ルクレール、感涙の母国初優勝! 波乱の幕開けで“我慢比べ”のレース展開も屈せず。角田裕毅8位入賞|F1モナコGP決勝
モナコ GP は地元出身のルクレールが初優勝。チャールズおめでとう!ポディウムでの姿を見て、いつか角田裕毅も日本グランプリで…という状況を想像したらちょっと目頭が熱くなりました。
■オープニングラップのインシデント
スタート直後、ボー・リバージュを駆け上がっていくところで最後方のペレスとマグヌッセンが接触。近くを走っていたヒュルケンベルグを巻き込む形での大クラッシュが発生しました。当事者の言い分は食い違っていますが、映像を見る限りでは両者が接触する一瞬前にマグヌッセンがガードレールにヒットしたことでコントロールを失った結果に見えました。こういう状況で周りを見る余裕がなくなるペレスにも非がないとは言いませんが、マグヌッセンはペナルティーポイントで出場停止にリーチがかかっている中でのこの行動は無謀では。
一方でその直後にトンネル手前のポルティエでオコンが僚友ガスリーを強引に追い抜こうとして接触、オコンのクルマは宙に浮き危うく大事故になるところでした。まあオコンの強引なオーバーテイクもチームメイトに対する厳しすぎる攻めも今に始まったことではありませんが、モナコでやることじゃないですね。でもそれ以上に不可解なのはレーススチュワードで、オコンにはペナルティーポイントを出したのにマグヌッセンにはお咎めなし。どちらもオープニングラップにおける無謀で危険な行為という点では同じなのにこの裁定は一貫性に欠け、ペナポによる出場停止を避けたい恣意的な運用ともとれます。
あとはオープニングラップではありませんが、ストロールもタイヤ交換直後に自損で新品タイヤを壊してしまうというね。やらかしそうなドライバーが揃ってやらかしたモンテカルロでした。どの事故も怪我人が出なくて本当に良かった。
■フェラーリ
イモラでの勢力図を見る限りもはやマクラーレンの方がフェラーリより速いのでは、と思っていましたがモナコでのフェラーリはアップデートされたマシンをしっかり仕上げてきました。まあ予選からマクラーレンとは僅差でしたが、予選・決勝ともにフェラーリの 1-3。決勝は「タイヤセーブ競争」だったから各マシンの真のレースペースは不明ですが、タイヤライフの見通しが立った終盤にルクレールがピアストリを引き離していたことからすると、やはりモナコではフェラーリの方が少しだけ速かったのは事実だと思われます。
これまでのモナコ GP ではルクレールまたはチームのどちらか、あるいは両方が何らかのミスを犯したことで優勝はおろか表彰台さえも(それ以前は完走すら)逃してきました。が、今季のルクレールには安定性があり、かつチーム側のやらかしも大幅に減っています。イモラの時点でルクレールの担当エンジニアが交代(シャビ・マルコス→ブライアン・ボッツィ)したことも大きかったのではないでしょうか。シャビのチーム無線、毎度ひどかったからなあ。
信頼して走れるチームを得て、さらに母国グランプリ優勝で自信を高めたことで今後のルクレールは競争力が一段上がりそう。今後フェルスタッペンにルクレールとノリスがチャンピオン争いで絡んでいく構図、十分あり得ると思います。
■マクラーレン
今回はフェラーリの陰に隠れたもののマクラーレンも速かった。マイアミでノリスの初優勝を見せつけられたことで何かのスイッチが入ったのか、イモラに続いて今回のピアストリも速かったですね。でもノリスも 4 番手を走りながらタイヤ的には最も温存できていたようで、何か状況の変化があればトップを奪いにいく準備はできていたように見えました。結果的にレース全体がタイヤライフ重視の実質パレードランに終始したことで 1 周目以外はほぼ何も起きませんでしたが、展開次第ではトップ 4 の誰が勝ってもおかしくないレースだったと思います。
■レッドブル
マイアミ以来ずっと苦しんでいるレッドブル。モナコでの RB20 はこれまで以上に苦しんでいるように見えました。現行レギュレーション下でのレッドブルは路面のバンプや縁石が高めのサーキットで苦戦する傾向がありますが、今季は特にそれが酷くなっているような。やはり RB20 でマシンコンセプトを変えたことに加えてニューウェイの離脱(サーキットには一応顔を出していましたが)でセットアップが決めきれなくなっているのでしょうか。まあ今後はしばらくヨーロッパのパーマネントサーキットが続くからまたフェルスタッペン優勢が続き、シーズン後半のアゼルバイジャンやシンガポールでは苦戦するけど最終的にマックスがチャンピオン防衛、までは規定路線かと思いますが。
それにしてもペレスですよ。予選は Q1 敗退、それによって決勝ではハースの近くからスタートすることになった結果クラッシュ。完全にまた負のスパイラルに入ってしまったように見えます。シーズン途中からでも角田を昇格させてもいいんじゃないですかね。
■RB
角田が今回もやってくれました。予選 P8 からの決勝 P8。予選でアストンの二台とペレスが沈んだことで、上位の残り 7 人の次にきっちりつけてくるのが今の角田です。決勝では赤旗リスタート時のタイヤ選択の違いにより、ミディアムを履く前の三台を食って 5 位入賞もあり得るか?と期待したのですが、レース戦略的には逆に後ろのアルボンとガスリーを抑え込む走りに徹することで堅実に 8 位 4pt を獲得。レース中はもっとアグレッシブな戦略を採る価値があるのでは?と思いましたが、終わってみれば結果的に最良の選択をしたと言えます。アルボンに抜かれないギリギリのスローペースで抑え込みつつタイヤを温存し、終盤にペースアップしてファステストラップまであと一歩のタイムを刻んだのは痺れました。チームとしてもコンストラクターズ 6 位の座を確実なものとしつつ 5 位アストンとの差を縮めたわけですからね。
それにしても、予選では一発のアタックでタイムを出してタイヤを残しつつ毎回 Q3 進出、決勝でも落ち着いた走りでどんな戦略でも着実に遂行してポイントを持ち帰る、ってもはや完全にトップドライバーの域じゃないですか。現時点でアロンソに次ぐランキング 10 位にいるのも納得です。クルマもチーム運営も安定感あるし、フェラーリといい RB といい今年のイタリアンチームはどうしちゃったんでしょうね?(笑
ここ数戦の角田の安定感の前に、予選 Q3 進出も 8 位入賞もすっかり「当然」という感覚になっている自分がいます。ランキングはドライバーズではアロンソとの点差が 14、コンストラクターズはアストンとの差が 20、と簡単ではないけど可能性はあると言える状況になってきました。ここまできたらもう一段上のランキングを目指して頑張ってほしい。応援しています。
コメント