最近 Web 本に偏ってますが、これはタイトル買いした本。
『ウェブ進化論』からさらに直近のトレンドを掘り下げる本としては、比較的よくまとまっているのではないかと。
Web 上で広がるトレンドを「ダイレクト」「フリー」「クラウドソーシング」「プレゼンス」「ウェブオリエンテッド」「メタヴァース」「ビデオ」「インターフェース」「サーチ」「セマンティックテクノロジー」の 10 のカテゴリに分類し、それぞれに代表的な Web サービスやテクノロジーを紹介しています。『ウェブ進化論』と重複する内容もありますが、多くは補完的に各カテゴリを掘り下げるような内容になっています。
「破壊的トレンド」というとてもセンセーショナルなタイトルがついていますが、確かに従来も産業構造を変えるような破壊的革命は数多くあったものの、Web の時代になって源流が起きてから既存ビジネスを破壊する閾値を越えるまでの動きは確かにダイナミックになっているので、「破壊的トレンド」という表現は的を射ていると思います。
現在の Web に発生しつつある新しい萌芽をざっと一覧するにはとても良いテキストだと思いますが、個人的に残念なのはこれがアメリカ発のものがほとんどであること(Web の先端はアメリカにあるのはもちろんだけど、アメリカが全てじゃないよね?という)、サービスの紹介に終始して本質を突くような分析があまり見られないこと(まあ、意図的にそういうまとめ方にしたんでしょうが)、根本的にこれが紙媒体のテキストであるということ。常に動いている Web のトレンドの、ある一時点をキャプチャした情報でしかないので、出版されると同時に陳腐化が始まる紙媒体とはもともと相性が良い題材ではないのです。まあ、誰もが海外の Web サービスにまで常にアンテナを張っておけるわけではないので、一時点での情報であっても、こういう一覧性の良い紙媒体にまとまっている意味はあるのかもしれませんが。でも、こういうテキストこそ、梅田望夫氏の Web ブックのような編集手法が適しているのではないかなと思います。
個人的に、あまり新しい発見があったというわけではないですが、アタマの整理には良かったのではないかと。どちらかというと、これをふまえてこの先来るであろう流れを予見させてくれる(あるいはそのヒントをくれる)ところまで突っ込んでほしかった気がします。
うーん、最近読んでいる紙媒体は総じて、新しい知識の吸収よりも結果的に考えの整理になるものばかりで、ちょっと残念。でも、今はやっぱり新しい知識を得るのは Web のほうが適しているんでしょうねー。
コメント
んー。Bさんの中ではなにか、、、パラダイムシフトが
起こるような感覚なんだろうか。少しずつは変わって
行くと思うんだけれど、エンドユーザー的には
この10年で変わったのはディスプレイの厚さとダウンロードの
スピードくらいのもんですよ。水をさすようだけども
もう少し虚から実に軸足を移したほうがいいと思うなぁ。。。
この 10 年で確実に人と人とのつながり方が変った感覚は僕にはあります。
我々(?)の出会いは間違いなく虚ではないはず・・・というような。
Skypeだけでも十二分に、私にはパラダイムシフトをもたらしてますねぃ(笑)
元来、一人上手で内向的な私に、グローバリゼーションをもたらしたのも、
ネットの力が大きいです。
破壊的トレンドが米国発ばかりなのは、技術やアイディアより、風土(環境)
や国民性によるところが大きい気がします。
政府すら平気で敵に回すバ・・・もといフリークというか、ダイナミズム
あふれる人物が、破壊的トレンドを生み出すためには必要ですね。
ただ、日本が、既得権益をもった大きな力に立ち向かい難い環境である
のは、間違いないですから、そういったものが障壁になってくるような場合は、
「アメリカ発」とか「日本発」にこだわらず、自分のやりたいことにあわせて、
場(国さえも)を移してしまえば良いのではないでしょうか。
なんてな事考えて、今、今後の伸びしろがありそうな国の言語学習ほか、下準備に入っている私でありました。
ワタシが言いたかったのは、webというものがすでにパラダイムシフトであって、それ以降はwebというツールの深化と拡大再生産なんですよね、ってことなんです。webも所詮はツールでしょ?っていう。
最近のキーワードって、たとえばweb2.0なんかがいい例ですが、なんだかわかんなくてでも新しそうで、んでよくよく考えると実体があんまりなくて、っていうのが多いのですね。
紙媒体って陳腐化しやすく見えるんですけど、これ実は大きな誤解だとおもうんです。今までの情報の発信源であったわけなんで、そりゃいろんな情報が紙を媒介して世に出て行って、多くの情報は消費されて陳腐化していきます。でもそれは情報の伝達されて消費されていくプロセスと情報そのものが持つ特性の話なんですよね。媒介するメディアは実は関係なかったりする。webであろうと更新されないページは陳腐化していくし、相対的なスピードはむしろ紙なんかよりもずっと早いはずなんです。紙なら発行年で信憑性とか時代性を判断できるけど、webなんか検索してもタイムスタンプのない記述は信用できなかったりする。そういう意味でもweb礼賛は危険だなと個人的に思っていたりします。
たとえば、ワタシの小説の読み方ですが、生きてる作家の小説は陳腐化すると思ってるので斜めに読みます。亡くなってなお世に受け継がれている作家はじっくり読みます。数十年経って、こんな読み分けをwebでもできていたらイイナと思いますね。
>WarlockReportさん
私たちの出会いが虚でなかったことの何よりの証拠は、となりにいる私の相棒ってことになりますかね。
>新の字さん
なんかね。トレンドが一定方向に閉じて見えるんですよ。知らない人やついていけない人を置いていって丸い輪の中でみんなで拡大再生産をしている感じかな。
うちの会社なんか基本が土方なので、やっぱり汗かかないとナ、見たいな感覚が根底にあるのかもしれませんねぇ。うまくいえないすけどw
>知らない人やついていけない人を置いていって丸い輪の中
それは同感ですね。
大分前に出てきた言葉、「デジタルディバイド」がさらに拡大していますね。
ただ、一方で、「破壊的トレンド」?が、置いてけぼりの人をネットの世界へ呼び込むこともあるのかなというイメージです。
(そこにビジネス的なチャンスもありますね)
あと、ここ
>webも所詮はツールでしょ?
