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密会 アムロとララァ

今週放送された『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX』第 9 話にはついにララァ・スンが登場しました。シャロンの薔薇の正体は予想通りでしたが、展開や演出面ではやはり予想の裏をかかれた部分も多くて相変わらずの GQuuuuuuX。毎話ドキドキさせられっぱなしです。
そのララァにまつわる設定が小説『密会』から引用されていると聞き、電子版を買って読んでみました。

富野由悠季 / 密会 アムロとララァ [Kindle]

密会 アムロとララァ

小説版ファーストガンダムは読んだことがあったけどこちらは未読でした。小説版ファーストはアニメとは全く異なる展開でしたが、この『密会』はアニメーションの展開をなぞりつつアムロとララァにフォーカスを当てたダイジェスト的な小説になっています。挿絵はなんと大槍葦人氏。ガンダムのイラストを大槍葦人氏が、というのは意外ですが、儚い中にも色気を感じるタッチは確かにララァに合っています。

物語冒頭はインドの娼館で暮らすララァがシャアに見初められ、宇宙に連れ出されるくだりが描かれます。GQuuuuuuX に登場した「カバスの館」は施設名も含めこの小説からの引用ですね。またララァを評した「沙羅双樹の花が似合う」というセリフも引用されています。GQuuuuuuX の作中でのララァの背景は周辺のキャラのセリフから推し量るほかありませんでしたが、この小説を読むことで理解が深まる。
その後はサイド 7 におけるアムロとガンダムとの出合い、からいきなりサイド 6 でのアムロとララァの邂逅まで話が飛びます。ファーストガンダムの劇中ではサイド 6 でのアムロとララァは二回、それも偶然出会っただけ(ただし運命的に)という描かれ方でしたが、本小説ではアムロが意図的に何度かララァに会いに行っている。そのやりとりが『密会』というタイトルに反映されています。アニメでの描かれ方は、いくらニュータイプ同士の感応があったとしても距離の詰まり方が早すぎないかと感じたものでしたが、この小説のように何度か密会を繰り返し、ララァにとってもシャアとは別の意味でアムロに惹かれていった…ということならば解りやすい。
そしてテキサスの攻防を経て(シャリア・ブルのエピソードはスルーして)ソロモン宙域での戦闘でララァが戦死。アニメーションのあの観念的な表現も良かったけど(子どもの頃には理解できなかったけど)、小説として原作者の手で説明されるとより理解が深まります。また、普段の富野由悠季は肉欲的な男女関係を直截的な表現で文字に落とすくせに、こういう場面になると精神的な繋がりによる愛を強調してくるからそのギャップがまた面白い。
ちなみに GQuuuuuuX 世界でのララァはとにかくシャアを愛していましたが、『密会』のララァはシャアに感謝し愛してこそいるものの、アムロのことをそれ以上に愛しているという違いがあるのがまた面白いと感じました。この差分が GQuuuuuuX の今後の展開に何か影響を与えるのかどうか。そういえば『逆シャア』でのララァ(思念体)は永遠にシャアとアムロの間にいたい、と言ってましたね。

今後の展開については分かりませんが、少なくとも現時点までの GQuuuuuuX にとってはこの小説はあくまで劇中のララァの背景を補完する程度のものです。むしろファーストガンダムの副読本として、尺の都合(アニメ的には打ち切りの都合もあったでしょう)で掘り下げきれなかったアムロとララァの関係について深みを得ることができたのが良かったかな。複数の平行世界が存在することが確定的になった GQuuuuuuX の劇中で、少しずつキャラクターの違うララァが存在することが今後の物語にどう影響してくるのでしょうか。来週の放送も楽しみにしています。

密会 アムロとララァ (角川スニーカー文庫)

密会 アムロとララァ (角川スニーカー文庫)

  • 富野 由悠季,NOCCHI
  • KADOKAWA
  • 価格¥528(2025/06/18 17:25時点)
  • 発売日2014/01/01
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