 カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+(シーピープラス)」

とはいえ大手カメラメーカーからの新製品発表も多くなく、昨年あたりから Adobe やヴィデンダム(Manfrotto/GITZO などのグループ)も出展しなくなり、新製品に触れるためのイベントという意味合いが薄れてきて「見るもん減ったなー」という印象。なので今年もレポートは軽めに済ませます。

まずは数少ない実機を触りたい新製品があったシグマブースから。

SIGMA

今年のシグマブースは例年とはちょっと雰囲気が違い、本社(川崎市)に所蔵する大量の写真集を閲覧自由な状態で展示した上でシグマという企業の写真文化への貢献をアピールしていました。カメラ業界全体として新規ユーザーの獲得が年々難しくなる中、既存ユーザーに向けた写真文化へのコミットを示す必要に迫られているのだろうなあ…と想像。新製品をどんどん出していくことよりも市場を耕す方が重要な局面にある、というのは解る気がします。

そんなシグマブースでは、CP+ 初日ということで山木社長自らによるプレゼンテーションがありました。基本的には前日に発表された二本の新レンズの解説でしたが、冒頭に語られたのはこちらのトピック。

SIGMA

フルフレーム X3 センサーの開発状況について。何度もやり直しや仕切り直しを繰り返しつつなかなか前進しているようには見えないこのセンサーについて改めて説明がありました。
山木社長の説明によると、センサーは現在まだ設計段階、製造についても検討段階とのこと。開発は日本国内主体に移したということですが、私が聞いた限りでは二年前の公式発表から目立った進捗がないという意味合いに受け取りました。それでも開発を諦めたわけではないことが明言されたのは朗報ですが、半導体の開発プロセスを考えたらこれは少なくともあと三年は最終製品として世に出てくることはなさそうです。

ちなみに二年前の時点で既に「Foveon」という名称は使われていませんでしたが、今回の呼称も「Full Frame X3 Sensor」となっています。ちなみに今 Foveon 社の Web サイトにアクセスしたところシグマのトップページにリダイレクトされる状況。このことから察するに、三層センサーのパテント自体は Foveon を買収したシグマが保持しているけど、センサーの開発を国内に移管した時点で米 Foveon 社は解散してしまった可能性があります。仮にこのセンサーが世に出たとしても Foveon を名乗らない可能性が高く、ユーザー間で呼ばれている仮称 FFF(Full Frame Foveon)も FFX3 に改称したほうが良さそうですね。なんかファイナルファンタジー X の続々編かコアファイターの形式名みたいですが(笑。

SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS

さておき、私が今回見たかったのは 500mm F5.6 DG DN OS。シグマのミラーレス初望遠単です。「手持ちで撮れる 500mm」の名の通り、かなり小さい。
とはいってもレンズフードつきだとあまりコンパクトには見えませんが、フードを外すと

SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS

これくらいのサイズ感。フルサイズ用の 70-200/2.8 と同クラスのレンズに見えます。
単体で見るよりも比較対象があった方が分かりやすいですかね。先ほどの山木社長のプレゼン時に一眼レフ用の 500mm F4 と並べておいてあったのを見れば一目瞭然でしょう。

SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS

↑この写真の真ん中が 500mm F4、右隣が 500mm F5.6。とても焦点距離が同じで開放絞り値が一段暗いだけの差とは思えません。スペック上は直径・全長ともに 2/3、重量が約半分だけど見た目の印象では半分以下のサイズ感に小型化されています。山木社長によるとこの小型化は SLD/FLD という特殊低分散レンズを多用(計 5 枚)した成果ということで、ここまでの小型化は従来であれば回折光学素子(キヤノンがかつて使っていた DO レンズ)でなければ難しかったとのこと。近年の光学レンズは硝材や硝材加工技術の革新によって長足の進歩を遂げています。

SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS

興味深く感じたのは独立した絞りリングを備えている点。キヤノンやニコンのレンズではコントロールリングに絞りをアサインすることができますが、300mm 以上の望遠レンズで専用の絞りリングを持っているのは珍しい。開放 F5.6 という特段明るいわけでもないレンズだし主にシャッタースピード優先で使われることの多いレンズですが、それでも絞り調整によって写真表現を楽しんでほしいという意図でしょうか。確かにこのレンズは非球面レンズを使用しておらず、ファインダーを覗いてみた限りではボケがとてもキレイだったんですよね。

SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS

シューティングポジションに構えるとこんな感じになります。持っているのが私よりもさらに身体の大きなクマデジタルさんだから必要以上に小さく見えるかもしれませんが、500mm としては確かにかなり小さいし軽い。ただ、レンズ構成図を見ても前方に大径レンズが重なっているせいか、けっこうフロントヘビーな印象を受けました。手持ちで撮れる望遠単という似たようなコンセプトで作られたソニーのサンニッパが 2 枚目以降のレンズを後ろに寄せることで体感上も軽く感じさせようとしているのとは対照的。それでもこのレンズが軽いことは事実で、一度サーキットやカワセミ撮りでぶん回してみたくはあります。

というわけで、明日に続きます。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました