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NW-Z1050 を試す

ウォークマン Z を試す機会に恵まれたので、遅ればせながらちょっと触ってみました。

ソニー / WALKMAN NW-Z1050/B (ブラック)

WALKMAN NW-Z1050/B

iPod touch に対抗・・・というか、スマートフォンが欲しいけど通信費が払えない等々の理由で導入できない学生層に向けた(と言われている)、買い切り型の Android 端末という印象が強いこのシリーズ。個人的には、Android 云々以前にノイズ源になる高周波プロセッサが搭載されているだけで腰が引けてしまうんですが、実際のところはどうなんでしょうか。もう散々レビューも出尽くしたところだと思うので、触ってみた感想を軽くまとめておきたいと思います。

WALKMAN NW-Z1050/B

第一印象はやはりデカい(笑。でも、そのデカさのおかげで画面がとても広く、かつ今までのどのウォークマンよりもキレイ。色味だけなら過去の有機 EL ディスプレイ搭載機のほうが美しいですが、精細感が段違いです。ジャケット画像をそんなにキレイに表示してもしょうがないじゃないか、と思いがちですが(実際私もそうだった)、お気に入りの CD のジャケットが美しく表示されているだけで音楽を聴く気分が高まるというものです。そういう発想自体が CD 時代の考えから脱却できていないのだ、という意見は受け付けません(ぉ。
Android なのでスマホの亜種と考えればこのディスプレイもそんなに珍しいものではなく、むしろ Xperia acro HD のほうが高解像度だったりするのですが、音楽プレイヤーの画面として見るとなかなか壮観です。


WALKMAN NW-Z1050/B

操作は基本的にタッチパネルですが、右手でスマホ的に持ったときに上側に電源ボタン、親指側に音量ボタンと「W.」ボタンが来ます。この電源ボタンが曲者で、片手で持ったときにまあ届かない。「W.」ボタンを押してもスリープからの復帰はさせられるので(一手間増えるけど)、必然的にそういう使い方になりますね。

WALKMAN NW-Z1050/B

ハードウェアボタンがないと音楽プレイヤーとしては使いにくいじゃないか!というのはその通りなのですが、側面の「W.」ボタンを押すとスリープ中だろうと起動して何か他のアプリを使っていようと、「W.ミュージック」アプリのミニウィンドウが表示され、走行系(シリコンディスクなので「走行」はしませんが・・・)の操作だけならここで完結できます。ハードウェアボタンがなくても最小限の操作で再生/停止や曲送り/戻しができるのはプレイヤーとしては及第点じゃないでしょうか。

でも次には、タッチ操作専用だとポケットに入れたまま操作できないじゃないか!と思うのですが、このミニウィンドウの右上にあるタッチっぽいアイコンをタップすると、

WALKMAN NW-Z1050/B

ジェスチャー操作モードに切り替わって、画面をタップすることで再生/停止、右左にフリックすることで曲送り/戻しができるので、ポケットの中にあっても「W.」ボタンを押す→画面をタッチで一通りの操作はできてしまいます。完璧とは言えませんが、これはこれでよく考えられています。まあ私はそれでもボタン欲しいですが(^^;;

WALKMAN NW-Z1050/B

改めてウォークマン Z がいかにデカいかの比較。左が NW-A847/V、右が Xperia acro です。私の手には Xperia acro でさえちょっと大きいと感じているくらいなので、ウォークマン Z はちょっとデカすぎます。

WALKMAN NW-Z1050/B

身長 180cm の成人男性としては極端に指が短い私としては、片手で操作するのが辛いほど。画面の端にあるアイコンをタップしようとしたり、フリック入力で遠くのキーを触ろうとすると指が届かなかったり、親指の付け根あたりで違うアイコンを触ってしまったりして誤操作がやたら多くなってしまい、Wi-Fi 搭載の汎用 Android 端末として普通に使うのを半ば諦めてしまったほどです。私は基本的に「スマホサイズのものを使うなら片手で操作がほぼ完結すべし、両手が必要な操作ならタブレットのほうがいい」と考えているので、片手で操作できないけどタブレットほど画面が大きくもないコイツは汎用端末としてはいかんせん中途半端に感じます。

WALKMAN NW-Z1050/B

あと個人的に納得がいかないのがこの部分。バック/ホーム/メニューボタンがハードキーじゃなくてタッチセンサになっているのはもちろんイヤなんですが(ぉ)、それ以上に納得いかないのがその上のランチャーの配置です。通常の Android スマートフォンならばランチャーの中央はアプリケーションドロワーで、その左右にアプリアイコンが並ぶものですが、ウォークマン Z ではドロワーが左端固定。そして右端にはコンテンツランチャーである「Favorites」に固定されています。で、中央には「W.ミュージック」アプリが鎮座(これは変更可能)。ウォークマンの本分はあくまで音楽再生なんだ、という意図は理解しますが、こういう基本的な UI の部分で標準仕様から逸脱するのは却って使いにくさを強調するだけで、激しく違和感があります。私が Android スマホに最適化されすぎているというのもあるのでしょうが・・・。

という感じで本体サイズと UI についてはいろいろ思うところもあるんですが、肝心の音です。「S-Master MX」という 2011 年モデルから新しく採用されたデジタルアンプの実力はいかほどのものか。先代の S-Master を搭載する NW-A847/V と比較してみました。比較に使用したヘッドホンは、本体同梱の NC ヘッドホン「MDR-NC033」、あとはオーバーヘッド型ヘッドホンの「MDR-CD900ST」「MDR-CD2000」「MDR-SA5000」、いずれもかなり本気で音楽を聴くときに使っているヘッドホンです。
その結論は、細かく聴き比べるまでもなくウォークマン Z のほうが明らかに音が良い! 今まで、NW-A840 シリーズは屋外で聴くためのポータブル機としてはこれ以上の音質を求めてもしょうがないんじゃないの?というくらいにいい音だと思っていましたが、NW-Z1000 シリーズと比較してみると明らかに中域がスカスカしていて、高音の伸びも足りません。いっぽうで NW-Z1050 のほうは中域が太く、腰の据わった音という印象で、高音もヌケが良く、聴いていて気持ちが良いです。試してみたヘッドホンのどれでも同じ傾向が感じられたので、A840 の S-Master と Z1000 の S-Master MX の素性としてそれだけの差があるということなのでしょう。これは付属ヘッドホンで比較しても判る違いで、当初、粗探しレベルでの細かな比較になる覚悟でいた私としては、拍子抜けするくらいに違っていました。

正直言って、Z シリーズにはあまり興味がなかったんですが、音を聴いて評価がガラッと変わりました。ただ、やはり私は Android である必要性を感じないので、同じアンプを搭載しつつノイズ源になりそうなデバイスの少ない NW-A867 のほうの購入を検討してみようかなあ・・・という方向に傾きつつあります。

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