ヨーロッパ産連戦の真ん中オーストリア GP。スプリントのある週末だから決勝もスプリントと大きく変わらない結果になるのだろう…と予想していたのですが、全く違う結末になりました。
■フェルスタッペンとノリス
マイアミからずっと続いているフェルスタッペンとノリスのガチンコ勝負。スプリント予選はノリスが僅差でマックスを上回り PP を獲得するも、スタート直後のポジション争いでフェルスタッペンが勝利。決勝に向けた予選では逆にフェルスタッペンが圧倒してノリスがそれに続く形となり、日曜のレースでもフェルスタッペンがスタートからジワジワとリードを広げていった…はずが、二回目のタイヤ交換で大きくタイムロスし二人の差が 2 秒以下に。最終スティントではフェルスタッペンよりもノリスの方がペースが良く(あるいはタイヤライフ度外視で飛ばしていたのかも)みるみるギャップが詰まり、ノリスがマックスに何度目かに仕掛けた際に二台が接触。ノリスはそのままリタイヤ、マックスはタイヤ交換してレース復帰したものの 5 位がやっと。
今回は余裕がないときのフェルスタッペンが出てしまいましたね。過去 2 年間はせいぜい年に 1~2 回しかなかった「無茶をするマックス」が、ライバルとの差が縮まった今季はたびたび顔を出しています。客観的に見ればあの時点でノリスはトラックリミットの黒白旗が出ていたわけだし、仮にこのレースで負けても年間のチャンピオンシップではまだまだ余裕があるわけで無理をする場面では全然なかったはず。でも一つ一つのレースを全力で勝ちに行かないと気が済まないのがフェルスタッペンでもあります。
このクラッシュは基本的にマックスの幅寄せに非があると思いますが(実際ペナルティーも出てるし)、ノリスもその数周前からやや強引に仕掛けに行っていたから結果的に起きるべくして起きた事故だったと言えます。勝てそうな場面で頑固さや強引さが出てしまうのがノリスの子どもっぽさだと思うけど、チャンピオンを本気で獲りに行くならもっと全体観を身につける必要があるでしょうね。
■メルセデス
接触で優勝戦線から脱落した二人に代わって勝ったのはラッセルでした。とはいえレースの大半でトップ 2 にはついて行けず、表彰台キープのためのレースだったところに棚ぼたが落ちてきた格好。でもシーズン序盤のメルセデスはその場所にすらいられなかったのが、今やフェラーリに代わる三番手チームのポジションを確固たるものにしたのは大きな進歩。しかもその位置にいるのがハミルトンではなくラッセルというのもメルセデス的には重要なポイントでしょう。ラッセルにとっても将来的なチームメイトが誰になるにせよエースドライバーとしての地位を確固たるものにしたいはず。
それにしても去年は 2 チーム 3 人しか勝者が出なかったのに、今季は折り返し地点で既に 4 チーム 5 人が勝っているんだから面白いです。シーズン後半がもし 2021 年のようにマックスとルイスがぶつかり合う展開になるとすれば、仮に二人についていけなかったとしても 3 位につけていることがものすごく重要になるはず。メルセデス、フェラーリにピアストリを加えた 5 人の椅子取りゲームも注目に値すると思います。
■RB
アップデートが不発で散々だったスペインからの立て直しのレースでした。アルピーヌの速さが安定し、ハースと相性が良い高速サーキットであるオーストリアではいずれにせよ RB 的には不利なところで、さらにスプリントもあってフリー走行の時間が十分にとれない。そんな中、決勝でリカルドが 9 位入賞したのはそれなりにうまく立て直せたと言って良いのではないでしょうか。
角田にとっては良いところのないレースでしたが、状況的にドライバー二人の戦略を分けてリカルドが当たりを引いただけの話。今回のレースで得たものを最大限に活かしてイギリスではダブル入賞を目指してほしいというだけです。角田の来季残留が決まりリカルドも残留濃厚と言われる今、チーム内の勝敗よりも全体で上げていくことが重要。特に今回はハースがダブル入賞してコンストラクターズポイントが詰まってきましたからね。
ともかく今シーズンは勢力図がどんどん描き換わっていて面白い。総合力が試される次のシルバーストンはシーズン中盤の山場でもあり、どういう展開になるか今から楽しみです。
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