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岸辺露伴 ルーヴルへ行く @チネチッタ

昨日公開されたばかりのこれを観に行ってきました。

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』第 4 部からのスピンオフ作品『岸部露伴は動かない』。その特別編ともいえる『岸部露伴 ルーヴルへ行く』の実写映像化です。『岸部露伴は動かない』は 2020~2022 年末に NHK で連続スペシャルドラマ化されましたが、それの劇場版とも言える位置づけ。NHK 版ドラマは本当に完成度が高くて、海外ロケを含む本作の映画化はちょっと楽しみにしていました。

岸部露伴を演じるのは高橋一生。漫画の岸部露伴がそのまま憑依したかのような芝居で、『ジョジョ』の独特の世界観を実写映像として違和感ない。映像もアングル・カット割り・雰囲気どれをとっても一般的なテレビドラマとは一線を画しており、ホラー要素を含むミステリーとしての本シリーズとよく融合しています。テレビアニメ版『ジョジョ』もそうでしたが最近のジョジョ関連の映像化は制作サイドの作品愛が強く、コミックのアニメ化/ドラマ化の代表的な成功例と言って良いでしょう。
とはいえ『岸部露伴~』のドラマは必ずしも原作再現というわけではなく、それなりにアレンジも含まれています。特に岸部露伴の能力「ヘブンズ・ドアー」が原作にある「スタンド」として描かれておらず、あくまで露伴が身につけている能力であるという表現は『ジョジョ』シリーズという前提を取っ払って本シリーズ単独でも見られるものに昇華させていると言えます。でも個人的にドラマ版の大発明は「泉京香」というキャラクターで、原作ではある回に登場するだけだったキャラをドラマでは露伴の担当編集としてレギュラー化し、露伴のバディ兼コメディリリーフとして素晴らしい働きをしている。彼女の存在がなければこのドラマシリーズは面白いけど疲れる、という評価になっていたように思います。

で、この映画。今までの岸部露伴は「動かない」で事件や怪異に巻き込まれていく作りになっていたのが本作では自らルーヴルへ「行く」。露伴の過去に関係があるという「この世で最も黒い絵」を探しにルーヴル美術館へ露伴と泉の二人が赴き、そこでまた怪異に遭遇するお話です。

ロケは実際にルーヴル美術館を貸し切って行われたといい、こういうことができるのがさすが NHK。そこまでやって、しかもルーヴル美術館という場所を背景とするならそれは劇場上映するわけですね。
ただし前半は露伴がルーヴルを目指すことになったきっかけと、それにまつわる過去回想だけで 50 分近くを費やし、なかなかルーヴルに行かない(笑。過去編を丁寧に描きたかったのは理解しますが、せっかくスクリーンで流すんだからルーヴルにいる露伴の映像にもっと尺を使ってほしかったのが正直なところ。映画はルーヴル美術館の美麗かつ荘厳な映像もそこそこに、重要な舞台である地下室に割とあっさり移っていきます。

物語の核心である、露伴が探し求めた絵にまつわる事件と絵画そのものに隠された秘密。パリという舞台にありながら、日本的なホラー…というよりむしろ「怪談」と言いたくなるウエットな怖さがありました。「ヘブンズ・ドアー」が戦闘的な能力ではないことも相まって、緊迫感のあるクライマックス。そして「世界で最も黒い絵」が恐ろしくも美しい…。
また本作では泉京香がドラマ版以上に良い。コメディパートだけでなく物語の節目節目で重要な役割を果たすんですよね。今回の彼女はあまりに光の側面が強く、物語全体の救いになっていると言えます。

ドラマ版を踏襲しつつ劇場版らしいスケールに仕上げた良い映画だったと思います。ルーヴルの映像をもっと見たかったとは思うけど、高橋露伴と飯豊泉を二時間にわたって堪能しました。原作から未映像化のエピソードはいくつか残っているし、人気ぶりを考慮するとシリーズとしてもうしばらく続きそうな気がします。今年の年末の期待して良いんですかね。

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