昨日、三年前に書いた星野源に関するエントリーが唐突にたくさん読まれていて「なんだどうした?」となりました。

↑これ、我ながらよく書けていて今でも気に入っているエントリーのひとつ。
で、調べてみたところ星野源がInstagramのストーリーにディアンジェロ(D’Angelo)の楽曲を投稿していて、それを不思議に思った多くの人が検索で辿り着いてきてくださった模様。
そこで初めて知ったのですが、ディアンジェロが一昨日(米国時間)膵臓がんにより亡くなっていたんですね。
ディアンジェロが51歳で死去 ネオソウルを代表するアーティスト | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
ディアンジェロは日本で一般的には名を知られていないでしょうが、1990年代のソウル/R&Bにそれなりに深く触れた人であれば必ず通ってきていると言っても良いほど影響力のあるアーティストでした。ニュー・クラシック・ソウル/ネオ・ソウルの潮流を作った一人であることは間違いないし、アメリカの内外を問わず現代のソウル/R&Bにも大きな影響を及ぼしています。私は星野源がディアンジェロの影響を受けていると知ったときはさすがに驚きましたが…。
しかしその影響力の割には寡作な人で、オリジナルアルバム3枚、ライヴアルバム1枚しかリリースしていません。しかもタイトルやジャケットがマニアックすぎて人に勧めづらい。Brown Sugar(ヘロインの隠語ですよね)、Voodoo(ブードゥー教)、Black Messiah(黒い救世主)。いやあ勧められないでしょ(笑)。
私は高校の頃からソウル/R&Bは好きだったのですが、当初はスティーヴィー・ワンダーとかBoyz II Menといった一般にも知られたアーティストしか聴いていませんでした。それが東京の大学に進学して音楽を始めた頃、当時の仲間に勧められて聴いたCDのひとつが “Brown Sugar” でした。それまではR&Bの池のほとりにつま先を浸けていただけだったのがいきなり深淵に引きずり込まれた感覚(笑)。その頃は何がいいのか自分で説明できないんだけど、とにかくカッコイイことだけは解った。紆余曲折あってこのアルバムタイトルが私の本来のハンドルネームの由来になるくらいには影響を受けました。
個人的にディアンジェロの特徴だと思っているのは印象的なベースリフと独特のリズム感。これを低音が出るスピーカーやヘッドホンで聴くのが最高にカッコイイ。大半の楽曲はミディアムテンポですが、このベース/リズムが癖になるグルーヴを生み出しています。その上にはこれまた耳に残るサンプリング音があって、でもそこに乗ってくるコーラスは生っぽく、且つあくまでスムーズ。深みにはまったら抜け出せない音楽、というのは私にとってはこういうものだと思うのです。
とはいえ私はR&Bに限らず近年はあまり音楽の動向を追わなくなってしまったため、ディアンジェロ逝去のニュースを知ったときには本当に驚きました。まだ51歳、若すぎるよ…。そういえば、ディアンジェロの元妻で当初は後見人でもあったシンガーのアンジー・ストーン(Angie Stone)も今年の3月に交通事故で急逝しており、R&B界は至宝と言える人材を相次いで喪っていることになります。
とにかく昨日からはディアンジェロとその影響を受けた人々の音楽に浸っています。自分の人生に大きな影響を与えた音楽をありがとうございました。Rest in Peace.



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