密かに楽しみにしていた映画を観てきました。
フランス産逆輸入の『シティーハンター』実写映画です。
漫画やアニメの実写化って成功例を挙げる方が難しいほどに失敗の歴史で、私も最初にこの映画の話を聞いたときには何かの冗談かと思っていたんですが、キービジュアルやトレーラーを見たり監督のインタビューを読んだりするうちに「これは大真面目に作ったホンモノに違いない」と確信するようになりました。だってもう↑のポスターの出来からして完璧じゃないですか。
日本語吹き替えのキャストはアニメ版とは異なり、冴羽獠が山寺宏一、槇村香が沢城みゆき。日本を代表する声優の二人です。アニメの獠と香のイメージとはちょっと違っていますが、『新宿プライベート・アイズ』で二人の声がさすがに老けてしまったのを実感した今となっては交代して良かったのではないかと感じました。実写ゆえに見た目がアニメとは違うのに声だけオリジナルと同一だったら却って違和感があったかもしれないし、むしろ多数の洋画吹き替え経験をもつ二人だからこそ映像との馴染み感が強く、安心して聴いていられます。あ、でも劇中の「ぐふふ~、もっこり!」の台詞だけは完璧に冴羽獠でした(ぉ
ストーリーはもちろん「XYZ」から始まる依頼を受けた獠が、敵の妨害を受けながらも紆余曲折の末に仕事を完遂する…という定番の流れ。唯一違うのは「依頼人が美女ではない」という点ですが、これにもちゃんと意味があるし、ちょいちょい挟み込まれる笑いのツボにもなっているという秀逸な構造。シリアスやお色気よりはギャグが多めで、シティーハンターというよりは B 級コメディ洋画的なノリも散見されますが、ちゃんとシティーハンターの世界観の中に収まっています。日本映画だったら現代ではこれはコンプライアンス的に NG だろうなという表現もお構いなしに出てきて、そういうのも含めて 1980 年代のあの脳天気な空気感がフランスのフィルターを経て再現されていると感じました。
作劇は全体的にふざけていますが(笑)、映像のクオリティは完全に本気。銃撃シーンではちょっとクドいくらいにバレットタイム撮影を多用しているし、フィリップ・ラショー監督(主演も兼ねている)が本気でシティーハンターを実写映画として成立させようとしたことが伝わってきます。
事件解決後にはコミカルなシーンで画面が静止しながら『Get Wild』のイントロがかかりスタッフロールに突入する…というお約束まで含めて完璧(もしかするとこれは日本版のみの ED なのかもしれませんが)。あえて劇場版的ではなく原作本編にありそうな規模の事件を描いたエピソードなのも良かったし、個人的には『新宿プライベート・アイズ』以上にシティーハンターらしさが凝縮されていたと思います。これはやはり原作への愛と理解、それにこだわりの為せる業なんだろうなあ。
とても面白かったです。なんなら続編も作ってくれないかなあ。
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