先日発売された 04 巻の記憶もまだ新しいところですが、先月のコミケで発売された新刊をコミック ZIN で買ってきました。
安倍吉俊 / 飛びこめ!!沼 番外編 01:FOVEON センサーとは何か
通常のナンバリングタイトルではなく番外編という位置づけです。サブタイトルは「FOVEON センサーとは何か」。
いつもは半分以上おちゃらけながらシグマのカメラやレンズをオススメし、写真(というかカメラ趣味)の楽しさを紹介するのが『飛びこめ!!沼』シリーズだと思っていますが、このサブタイトルからも分かるとおり今回は解説本に近い体裁。
冒頭から「FOVEON センサーの解説をします」とあります。
自分では Foveon 搭載カメラは使ったことがないものの 70 万円もした初代 SD1 の頃からシグマを追いかけてきた私としては Foveon の仕組みについてはそれなりに理解しているつもりではいますが、『飛びこめ!!沼』のフォーマットで技術解説したらどういう表現になるのか気になっていました(笑。
解説するふりしてほとんどおちゃらける本かと思ってましたが(ぉ)、実際は技術的に難しい部分は適度に省略しつつ、Foveon の構造から長所・短所までマジメに解説されていました。
ちなみにこの本で解説されているのは最新の Quattro 世代のセンサについてで、Merrill 世代については触れられていません。まあ基本的には同じ思想に基づいたセンサなんですが、Quattro センサ発表時のエントリーで書いたとおり Quattro センサの G/R 層は補間処理によって作られたものになるわけで、本来の Foveon が目指した「全色での完全な解像」を一部諦めた代わりに気難しさを緩和した現実的な落としどころ、というのが Quattro センサに対する私の理解。
基本的に Foveon オススメ本だから良いところしか書かれていないかというとそんなことはなく、Foveon の弱点と言われる高感度性能の低さについて比較作例つきで紹介されています。
「ISO100 固定必須」と言われがちな Foveon ですが、こうしてみると RAW 現像前提なら ISO800 までは何とか使えそうですね。
そして後半は例によってシグマユーザー自虐ネタ(笑。期待を裏切りません。
個人的にはカメラに求めている方向性が違うので Foveon 搭載カメラを買う予定はありませんが、レンズ以上に Foveon センサと sd/dp シリーズというカメラの存在が「シグマ」という光学メーカーの立ち位置を明示しているのだと思っています。単なる安価な互換レンズメーカーから脱却し、万能ではないけど突き抜けたこだわりを持つユニークなメーカーというブランド・ポジションは、単に高品質なレンズを作っていただけでは得られなかったことでしょう。『飛びこめ!!沼』シリーズは、ある意味そのユニークさを象徴する同人誌だと思います。これだけの愛と自虐をもって語られるカメラメーカーも他にありません。
シグマ、ならびに安倍吉俊先生の次回作にも期待しています。
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