年明けの映画公開に先駆けて発売された『孤独のグルメ』のトリビュート本を読了。
トリビュートブック 100% 孤独のグルメ! ~それにしても、腹が減った…~
『孤独のグルメ』の新作ではなく、久住昌之・谷口ジロー以外の作家や著名人が『孤独のグルメ』に捧げた漫画やエッセイをまとめた一冊です。一部はここ最近発売された週刊誌 SPA! にも掲載されていたものです。
ドラマ化に伴い一般への認知が広がって以降、『孤独のグルメ』は様々なドラマ、漫画、アニメ等で数多くパロディ化されてきました。が、こういう形でトリビュート本が刊行されるのは初めてではないでしょうか。
巻頭には久住さんのロングインタビューが収録されています。この背景はドラマ Season1 に登場したカヤシマですね。ナポリタン食べたい。
久住さんのインタビューはこれまでにもさまざまな媒体で何度もされているから目新しい話は多くありませんが、漫画の連載開始から三十年経って総括するような話題がふんだんに語られています。特にドラマが始まって以降、漫画の原作を書くときにも脳内に松重さんの声が聞こえてきて困った、という話は面白かった(笑
トリビュート漫画は当然のようにこの人から始まります。和泉晴紀氏、かつて久住さんとのコンビで「泉昌之」を名乗り『かっこいいスキヤキ』『食の軍師』などの作画を担当された方。ある意味『孤独のグルメ』の原点を久住さんと一緒に作り上げた方ですね。
『孤独のグルメ』のトリビュート漫画なんだけど主人公がトレンチコート男だからむしろ泉昌之の世界観ですねこれは。
日本漫画界が誇る大御所・浦沢直樹も寄稿しています。浦沢直樹タッチで松重さんを描くとこういう絵になるのかー。そして「池ノ上六郎」って(笑)井の頭線の駅名由来ですね。
谷口ジローに劣らず細かく描き込まれたメシ作画も見どころです。
そして『それぞれの孤独のグルメ』第 11 話にもご本人役で出演していた江口寿史の漫画も収録。ドラマに登場したきっちん大浪が紹介されていて、ドラマと併せて読むと二倍楽しい。
このほかにも吉田戦車、新久千映(『ワカコ酒』の作者)、大根仁(『地面師たち』の監督)など錚々たる顔ぶれが名を連ねています。
一口にトリビュートと言っても著者ごとに孤独のグルメのパロディだったり孤独のグルメに対する想いを綴ったものだったり自分自身の食への向き合い方の話だったり、アプローチがさまざまなのも面白いところ。
さらに巻末には久住昌之×吉田類の対談まで収録!独り飲み界(どんな界隈だ)の二大巨頭の対決じゃないですか。
しかもここ銀座の三州屋ですね。いかにも『孤独のグルメ』に出てきそうな店だと思っていたら、久住さんも類さんもこの店が大好きなんだとか。やっぱりなあ。
ちなみに久住さんの「良さそうだと思って入った店に類さんのサインが飾ってあると悔しい」という話が面白かった(笑
映画の劇場公開を前に読み応えのある一冊でした。
年明けの映画も(既に映画祭で観たけど)さらに楽しみになりました。
コメント