とここ
>やっぱり汗かかないとナ
も個人的に同意です。
(客観視点では必ずしもそうではないかなとw)
ただ
>webというものがすでにパラダイムシフト
これはいささか乱暴かなと。
マクロとミクロの視点の違いだとは思いますけど。
上で「>webも所詮はツールでしょ?」に(個人的に)同意していますが、Webはツールというより、インフラかなと。
>ディスプレイの厚さとダウンロードのスピード
こういった技術的な障壁が無くなったことで、
新たに実現するツールやサービスが
既存ビジネスにパラダイムシフトをもたらしまくっているのは事実かなと。
「破壊的トレンド」作りたいですね。
>トレンドが一定方向に閉じて見えるんですよ。
これは「破壊的トレンド」を生み出した企業が、既得権益の巨大企業へ成長してしまって、右へならえ的なフォロワーが増えちゃっているのが原因かな。
私も普段の仕事では、そういった傾向に走らざるを得ない(それはそれで面白いのですがw 拡大再生産大好きです。数字を追うビジネス的にはw ただ、ちょっと飽きてきた)ので、ちょっと目先を変えるための努力を進行中です。
政治・経済的に米国のシンパとかフォロワーな国は、Webのトレンドも米国のフォロワーであることが多いので、政治・経済的に米国と結びつきの弱い国を狙ってます。
異文化コミュニケーションでカルチャーギャップを楽しむのが大好きなので、趣味と実益を両立していければいいなと。
えっと、乗り遅れている間に私が考えていることをまとめてもらってしまった感じですが、実際には別にそれほど大げさなことを考えているわけではなかったりします。
実際には、日々の仕事は思いっきり現実的なことばかりだったりするので、そこからの精神的逃避みたいな部分もあるし。
パラダイムシフトが起きたとすれば、私にとっては 12~3 年前に遭遇したインターネットそのものが、後にも先にも最大のパラダイムシフトだったかと。
Web 2.0 ったって所詮はそっち系から利益を得たい人々が生み出した一過性のマーケティングワードだと思います。でも、その本質は旧来の Web が「サービス」にしきれていなかった細かな技術やアイディアをつなぎ合わせて、多様化するニーズに応えられるようにしたもの(実体がないように見えるのは、既存技術の組み合わせに過ぎないから)。ブームが一段落した今後にこそ、実のあるものが生まれてくるんだろうと思ってます。
さておき、
> この10年で変わったのはディスプレイの厚さとダウンロードのスピードくらいのもん
↑と言われてしまうあたりが、今の私の閉塞感というか最大の悩みで、
・日本的な「ものづくり」の付加価値が大多数の人には受け容れられない時代がすぐそこまで来ている、というか既に半分くらいはそういう状況に浸かってしまっている
・それに替わる、あるいはアドオンできる付加価値って何だろう?
・じゃあ、自分の興味的には、ネットが増幅してくれる「人々の力」を使って新しいものづくりができないだろうか?
というのが、最近の私の主な思索の中身だったりします。
何かビッグウェーブに乗っかりたい、とか、新しい Web サービスを起ち上げて一山当ててやるぜ!というんじゃなくて、まだネット側に来ていない人たちも含めて、もっと多くの人が空気のように Web でコミュニケーションできるようにして、そこから生まれる価値というものを見てみたい、というか。
ネットといっても、↑のコメントのやりとりのような、人と人の繋がりを感じられるコミュニケーションが出来る限り、必ずしも虚構にはならないと思いますよ。何だかんだ言って、私もネットで仲良くなった人とは飲みュニケーションしないと気が済まなかったりするし(笑。
さておき、ご忠告ありがとうございます。足下ちゃんと見ながらやって行きますよ。
>新の字さん
徹底的なユーザー不在から生み出されるものが、結果としてユーザーに寄っていくってところを見ると商売って面白いとは思いますが、でももうちょっとユーザー発的なスタンスでナニゴトかが起こって欲しいな、みたいなことは思いますです。
でもねー、Bさんも書いてますが、やっぱりwebに触れたっていうのが、大きいですよね。ニフテーィサーブ知ってるか知らないかでなにか見えない境目があるような気がする今日この頃です。
>Bさん
いや、私の悪い癖なので。でも皆さんはこうして付き合ってくれるからこの悪い癖がやめられません。
結局はwebで知り合った人と会わずにいられないですから、web=虚構とはね、思ってないです。「虚」という漢字を使った理由は先にあげたので重複して書くことはしませんし、ちゃんと捉えていただいているようで安心しました。
なんだかね。ずいぶん先を見ている人たちなんだなと改めて思いました。私なんかは愛すべき消費者ですから、皆さんが作り出してくれるトレンドを楽しみに待ちたいかなとか思います。まー久々にwebで長文書いて楽しかったス。お付き合いいただきありがとうございました。
愛=理解。