オランダに続いてマクラーレンが独走するかと思われたイタリア GP は終わってみれば大番狂わせ。地元フェラーリのルクレールが逆転優勝し、モンツァ・サーキットは真っ赤に染まりました。(って書くとなんか事件性を感じる)
■フェラーリ
今シーズンでは唯一優勝したモナコ GP 以外はあまり存在感のなかったルクレールがフェラーリのホームグランプリで躍動しました。上位チームのほとんどが 2 ストップ戦略を採る中、フェラーリは 1 ストップ戦略を敢行。マクラーレンが 2 ストップで楽勝と読んだ裏をかいて逃げ切り。「フェラーリらしからぬ」と言いたくなるほど見事な戦略でした。もう今季のフェラーリはチームとルクレールのホームレースで勝てれば満足なんじゃないですかね(笑。ただ、最近では予選はともかくレースペースが上がってきているので、チャンピオンは獲れないまでも残りのシーズンではレッドブルとマクラーレンのチャンピオン争いをかき回す存在になりそうです。
■マクラーレン
フロントロウ独占、からのノリスのスタート失敗までは既定路線。1 周目にピアストリがノリスをパスして首位に立ち、そこから中盤まではマクラーレン 2 台のマッチレースでした。が、レッドブルが 2 ストップ戦略と見切るやチームが二人に対して「バトルして良い」という指示を出したことで歯車が狂い始めます。ピアストリとノリスがタイヤを使って競う中、ルクレールが淡々とタイヤを守りながら 1 ストップ戦略で難なく奪首。2 回目のタイヤ交換を済ませたピアストリはルクレールを追い立てたものの届かず、予想外の 2-3 フィニッシュとなりました。
今回の敗因は対レッドブルだけを意識してフェラーリを見ず、勝ちを確信してチームメイトバトルに許可を出したマクラーレンの慢心が全てですね。やっぱり今のマクラーレンはチームもドライバーも詰めが甘い。これがレッドブルやメルセデスなら確実にエースドライバーを優勝させるための戦略を採ったことでしょう。まあマクラーレンは再びトップチームに返り咲くための成長途上にある段階なのでいずれ体質を変えてくると思いますが、今シーズンはマシンパフォーマンスの差でコンストラクターズは獲れてもドライバーズタイトルには余程のことがない限り届かないのではないか、と予想しています。
■レッドブル
レッドブルはこれまで以上に速さがありませんでした。予選は 7-8 番手、決勝も 6-8 フィニッシュがやっと。マクラーレンの自滅に救われた(詰められるポイント差が少なくて済んだ)格好ですが、もうコンストラクターズ逆転は時間の問題ですね。
最近フェルスタッペンとチームの間の無線(主にマックス→チーム)が殺伐としているのが気になります。クルマが遅くてイライラするのは分かりますが、そろそろチームとの信頼関係に亀裂が入っているんじゃないでしょうか。
■ウィリアムズ
オランダ GP でのクラッシュから電撃解雇となったサージェントの代わりに F2 からフランコ・コラピントが大抜擢。今季の F2 ドライバーの中でもあまり目立たない存在でしたがウィリアムズ育成枠ということでの昇格です。予選・レースともにそれほど目立つ活躍はありませんでしたが、堅実に走って 18 番手スタート→12 位フィニッシュは悪くないのではないでしょうか。来季のウィリアムズのシートは既にアルボンとサインツで埋まっており、シーズン終了後は良くてリザーブになることが確定していますが貴重な若手ドライバーとして結果を残してほしいところ。
■RB
角田車はアップデートを持ち込んだにもかかわらず速くなったようには見えませんでした。予選は Q1 敗退、決勝は 1 本しか残していないハードタイヤでのスタートで最初から戦略の幅がなく勝ち目のないレースではありました。が、序盤にヒュルケンベルグに当てられて走行不能となりあっさりリタイヤ…。角田は 2021 年と 2023 年はマシントラブルで DNS、2022 年は PU 交換ペナで最後尾スタート→14 位、そして今回は接触で DNF ととにかくモンツァとの相性が悪い。もう今回のことはさっさと忘れて次のレースに行きましょう。
それにしても今年の F1 はレッドブルの失速だけでなく独走するかと思われたマクラーレンもグダグダしていて、想像以上に混沌としたシーズンになっています。誰が勝つか分からないという意味ではこんなに面白いシーズンもありません。次のアゼルバイジャンでは誰が勝つんでしょうか?ストリートに滅法強いはずのペレス…はさすがにないだろうなあ。
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