『劇場版 2』を観たときに、そろそろこのシリーズも限界かなあ…とは感じていたのですが、「これで完結」と言われるとここまで来たらもう最後まで付き合ってやろうじゃないの、と思って劇場に向かいました。
舞台はシリーズ初の海外、東南アジア。ロケはマレーシアで行われたようですね。ある企業がレアアース採掘のために東南アジアに進出しようとしたら現地民の抵抗に遭い、その現地民をまとめているのが呪術師で…という話。話の構造としては同シリーズで今までにもあったような話ですが、海外ロケと言うだけで少し雰囲気が違って見えますね。
ストーリー的には比較的分かりやすい伏線が張られているので、ミステリーとしてはそれほど難解ではないと思います。それよりも、あまりにもギャグ要素を詰め込みすぎで、途中でちょっと白けてしまった部分はありました。テレビシリーズの『トリック 3』あたりから、笑いに走りすぎている傾向はあったんですが、その傾向がさらに強まっているというか。懐古主義ではありませんが、初期の頃は「何が出てくるか分からない恐怖感」の合間に細かいネタが散りばめられていることで一息つける、そのバランスが良かったのになあ…とは思いますね。これでは、せっかくのクライマックスもタネ明かしも緊張感がなさすぎて台無し。
まあ、北村一輝をああいう役どころで起用するのか…!という新しい発見があったのは、良かったですが(笑
というわけで、鑑賞前に抱いていた予感が見事に的中してしまったなあ…と軽く残念に思っていたのですが、ラストでやられました。エンドロールに流れる『月光』、そして最後にここに戻ってくるのか、という驚き。最初から観てきた身としては、このラストが観られただけでも、映画館に足を運んだ甲斐があったというもの。『トリック』が始まった頃は、自分の人生的にもいろいろあった時期だったので、『月光』を聴きながら複雑な思いが去来しました。13 年半、という数字を改めて見せられると、時間が経ったんだなあ、と実感しますね。
時間が経ったと言えば、このシリーズが始まってから今までの主役二人の変遷も対照的。本シリーズで徹底した三枚目を演じ、その後の芝居の幅を大きく広げた阿部寛に対して、仲間由紀恵は「山田奈緒子」に囚われてしまったのかもしれないなあ、と感じます。ラストでああいう映像を見せられてしまうと、特に。
ともかく、良くも悪くも『トリック』らしい、大団円と言っていい結びだったんじゃないでしょうか。長い間、お疲れさまでした。
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