2 ヶ月ぶりに新橋の「秀」に行ってきました。
とりあえずビールから。蕎麦系のお店というと、ビールはヱビスと相場が決まっているものですが、ここのビールはエーデルピルス。ドイツ風のピルスナーで、通常の三倍のホップ(笑)を使用しているとのことで、香りが高くてとてもうまい。
つまみは当然いぶりがっこのマスカルポーネ和えから。いぶりがっこだけだとけっこう途中で飽きちゃうものですが、マスカルポーネがうまい具合にマイルドにしてくれるので、案外これだけでビールが進んでしまうものです。これ発見した人は天才だと思う。
こんにゃくピリカラもまたビールに最適。
天草大王の筑前煮。うん、しみてるしみてる。
という感じでちょい濃いめの肴でビールと会話が進んでいきます。
ここでさらに出てきたのがこの「天草大王とトマトのちょっと煮込み」。このお店に似つかわしくない、イタリア風の煮込み料理が出てきました。天草大王をシンプルにトマトと煮込んだもので、パルメザンチーズがまぶしてあって、ちょっとしたラタトゥイユ風。誰ですか、ミルフィーユと言った人は(ぉ。
こういう味付けは私好みなんですが、私はこのあと、退店後にこう思うことになります。
「最初のトマト煮込みも美味かったけど、この流れに必要だっただろうか。いや、これが新橋流なんだろう・・・」
まあ、いぶりがっこマスカルとこの煮込みによく冷やした白ワイン、というセットならアリだな。むしろアルコールメニューにワインがないのが惜しいくらい。
飲み物は焼酎に移行。鶏肉と同じ天草で作られた麦焼酎「立車屋(くるまや)」をロックでいただきます。
料理は焼き物に進みます。これは天草大王の皮。普通、鶏皮というと脂っこいもので、それがいいという人も多いと思いますが、この天草大王は皮なのに脂っこさよりも歯ごたえが先に立つワイルドな食感が特徴。しっかりめの焼き加減もあって、今まで食べてきた鶏皮とはひと味もふた味も違います。
ささみも同様。一般的にはささみはあっさりとした肉で、山葵なんかをつけていただくと良い感じのもの。半端な店でささみを頼むとパサパサしてあまり美味くないことも珍しくないですが、この天草大王のささみは言われなければささみと気づかないんじゃないかというくらいジューシーで肉感に溢れています。こんなささみは生まれて初めて食べました。
そうこうしているうちに、メインの天草大王の水炊きができあがりました。
ここの水炊きは本当にうまい。ここまでダシがしっかり出た水炊きもなかなかないんじゃないでしょうか。ただ味付けは薄めなので、例によって岩塩でいただきます。
焼酎は石川県の銘酒「菊姫」の蔵元が作っている米焼酎「加賀の露」にチェンジ。日本酒と同じく山田錦を使っているそうで、確かに菊姫に相通ずるキレのある辛口と、お米の香りの良さを感じます。最近、焼酎と言えば麦か芋を飲むことが多いので、菊姫の焼酎ってノーマークでしたが、これはなかなか気に入った。
料理のほうもラストスパート。天草大王のレバーの煮込みが出てきます。レバーに加えてうずら卵、白ねぎ、あとサービスでハツ(心臓)まで入ってきました。うん、しみてるしm(ry
定番の大手羽先の唐揚げ。今回はカットされた状態で提供されました。骨付きなので当然手で食べることになるわけですが、これを食べた後は決まって新しいおしぼりが欲しくなります(笑。
そして今やすっかり私の大好物になってしまった天草大王のメンチカツ。この鶏肉とは思えない肉々しさは何なんですかね。肉自体に味があるので、ソースをつけなくても十分美味しいです。
アルコールの〆はこの店の日本酒の鉄板、刈穂の原酒で。辛口で私の好みにぴったり合っています。六本木の久高あたりもそうですが、お酒のチョイスが自分の好みに近いお店は全体的に満足度が高いですよね。この刈穂(秋田)と、以前飲んだ車坂(和歌山)あたりは普段から飲みたいくらい気に入っているので、自分でお取り寄せして自宅で飲もうかと思っています。
最後の〆は、いつもどおり水炊きの出汁で煮込んだ十割蕎麦。ここまで散々飲み食いして胃袋にはかなりキテるはずなのに、蕎麦だとスルスル入っていきます。とはいえ、これも帰り道で「ラストの一杯・・・あれが効いたな」と独りごちることになるわけですが(ぉ。
今回もごちそうさまでした。
で・・・、この「秀」ですが、どうやらこの日をもっていったん閉店し、改装に入るとのことです。単なる改装ではなく、スタッフの入れ替えも含むそうで、改装後も同じ店名やコンセプトが引き継がれるかどうかも分からず、事実上の閉店に近い状態。以前の四谷精肉店のように、スタッフ入れ替えで味もお店の雰囲気もずいぶん変わっちゃった・・・ということも往々にしてあるので、過度の期待はしないでおきたいと思います。
それにしても、落ち着けそうないいお店を見つけても、昨今はお店もなかなか長続きできない状況なようで。不況の風当たりは、まず外食産業から直面するものなんですね・・・。
というわけで、このお店のマスター @ukishizumi はお仕事募集中です。日本酒を見る目は確かだと思います。ぜひよろしくお願いします。
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