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映画大好きポンポさん [Netflix]

劇場公開時から気になりつつもタイミングが合わずに映画館に行けていなかった作品が Netflix に来たのでさっそく視聴しました。

映画大好きポンポさん

映画大好きポンポさん

私の経験上、映画好きが映画を題材に作った映画には傑作が多い。本作はアニメーションですが、そういう匂いがプンプンしていました。

伝説の映画プロデューサーを祖父に持ち、自身も天才的な才能を持つ映画プロデューサーである「ポンポさん」。そのアシスタントとして働き、後に監督として映画を撮ることになるジーン青年と、ポンポさんに見出された女優の卵・ナタリーが映画制作を通じて成長していく物語です。
デフォルメされたキャラクターデザインからはちょっと想像がつかなかったのですが(ちなみにキャラクターデザインは『リコリス・リコイル』で初監督を務めた足立慎吾氏)、内容はかなりガチで映画の話。タイトルは伊達ではないのです。映画の撮影だけでなく編集作業とか、キャスティング/スケジューリング/資金調達まで含め映画の製作プロセスを疑似体験させてくれる作品になっています。華やかなことや楽しいことばかりではない(むしろ辛いことのほうが多い)映画の仕事について、デフォルメしながらもリアリティをもって伝えてくる作品です。私も昔バイトで映像制作系の仕事をしていたことがあるので、この感覚チョットワカル。

全編を通して強烈に主張しているメッセージが「映画は 90 分くらいがちょうどいい」ということ。そして本作自身が 90 分できっちり起承転結をつけてまとめる、というお手本のような作りになっています。
近年、特に大作映画で 150~180 分近い上映時間を持つものも珍しくなくなっていますが、映画好きを自認する私でも 120 分を超える映画はちょっと辛い。気合いを入れないと観に行けないし、BD を買っても再生するのが億劫になりがちです。丁寧に描写するのも良いけど、それよりもいかに一定の尺の中で解りやすくまとめるかが重要、という主旨には強く共感します。まあ文章をダラダラ書きがちな私が言っても説得力ないんですけど(笑。

見やすい尺であるにも関わらず説明不足なシーンも冗長なシーンも一切なく、必要なカットだけで構成されたような編集。起承転結がハッキリしていて「転」で一度落としてから「結」に向けて盛り上げていくシーンはかなりベタベタな展開ではあるけれどだからこそ解りやすくアツい。こういうの、嫌いじゃないです。
そして何より映像美が素晴らしい。光の使い方が実写的でありながら、アニメーションであることの良さも活かされています。さらにはそれらのカットを繋ぐトランジションの使い方も実に巧い。随所に映画好きならではのこだわりが満ちていて、90 分全く飽きる瞬間がありませんでした。

これは劇場公開時に話題になったのも納得の名作です。こういう作品だからこそ、映画館のスクリーンと音響で観るべきでした。今からでも再上映される機会があれば劇場に足を運びたいところです。

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