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亡国のイージス [DVD]

文庫版を読んでから一ヶ月余、買っていた DVD をようやく観れました。

亡国のイージス

B000BQVDHC

ゲオで¥1,200 くらいだったかな。レンタルで返却の手間を考えたら安いかなと。

あちこちの評価はあまりよろしくない映画ですが、「小説の映像化」という意味ではうまくいっていると思います。《いそかぜ》の映像化、大御所の役者陣の重厚な演技、は確かに見どころ。福井晴敏の詳細な描写の賜物なのか、映画スタッフの再現力が抜きん出ていたのかは分かりませんが(もしかしたら映画スタッフの表現力と私の想像力が等しくステレオタイプなだけ、という可能性も否定できませんが)、特に《いそかぜ》艦内の描写が福井晴敏の文章から私の脳内に投影されていたカット割りそのままの形で映像化されていたのには驚きました。


ただ、これは原作を読んだ前提の話で、一本の映画作品として見たときにあまりにも説明不足で、小説の内容を脳内補完しながらでなければ視聴者は置いて行かれるな、という印象を受けたのも事実。
原作では上巻のの大半をかけて描かれる登場人物の背景や人間関係の描写がなく、「事件」が突然に発生するので、さまざまな物事の必然性が感じられないんですよね。また、福井作品のキモといえば「理念の名を借りたエゴが次第に本性を現していくさま」だと理解しているんですが、それもなく・・・。例えば宮津艦長(映画での設定は副長)も複雑な心境の描写がなく、最後に簡単に改心したように見えたし、それぞれの登場人物の行動の動機が不明確すぎるんですよね。

読者が仙石と同じように《いそかぜ》に思い入れを持つようになるまでの流れが全く描かれていないので、クライマックスでも気持ちが盛り上がらないというか。物語の舞台となる《いそかぜ》が自沈するシーンもあまりにあっさりしすぎていて・・・。
ある意味夢オチにも共通する最後のどんでん返しが省略されていたのは、物語のテーマをブラさないという意味ではやむを得なかったかと思いますが、それにしてもあまりにもチープな和製アクション映画にまとまってしまったというか。少なくとも福井が描きたかったテーマとは全然違っていたなあという印象です。

原作を読んでから観て本当に良かったと思いました。『ローレライ』も既に原作と DVD を買ってあるんですが、原作から読もう(´д`)。

コメント

  1. ‘み’ より:

    やはり原作先が正解でしたか・・・(^_^;)
    「ローレライ」も映画しか見てないなぁ・・・

  2. B より:

    あれ映画から観たら置いてけぼりになりますねー。
    原作読んだなら改めて DVD 観ても良いんじゃないでしょうか。

    『ローレライ』は設定がぶっ飛んでるから映画が先だと余計に B 級に見えてしまいそう^^;

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