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F1 ラスベガス GP 2024

今週末は F1 ラスベガス GP でした。アメリカ大陸のレースは時差の関係で日本からの観戦が厳しいレースばかりですが、ナイトレースとして開催されるラスベガス GP だけは日本では昼間なのがありがたい。東京ではライブビューイングイベントが二つ開催され、私は歌舞伎座でのイベントの抽選に外れてしまったので先着順(座席は抽選)のホンダウエルカムプラザ青山のイベントに参加してきました。

フェルスタッペンが2024年チャンピオンに輝く! 優勝はラッセルでメルセデス1-2。角田も耐えのレースを凌ぎ9位入賞|F1ラスベガスGP決勝

フェルスタッペンがドライバーズタイトルにリーチをかけた状態で開催されたラスベガス GP。マックスはノリスより先着すればチャンピオン確定という条件で、このレースで決まる可能性はかなり高い状況でした。

■メルセデス

ここ数戦パッとしなかったメルセデスが今回はフリー走行から速かった。特にラッセルは予選 PP からレースを完全に支配して完勝。ハミルトンは Q3 で失敗して 10 位スタートに甘んじたもののレースではラッセル以上の速さを見せ、実力で 2 位まで持ち上げてきました。もしハミルトンが予選で上位につけていたら勝っていたのはラッセルではなくハミルトンだったかもしれません。
何故メルセデスがいきなり速くなったのか明確な理由は不明ですが、グリップレベルの低い行動コースに最もうまくセットアップを適応させることができたというあたりではないでしょうか。フェラーリも速かったけどメルセデスは速さだけでなくタイヤの使い方も巧かった。難しいコンディションに強いのはさすがメルセデスですね。コンストラクターズランクではトップ 3 チームに水を空けられてこそいますが、今シーズンここまでのレースで優勝した 7 名のドライバーがラスベガス終了時点で全員 2 勝以上しているというのが今季の混戦を物語っています。

■レッドブル

ラスベガスに持ち込んだリヤウイングがライバルチームよりも厚く、ドラッグを下げるために現場で急遽フラップを削ってまで臨んだレースでした。5 番手スタートから一時は 3 番手までポジションを上げたものの、終盤にフェラーリに逆転されて 5 位フィニッシュ。それでも順位よりもチャンピオンシップを優先する堅実な走りでドライバーズタイトル 4 連覇を達成しました。4 連覇で 4 度目のチャンピオン獲得は同チームの大先輩ヴェッテルに並んだことになります。今季は中盤以降クルマに競争力がなくなって荒いレースが増えましたが、序盤戦の貯金でなんとか逃げ切れました。ただコンストラクターズは(まだ数字上の可能性はあるとはいえ)もう届かないだろうなあ。実質的にマックス一人のポイントに頼っているからどうしようもありません。来シーズンどうするんでしょうね。

■RB

クルマとサーキットの相性的に厳しいだろうと予想していたところ、角田が予想を上回る大健闘。予選 7 位・決勝 9 位というのはチームの実力を考えれば出来過ぎです。予選では集中してしっかり一発のタイムを出せているし、決勝でも戦闘力の劣るマシンでタイヤマネジメントしながらバトルもして、クルマのポテンシャル以上の結果を持ち帰っているのではないでしょうか。直接のライバルであるハースのヒュルケンベルグを抑えきることができなかったことは残念ですが、レッドブルのペレスに対して予選・決勝ともに上回ったのは評価されてしかるべきでしょう。これをレッドブルの首脳陣がどう判断するかは置いといて、個人的には今シーズンの角田はやるべきことをやり続け、結果を出し続けていると思っています。
次のカタールはさらにクルマとの相性が良くないサーキットだからもっと難しい戦いになることが予想されます。頼みの綱は今回から導入されたレッドブル型のリヤサスペンション。マシンパッケージへの理解が進み少しでもパフォーマンスアップに繋げてくれたら…と願わずにはいられません。

今回のライブビューイングイベントでは F1 ジャーナリストの柴田久仁夫氏、元ホンダ F1 パワーユニット開発責任者の浅木泰昭氏、そして現役のレーシングドライバーでありながら VCARB のリザーブ/開発ドライバーも務める岩佐歩夢選手がご登壇。私は中央付近のかなりいい席に座れたのでお三方の表情までよく見ることができました。

浅木さん。エンジニアらしく技術に対しては正直で、でも時々空気を読まずに踏み込んだ発言もされるのが聞いていて面白い。特に今はもうホンダを定年退職されていて忖度のないコメントができる立場なのもお話の面白さに拍車をかけていると思います。
特に印象的だったのは、レッドブルが苦戦している状況を開幕前のお家騒動時点からある程度予想していたとし、技術云々よりも「技術者が余計なことに振り回されず伸び伸びと働ける環境かどうか」という点で語られていた点ですね。著書『危機を乗り越える力』もエンジニアの力を発揮させるための組織論について書かれた本でしたが、今のレッドブルにもそのまま当てはまる話が多いように思いました。

岩佐選手は主に RB のシミュレータードライバーという視点でいろいろと解説してくれました。立場上言えないことは伏せつつも現役の開発ドライバーでなければ知り得ない話もいろいろ出てきてめちゃくちゃ勉強になりました。しかもドライバーでありながら技術への造詣が深く、説明もロジカルでものすごく解りやすい。
今回初めて知ったのは「(レッドブルはずっと前からやってたけど)RB は昨年のラスベガス GP からレース週末にファクトリーでのシミュレーター同時開発を導入して、岩佐がそのシミュレーター作業を(全部ではないにせよ)担当している」ということ。岩佐がシミュレーター作業をしているのは知っていましたが、去年まではチームとして週末の開発をやっていなかったとは。なおシミュレーターはイギリスにあるため、レースによっては時差のためシミュレーター作業が徹夜になることもあるようです。今年に入って角田のレース週末がフリー走行から決勝にかけて順調に仕上がってくることが多くなったのは、本人の成長に加えて岩佐の貢献も大きいのかもしれません。

ちなみに岩佐自身の来季は「まだ確定したことではないが、引き続き RB のリザーブ/シミュレータードライバーとしての契約を更新できるようがんばっている」とのこと。F1 への道が繋がり続けてくれることを私も祈っています。

またショールーム内では F1 マシンも展示されていました。こちらはレッドブル RB20 のショーカー。今まで何度となく見てきた 2022 年向けモックアップをベースとしたものですね。もう現行マシンとの差分が大きすぎるからそろそろ更新してほしいところだけど、ホンダとレッドブルの関係も来年で切れてしまうから難しいだろうなあ。

そしてこちらは 1990 年のマクラーレン・ホンダ MP4/5B。これもあちこちで何度も見ているけど、私が F1 を全戦観戦するようになったシーズンのクルマだから思い入れがあります。
これが展示されていたのは今月末から Netflix で配信開始される伝記ドラマ『セナ』のプロモーションのためだと思われます。当時の F1 マシンのレプリカを作って実際に走らせながら撮影したというから、公開を楽しみにしています。

ともあれ、マックス四連覇おめでとう!
この大記録をホンダのパワーユニットと共に達成してくれたことを誇りに思います。

なお、ウエルカムプラザ青山を含むホンダの青山本社は建て替えのため来春には解体されるとのことで、もしかすると F1 のライブビューイングが開催されるのは今回が最後になりますかね。レース関連のイベントや展示はあと何回か行われるようですが、最後に他のレースファンと一緒に F1 をライブ観戦できたのは楽しかったです。建て替え期間中もどこか別の場所でライブビューイングイベントを開催してくれることを期待しています。

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