スポンサーリンク

広島 ビールスタンド重富

広島に行ったら必ず立ち寄りたい場所がありました。それが繁華街・流川(ながれかわ)エリアにあるこちらのお店。

ビールスタンド重富

ビールスタンド重富

建物を見るとどうも酒屋っぽい…のですが、なんだか様子がおかしい。
そう、ここは「伝説のビール注ぎ手」重富寛氏が営むビールスタンドなのです。広島ローカルのお店なのに関東のビール好きにもその名が知られるほどの有名店。一度飲みに来てみたかったんですよ。

ビールスタンド重富

この店、営業はなんと平日の17~19時の2時間限定。しかし営業中はずっと行列が絶えない大人気店です。
ガレージ側がウェイティングスペースになっていて、ベンチでビールに関する蘊蓄を読みながら待ちます。外は寒いけどこの中はヒーターが点いていてありがたかった。

ビールスタンド重富

ウェイティングスペースにはかつて使用されていた設備がいろいろ展示されていてちょっとした博物館状態。
このビールサーバーなんて使われなくなって五十年以上経つというのにまだ現役かのようにピカピカです。

18時に到着して順番が回ってくるまで30分ほど待ったけど、こういうのを見ていたらあまり長さを感じませんでした。

ビールスタンド重富

このビールスタンド重富で提供するビールの銘柄は一種類(日によって変わるらしい?この日はマルエフでした)。
しかしポイントは「注ぎ方によって味が変わる」ことで、五種類の注ぎ方で提供されます。

しかも一度に飲めるのは2杯、滞在時間は20分という制限つき。
回転を良くしてたくさんのお客さんに飲んでほしいというのもあるでしょうが、それよりも「ここで景気づけにビール飲んだらあとは夜の街で楽しんでほしい」という意図のようです。

ビールスタンド重富

ようやく順番が回ってきました。
奥のカウンターでは重富さんが自らビールを注ぐ姿が!日によってはご本人不在でお弟子さんが注ぐ日もあるらしいので、伝説の注ぎ手のビールを飲むことができる私は運が良い。

ビールの注ぎ方に関する蘊蓄を口上のごとく滑らかに話しながら注いでいく手つきと身のこなしが鮮やか。それ自体が何かの芸能か無形文化財のようにさえ見えます。

ビールスタンド重富

そして重富さんご本人の手で運ばれてきた私のビール。一杯目は「一度つぎ」。最初の一杯なら絶対これ、というくらいにオススメの注ぎ方。
グラスの飲み口スレスレの泡やビールと泡の比率が見事に7:3になっているのが美しい。

ビールスタンド重富

「一度つぎ」の正しい飲み方はこれ。足を肩幅に開き、背筋を伸ばして左手を腰に当てたら一気にグイッと!
ちなみにこの重富さんアクスタはお土産として販売もしています(笑。

ビールスタンド重富

チビチビではなくグッ、グッという感じで喉ごしを楽しみながら飲むのが一度つぎを最もおいしく飲むコツ。
ビールなのに苦味をほとんど感じず飲みやすい!確かに一杯目のビールならこうあってほしいというビール感。真夏なら冷えてさえいればどんなビールでもそう感じるけど(笑)、この冬場にこれほど爽やかなビールを飲めたのは初めて。

飲み干した後にグラスに無数のエンジェルリングができていることに感動を覚えます。
ビールやグラス自体の管理と注ぎ方、飲み方が揃って初めてできる美しいエンジェルリング。うまいビールの証です。

ビールスタンド重富

二杯目は「シャープつぎ」。現代のサーバーと昭和のサーバーの二台を使って注ぐ、この店オリジナルの注ぎ方とのこと。
見た目は一度つぎとほとんど同じなのに、炭酸がしっかり立ちつつキリッとした苦味の効いた味!これは二杯目、三杯目に飲みたかったビール。

これ本当にさっきの一度つぎと同じ銘柄?という不思議さがあります。
瓶ビールや缶ビールでも注ぎ方、泡の立て方で味の感じ方が変わる…ことは意識したことがあった(自宅で缶ビールを飲むときも心がけているつもり)けど、ここまで別物と感じるほどの差が生まれるとは。目から鱗が落ちる思いです。

二杯飲み干したところで退店。お店を出るときにマスターが「行ってらっしゃい!」と声をかけてくれるのがなんかいい。あくまで「飲み会に行く前の0次会の店」という自認なんだろうなあ。

そして…、

このビールスタンド重富の支店が広島駅ビル(ekie)にあると聞いて翌日はそちらにも行ってみました。

ビールスタンド重富

本店とはまた雰囲気が全然違う!しかもすごく混んでる。
駅ビルの惣菜コーナーの中心にビールスタンドがあるところなんて初めて来た(笑。

ビールスタンド重富

ビールの銘柄は一種類で注ぎ方だけがバリエーション、というのは本店と同じ(この日はこちらもマルエフでした)。
本店と違うのは「ミルコ」というビールと泡が1:9くらいのものが存在すること。面白いけど、同じお金を払うなら泡じゃなくてビールが飲みたい(笑。

ビールスタンド重富

こちらのekie店では重富さんのお弟子さんたちがビールを注いでくれます。
またこっちのお店がすごいのは朝10時から夜の9時まで通し営業をしていること。それでいてゴールデンタイムは本店よりも回転率が高いくらいだから、お弟子さんたちにとってはめちゃくちゃ修行になりそう。

次々とビールを注いでいく手つきは重富マスターに負けず劣らず鮮やかだけど、なんというかマスターの所作にはその上でさらに気品みたいなものが備わっているんだよなあ。

ビールスタンド重富

というわけで二度つぎ(写真右)と三度つぎ(同左)。泡の立ち方がそれぞれ全然違う。

二度つぎはオーソドックスなビールらしい味。苦味とビールの旨味のバランスが良くてじっくり飲める。
三度つぎは泡の感じからも伝わってくる柔らかい味。苦味よりも香りと甘味が立ってくる感じ。

うーん、やっぱりこれが同じ銘柄のビールだとは思えない。

ビールスタンド重富

さらには「マイルドつぎ」も飲んでみました。
炭酸がきめ細かくなって優しい口当たり。苦味も三度つぎ以上に抑えられて飲みやすい。ビール初心者にはこういうのが良いんだろうし、飲み慣れていてもある程度飲んだら後半はこれくらい飲みやすい方が飽きずにいられそう。

ビールスタンド重富

ekie店の周囲にはうまそうな惣菜屋がたくさんあって、本店とは違って時間・杯数制限がないこともあってここでじっくり飲みたくなってしまいました。が、この後焼肉とラーメンを食べに行く予定があったからここで切り上げ。
こちらの店でも退店時に「行ってらっしゃい!」と行ってもらえるのが嬉しい。

いやー、ビールの奥深さを改めて知った二日間でした。今まで何十年とビールを飲んできたけど、自分はまだその戸口にも立っていなかったことを思い知りました。
また広島に来る機会があればここには絶対改めて来たい。そして、都内にも同じようにビールの注ぎ方にこだわっている店があるようなので、そこにも行ってみようと思いました。

ごちそうさまでした。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました